2017.12.08

堺雅人と高畑充希が年の差夫婦に! 年末は『DESTINY 鎌倉ものがたり』でほんわか♡


『ALWAYS 三丁目の夕日』シリーズで日本中を感動の渦に巻き込んだ制作チームが再集結! 『三丁目の夕日』原作者である西岸良平氏のベストセラー『鎌倉ものがたり』を映画化するにあたり、『ALWAYS 三丁目の夕日』に続いて『永遠の0』、『海賊とよばれた男』などを大ヒットに導いた山崎貴監督が再びメガホンをとりました。

主演は堺雅人、ヒロインは高畑充希。すべての世代から愛される実力派ふたりが新婚夫婦役として初共演を果たし、ノスタルジックな鎌倉の街を舞台に人間と人間ならざるものが織りなす心あたたまるストーリーを紡ぎ出します。
公開にあわせて来仙した山崎監督に、撮影の裏話などをお聞きしました!

ストーリー
鎌倉に暮らすミステリー作家・一色正和(堺雅人)のもとに嫁いだ、年若い妻・亜紀子(高畑充希)。道を歩けば魔物や幽霊、妖怪や仏様、死神(安藤サクラ)まで現れる鎌倉の街に驚く亜紀子だったが、実年齢130歳(?)の家政婦・キン(中村玉緒)、腐れ縁の編集担当者・本田(堤真一)、ひょんなことから家に居座ってしまった貧乏神(田中泯)など個性豊かな面々に囲まれて楽しい新婚生活が始まった。しかし正和には亜紀子に隠している、ある秘密が…。
そんなある日、病に倒れた正和が目を覚ますと亜希子の姿がない。残されていたのは、夫への愛情にあふれた一通の手紙。失って初めて気づく亜紀子への愛。正和は亜紀子を取り戻すため、黄泉の国(あの世)へ一人向かうのだった。

夫婦の愛情物語であり、大人も楽しめるファンタジー映画


――懐かしい感じのする、鎌倉のふしぎな世界観が素敵でした。

(山崎監督)鎌倉の世界観でいうと最初にプロデューサーに言われたのが、ただ鎌倉をロケしてスクリーンに映せばいいのではなく、みんなが心の中に思ってる鎌倉をつくってほしいということだったんです。たとえば行ったことのない人たちが鎌倉って聞いた時に想像するイメージの鎌倉をつくってほしいと。めんどくさいなぁと思いつつ(笑)、でも原作も実際の鎌倉より少しデフォルメされた良い雰囲気を表現していたので、それは大事なのかなと思いました。

――どのように絵作りされていったんですか?

(山崎監督)実際、ロケに行っても余計なものが背景に映っちゃうんですよ。工事中の景色とか。それをいちいち消していく作業が大変でした。一番大変だったのは…大仏ですね。大仏の横を堺さんが運転している車が走るっていうシーンを撮りたかったのに、大仏が森で囲まれちゃってて外から見えないんです(笑)。お寺に大仏を合成させてくれませんかと相談したんですがやはりダメだと。そんなときに鳩サブレの会社の社長さんが鎌倉を紹介してくれる映画なんだから少し折れてくれと口添えしてくれて、じゃあ今回だけはやってみましょうとめでたく合成の許可が出ました。そんなふうに、ひとつひとつイメージの鎌倉をつくるというのが意外に大変でしたね。

――そんな鎌倉の雰囲気と、堺雅人さん高畑充希さん演じる夫婦の可愛らしい姿がとてもしっくりきていましたよね。このおふたりにオファーした理由は?

(山崎監督)まず原作がすごく年が離れているという設定で、でも年の差があんまり強調されない組み合わせがいいなと思ったんですね。堺さんって年のわりに若く見えますし、高畑さんも幼く見える時もあるんですけど非常に落ちついていてぐっと年上に見える時もある。そのへんをうまく使えれば、違和感のない年の差夫婦ができるんじゃないかと思いました。なおかつ、堺さん自身が持っているクレバーさ、小説家として説得力がある感じ。そして堺さんのいろんな作品を見させていただいて感じましたが、たとえばなんか失敗しちゃった時でも愛嬌がある人って、ちょっと可愛いんじゃないかなっていう(笑)。

――亜紀子役の高畑さんについてはいかがですか?

(山崎監督)高畑さんに関してもいろいろな顔を見せなくてはいけなくて、それがひとりの人物の枠に中に納まっていなくてはいけない役柄だった。これはそうとう上手な人じゃないとできないと思うんですよね。ふたりに共通しているのは、こういう突飛な世界の中にいても人間としてブレずに存在していられるところ。あまり演技が上手でない人だと全部が絵空事になっちゃうと思うんですよ。

――確かに普通に魔物が出てきたり突飛な世界のわりには、どこか地に足がついている夫婦だなと思いました(笑)。

(山崎監督)そう、地に足がついているんだけど、ある部分ではファンタジー。ひとりの人間のなかに両方入っているんですよね。おふたりはすごく実のこもったお芝居ができる人たちなので、そのおかげで他のキャラクターも説得力が出てくると思ったんです。これ、けっこうデンジャラスな企画なんですよ、ラスボスがCGですから(笑)。ひとつ間違うと大人が見られない映画になっちゃう可能性があったので、そこはお芝居の力で助けていただきました。

東北の温泉にインスピレーション

――役作りでお願いしたことは?

