Vol.0644
2018.12.18

仙台アート散歩vol.24 空間に馴染むやわらかさで、確かに存在する美しきステンドグラス

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仙台で活躍する作家さんの作品を展示・販売している「gallery swallow」と「ヒミツ埜」。今回は、ステンドグラス作家stained glass Gingaの武田奈未さんを紹介してもらいました。ガラスの色や透明度、質感の美しさはもちろん、秘められた想いや物語を大切にするGingaさんの作品。いつもの暮らしに仲間入りさせるのはもちろん、クリスマスの飾りとしてもおすすめですよ。


不思議な魅力あふれるステンドグラス

ステンドグラスというと、キリスト教のイメージや、鮮やかな色使いを思い浮かべる人が多いと思います。そもそもステンドグラスとは、下絵をもとにガラスカッターでカットしたガラスを研磨し、その周りに銅箔のテープを巻き、それぞれのピースをハンダ付けしたもの。これはティファニー式とも呼ばれるアメリカで生まれた技法で、ランプなどの立体的なものや小型のものに使われることが多いそうです。一方窓ガラスなど大掛かりなものになると、ケイムという鉛線にガラスをはめ込んでハンダ付けしていくヨーロッパでみられる技法が使われるとか。Gingaさんの作品もこの2つの技法を用いたもので、制作方法自体は私たちがイメージするステンドグラスと変わりません。でも不思議なことに、作品を見た時に受ける印象はまったく違うのです。
どこかひんやりとしたイメージのあるガラスも、包み込むようなやわらかさやぬくもりを感じるのがGingaさんのステンドグラス。決して主張するわけではないものの、空間に馴染みながら確かな存在感を持つ、不思議な作品です。その秘密は、ご本人も大切にしているという“ガラス選び”にあるのかもしれません。


ガラスという素材に魅せられて

そもそもGingaさんとステンドグラスとの出合いは、美術系の大学に通い始めた1年生の時。大学祭で先輩たちが制作しているステンドグラスを見た時、ガラスという素材が持つ色や透明感に引かれ、「なんだこれは!?」とドキドキが止まらなかったそうです。それからステンドグラスが制作できる壁画ゼミに入り本格的に学び、在学中からカフェの窓を手掛けたり、卒業制作で大きな屏風を制作したり、大学時代はまさにステンドグラスに魅せられた4年間。卒業後は静岡にあるステンドグラスのガラス問屋兼工房で修業し、そこでいろいろな種類のガラスに出合い、知識を深めたそうです。

古い窓ガラスをステンドグラスに

今のGingaさんのスタイルが確立される転機となったのは、仙台に戻った後。ステンドグラスの制作を地道に続けていたところ、ある建築士の方から“古い窓ガラスをコースターにしたい”と声が掛かったそうで。「もともと古い家の窓ガラスを見ては、“このガラスいいな~でも人のお宅だしな…”と思っちゃうくらい古い窓ガラスが気になっていた」と笑うGingaさん。もちろん喜んでそのお誘いに乗り、古い窓ガラスを使ってコースターやペンダントを制作し始めます。
その後東日本大震災が起こり、壊れた古い家の窓ガラスがこれまで以上に集まってくるようになったそうです。今ではそのガラスを使った作品がGingaさんの作品のイメージをつくっていると言っても過言ではありません。本来ステンドグラス専用のガラスでつくるものに、あえて家の解体現場では“ゴミ”として扱われてしまうガラスを使う意味をもう少し聞いてみたくて、尋ねてみました。「実は、震災直後に予定されていた展示会をキャンセルしようとギャラリーに向かった時、ちょうど私の作品を買ってきたというお客さんに出会ったんです。こんな状況の中、私のステンドグラスを買ってくれる人がいることにびっくりして!そこでちょっと待てよ、と。震災直後でステンドグラスを見たい人なんていないかもしれないけど、古い窓ガラスは私にもパワーをくれたもの。今、私にできることをやってみようと思ったんです」。家の解体現場の窓ガラスは、捨てたくないけど捨てられていくもの。でも今までそこに暮らしていた人の生活を見守ってきた物語に溢れているもの。それをもう一度カタチにして、家の中に帰していくような感じで制作している、とGingaさんは話してくれました。
ちなみにGingaさんの作品に使われている“古い窓ガラス”とは、主に明治後期から昭和にかけて日本で作られた型板ガラスのこと(※1)。実は模様によって名前が付いているそうで、中には“銀河”という名前のものも!ほかのステンドグラス用のガラス(※2)も、表面がデコボコしていたり、何色も混ざりあった複雑な色をしているものや、透明度の違いがあったり、いろいろな種類があります。使われているガラス一つひとつに注目してみるのも、Gingaさんのステンドグラスの楽しみ方の一つかもしれません。

(※1)
さくら、もみじ、松葉など、四季折々の日本ならではの感性で作られたガラスは、片面の凸凹に繊細な模様が施され、ほどよく視界をさえぎることができ、また光をやわらかく拡散できます。その特性を活かし、昭和中後期には水回りの間仕切りや建具に取り入れられ、普及していきました。過去に日本では60種類以上の模様が作られていましたが、多くは1年で製造が終了し、現在では2種のみの生産となっています。

(※2)
古い技法で職人さんの手によって一つひとつつくられる美しいガラス(アンティークガラス)や、機械でつくられているガラスなど。



作品づくりで一番大変なのは“ガラス選び”だそうで「飾る場所や光によっても見え方が変わるため、選ぶのに丸1日かけても決まらずに、あ~あって思うこともあるんです…」と苦笑いするGingaさん。でも一番楽しいことも“ガラス選び”だそうで「自分好みのベストな組み合わせが見つかると気持ちいい!」とのこと。作品を手に取れば、そのあふれんばかりの“ガラス愛”が伝わってくるはずです。12月中には、旭ヶ丘にある手仕事の店「庭音tei-ne」さんに、由利設計工房さん企画の古い窓ガラスを使ったキャンドルホルダーやアクセサリーを納品予定とのことなので、ぜひお気に入りを探しに出掛けてみてください。

<プロフィール>
stained glass Ginga 武田奈未
WEB http://www5.plala.or.jp/glass-ginga/
Instagram @glass_ginga

イベント告知

クリスマスまでの期間限定!
藤崎に、12月25日までの期間限定ショップがオープンしています。クリスマスにぴったりのアイテムも!
『FUJISAKI 期間限定ショップ 』
日時/~12月25日(火)
会場/藤崎 大町館2F 伊達くらふと

年明けのイベントにも参加!
夢メッセみやぎで開催される「ひきだしマルシェ」にも参加。1月12日(土)のみの出展です。
『ひきだしマルシェ』
日時/1月12日(土)・13日(日) ※Gingaさんは12日のみの出展
    10:00~17:00
会場/夢メッセみやぎ本館展示棟

ヒミツ埜 gallery swallow

住 仙台市青葉区大町2-7-26 渡辺ビル≪交差点角≫
ヒミツ埜 問い合わせ pukkisan@softbank.ne.jp
gallery swallow 問い合わせ nasukawa@uracata.com

※このページの情報は2018年12月18日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

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