2016.10.20

仙台アート散歩vol.3 じっくり眺めて楽しむ不思議で可愛らしいイラストの世界

街の小さなギャラリー「gallery swallow」が、仙台で活躍する作家さんの作品をご紹介していきます。Vol.3の今回は、イラストレーター・グラフィックデザイナーのスガワラタカユキさんのイラストをピックアップ。どこが懐かしくて不思議、でもとても可愛らしい世界を描く、スガワラさんの作品をじっくりご覧ください。

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手描きのようで、手描きじゃない!?

専門学校卒業後にグラフィックデザイナーとして仕事をスタート。もともとイラストレーター志望だったこともあり、現在7割はイラストの仕事だというスガワラさん。プライベートで描く作品はかなり大きなものが多く、近くで見てもキャンバスに直接描いたように見えるのですが、実はコレ、パソコンで描いて印刷したものなんだとか。
基本的に比較的フラットな印象のイラストはIllistrator、立体感があり手描きのような雰囲気の作品はPhotoshopのソフトを使い、ペンタブやマウスで描いているそうです。「これ定規使ってないんだ!?」と言われたいがために、定規を使わずフリーハンドで直線を描くことが好きなスガワラさん。本当はパソコンでイラストを描くなんて邪道だと思っていたそうですが、時代の流れでデジタルに移行。ただ、描く道具が筆からペンタブやマウスになっただけで、感覚的には手描きと変わらないんだとか。たしかに手描きのようにいろいろなタッチの作品があります。なかには2011年3月11日に見た満天の星空が忘れられずに描いた「星降る街の灯台で」のように、角度が均一な線で描いているイラストも!一部拡大してみると良く分かります。

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『星降る街の灯台で』

幼い頃の記憶や想いが、イラストのモチーフに。

ところで失礼ながら、ご本人の見た目とはギャップのある可愛らしいイラストを描くスガワラさん。さぞかし女子力高めのカワイイ物好きなのかと思いきや、まったくそんなことはなく、少女漫画も読まないミニカー好きの30代男性…。ではこのノスタルジックで絵本のように優しい雰囲気の作品はどこから生まれるのか?
スガワラさん曰く「田舎育ちだからだと思います」とのこと。どのくらい田舎かと言うと「小学校4年生までは木造校舎。しかももう廃校になっていて母校はありません」というくらい。「何十年も時が止まったような状態のものが点在している地域で育ったので、どこか懐かしい風景が頭の中にある。それが絵の中に生かされているのかもしれません」。たしかにスガワラさんが好きだという、貯水タンク、鉄塔、木の電柱、昔のバス停、トタン屋根など、古めいた人口物が作品の中に散りばめられていて、それが良い仕事をしているようにも思えます。

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『green_summer』

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『1980』

ちなみに作品の中に灯台が多く登場するのは、山に囲まれて育ったが故の海への憧れから(免許取りたての頃に、一人で海に行って5、6時間ボーッと過ごすくらい)。三日月を描くことが多いのは、土星の輪っかを見たくて望遠鏡でひたすら星を眺める少年だったから(でも土星は描かない)、だそうです。

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『ナガレボシニオネガイ』

近寄って、じっくり眺めるのが楽しい作品たち。

さらにスガワラさんの作品で特徴的なのが、独特な画角と目線。A版やB版の紙にイラストを描くことはほとんどなく、描きたいと思ったイラストに合わせた画角になるので、縦長だったりスクエアだったり、いろいろな形が生まれます。そこに東北6県の自由気ままに暮らす人達を一つのアパートで表現した「ToHoKu Apartment」のような、現実にはありえない目線で描かれたイラストがあるので、空想の中の日常のような不思議な世界が生まれるのかもしれません。

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『ToHoKu Apartment』

そんな作品の数々、スガワラさんご本人はぜひ近くから見て欲しいとのこと。例えばこの「ToHoKu Apartment」は、よく見ると福島の部屋の中に「赤べこ」がいたり、宮城の部屋の窓はお米の形だったりします。芸が細かいので、クスリと笑えるポイントがいっぱい!ほかにもいろいろ隠れているので、ぜひ探してみてください。

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全部をここで紹介してしまうのはもったいないので、気になる方はぜひ「gallery swallow」でじっくりとご覧ください。
またスガワラさんはイラスト以外の活動も。好きな絵を描いた紙を組み立ててテントの形を作り、中にLEDライトを入れる「灯りテント」というワークショップを近々開催予定。詳細はTwitterでお知らせしていくそうなので、ぜひチェックしてみてください。

他、作品紹介

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『Apartment』

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『Day Dream』

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『trick or treat』.

<プロフィール>
スガワラタカユキ(イラストレーター・グラフィックデザイナー)
Twitter   @checkmatedesign
http://checkmatedesign.jp/

イベント告知

gallery swallowでご紹介している作家さんが、イベントに登場します!
仙台市青葉区北山の『資福寺』でゆっくりコーヒーや食事、アートを楽しむイベント「珈琲参拝」が開催されます。『KURIYA COFFEE ROASTERS』や『CAFFÉ BAL MUSETTE』などのコーヒーロースターが参加する注目イベント。「gallery swallow」でもおなじみのキャンドールアーティスト・ヨウル☆プッキさんや、次号アート散歩でご紹介予定の金属料理人・増田周一さんも登場!前売りチケットは「gallery swallow」でも販売中!

珈琲参拝(コーヒーサンパイ)
日時/10月29日(土)10:00~17:00
会場/資福寺境内(仙台市青葉区北山1-13-1)
料金/前売り¥2,500
出店者など、詳しくはFacebookページをご覧ください。
https://www.facebook.com/coffeesanpai/posts/109833826149096
https://www.youtube.com/watch?time_continue=2&v=P0-FCSO47gI

gallery swallow

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住 仙台市青葉区花京院2-2-59 ふじみ荘202
問 nasukawa@uracata.com
F https://www.facebook.com/galleryswallow/
I https://www.instagram.com/gallery_swallow/

※オープン情報、イベント情報、作家プロフィール等はこちらからご確認ください。
 https://goo.gl/maps/c2bApemjMxA2 
※駐車場はありません。近隣のコインパーキングをご利用ください。

To be continued!
仙台アート散歩では、毎回1人の作家さんの作品を詳しくご紹介していきます。
次号は国内外でいろいろな賞を受賞している金属料理人・増田周一さんの作品を公開予定です。

※このページの情報は2016年10月20日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

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