(山崎監督)とにかくふたりには、やんなっちゃうぐらいイチャイチャしてほしいとお願いしました。それで、腕の組み方とか、高畑さんが堺さんの肩に顎をのせて甘えるシーンとかいろいろ演じてみせてくれる中から選んでいった感じですね。会話も食い気味にいこうと。テンポの面白さをつくっていきたかったので、片方が喋っているのを最後まで聞かないでどんどん夫婦漫才みたいにやってみたりしました。正和さんが亜紀子さんに怒られるシーンとかすごく好きなんですよ。いたずらっ子っぽい顔をしている亜紀子さんと、いや全然なにも隠してないよ?ていう正和さんの表情と。

――コミカルで可愛くて、見ていてほんわかしました。

(山崎監督)そういうことをしていても微笑ましく見えるカップルと、バカじゃないの?と思えるカップルがいると思うんですけど(笑)、このおふたりはとても可愛らしくて。これならこの後に正和さんが亜紀子さんを追って黄泉の国に行くのも分かるよっていう、そんな関係性を目指しましたね。

――黄泉の国(死後の世界)も細部まで凝られた世界観でしたが、実は東北の温泉がイメージソースだったとか?

(山崎監督)実はそれには紆余曲折あって、僕がいちばん強くイメージしていたのは大沢温泉(岩手県の花巻温泉郷)の湯治場の自炊部だったんです。でも途中で鉛温泉(同じく岩手県の花巻温泉郷)とごっちゃになっちゃって(笑)。さらに記者会見で堺さんも鉛温泉の話をしてくれたのでいろいろなところで記事にもなったんですが、よくよく考えてみれば鉛温泉からインスピレーションを感じたのは『DESTINY』の次の作品用でしたって後から堺さんに言われたりもして(笑)。でもとにかく東北地方の温泉が映画をつくる時点で重要なファクターになっています。

――東北に縁があるというフレーズを聞けただけで私たちは嬉しいです(笑)。

(山崎監督)妻が水沢(岩手県)出身なんですよ。たくさんいい温泉がありますよね。死後の世界って人によっていろんなイメージがあると思いますが、僕はああいうとこに行きたいんですよ。巨大な温泉街みたいなところに行って、温泉に浸ったりお饅頭食べたりして、いろいろあったなぁって振り返りながら次に生まれ変わる準備をしたいですね。

――魔物のキャラクターは主にCGで描いていますが、大変だったところは?

(山崎監督)キャラクターの数が多いってことですかね(笑)。たとえば天頭鬼と戦うシーンなんて8人キャラクターがでてくるんですけど、後ろにいるあまり活躍しないキャラクターはマスクでも被せておけばよかったなぁなんて。全部馬鹿正直にCGでつくったので、プロジェクトの中盤を過ぎても1カットも上がってこなくて久々にドキドキしました(笑)。

――最後に仙台の映画ファンへメッセージを!

(山崎監督)日常の生活が、奇跡的な偶然の重なりで出来ているということに気づいてもらえたらいいなという想いでつくりました。日常をともに過ごしている人たちと観ていただけたら、相手の見え方がいつもとちょっと違ってもっと絆が深まるかもしれません。日々を大切に過ごしている方とぜひ一緒にご覧いただければと思います。

<インタビューを終えて>
前半は鎌倉を舞台にしたほのぼの人情劇、後半は黄泉の国を舞台にした怒涛のファンタジーと、飽きさせないストーリーが見どころの『DESTINY 鎌倉ものがたり』。スクリーンからにじみ出るあたたかな雰囲気そのままに、山崎監督ご自身も穏やかでユーモアあふれる方でした。そんな山崎監督が前半の名シーンに挙げた夫婦のお別れシーンは、涙なしには見られませんのでハンカチ必須で劇場に。
また、堺雅人さん高畑充希さんの脇を固める豪華俳優陣も見どころですが、その中でも特にインパクトがあったのが死神役の安藤サクラさん! とても死神とは思えない、その語り口調が最高です。

『DESTINY 鎌倉ものがたり』

出演 堺雅人 高畑充希 
堤真一 安藤サクラ 田中泯 國村隼 薬師丸ひろ子 三浦友和 中村玉緒 他

原作 西岸良平『鎌倉ものがたり』(双葉社「月刊まんがタウン」連載)
監督・脚本・VFX 山崎 貴

12月9日(土)東宝系にて全国ロードショー!

©2017「DESTINY 鎌倉ものがたり」製作委員会

【ライター 鈴木紘子】【撮影 門山夏子】

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