2018.01.11

仙台アート散歩 vol.17 正方形の布から無限に広がる「つまみ細工」

仙台で活躍する作家さんの作品を展示・販売している「gallery swallow」と「ヒミツ埜」。
今回は、お正月や成人式で見かけることが多かった着物にちなんで、かんざしによく使われる「つまみ細工」の作り手「あるにか。」の彦さんを紹介してもらいました。繊細かつ華やかな彦さんのつまみ細工は、思わずため息が出るような美しさです。

江戸時代から伝わる「つまみ細工」の技法

つまみ細工とは、正方形の布をピンセットでつまんで折りたたみ、それを一つずつ組み合わせることで花などの文様を作る日本の伝統工芸のこと。つまみ細工という名前は知らなくても、七五三や成人式の時につける髪飾りによく使われる技法と言えば、ピンとくる人も多いはず。
しかし彦さんの作品は、いわゆる着物に合わせる純和風なつまみ細工とは違い、随分モダンな印象。独特な色合わせや、まるで一枚の絵画のようにパーツに収まるモチーフなど、どれもうっとりする美しさです。
とは言え、作り方は基本に忠実。つまみ細工の折り方は、先がとがった「剣つまみ」と、先が丸くなる「丸つまみ」の2つ。そこから剣つまみを裏返したり、少しカットしたり発展させることで、できあがる作品の世界が無限に広がっていくのです。

大切にしているのは、季節感。

もともとつまみ細工は花を作る技法なので、彦さんの作品にも季節の花が多く登場しますが、中には動物モチーフのものも。
「着物を楽しむ子って、けっこう動物モチーフが好きなんですよね。あとは季節感を意識したり。だから作品作りでも季節感は大事。モチーフはもちろん、春は淡い色、秋は少し渋めの色とか、色でも意識します。あとは家紋や古い着物の柄をアレンジして作ってみることもありますね」。
細かいものだと、1cm角の布を折りたたんで作る作品もあるというから驚きです…。


組み合わせを楽しむアクセサリー。

実は彦さん、つまみ細工を始めたのは3、4年前とのこと。小さい頃から絵を描くのが好きで、大人になってからも消しゴムハンコや羊毛フェルトなど、趣味の範囲でものづくりを楽しんでいたそうです。そんな中、出合ったのがつまみ細工。
「着物が好きで、それに合わせるアクセサリーを探したらけっこう高価で(笑)。それなら自分で作ってみようかなって、手芸の本を見ながら作ってみたのが始まりです」。
着物好きから始まった彦さんのつまみ細工は、使っている布がポイントです。本来は和服の裏地によく使われる羽二重という薄い布を使うことが多いのですが、彦さんが使うのは、骨董市などで見つけた古い着物の端切れ。鮮やかなのにどこか落ち着きを感じさせる上品な色合いが、彦さんの作品の要になっています。
「細かい作業は好きだけど、折るのはやっぱりしんどいですよ(笑)。だから無になって折ります…。一番楽しいのは、布の組み合わせを考えている時。だからその色使いをぜひ見て欲しいですね」。
もちろん1つでも魅力的な彦さんの作品ですが、作品同士の合わせを考える楽しみ方も。彦さんが布の組み合わせを考えるように、作品を並べて「このブローチと帯飾りを合わせたらかわいいかも!」と、自分なりのコーディネートを見つけてみてください。もちろん、着物だけでなく、洋服に合わせても素敵ですよ。

今後はアクセサリーだけでなく、インテリアとして飾るオブジェを作ったり、個展の開催も計画中という彦さん。作品は、若林区にあるギャラリー&ハンドメイドショップ「木ノ箱」で展示販売中。ウェブショップにも作品を増やしていく予定とのこと。イベントの告知などはTwitterをチェックしてみてください。

<プロフィール>
彦(つまみ細工)
Twitter @Hhiko_104103
Instagram @hiko_1041033
Web shop http://hhiko10410.thebase.in/

ヒミツ埜 gallery swallow

住 仙台市青葉区大町2-7-26 渡辺ビル≪交差点角≫
ヒミツ埜 問い合わせ pukkisan@softbank.ne.jp
gallery swallow 問い合わせ nasukawa@uracata.com

※このページの情報は2017年11月9日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

ACCESS MAP

この記事をシェアする