Vol.0586
2018.08.06

細田守監督の最新作は、家族を描いた夏の日のファンタジー『未来のミライ』

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『時をかける少女』『サマーウォーズ』『おおかみこどもの雨と雪』――次々と大ヒットアニメーション映画を生み出し、日本を飛び越えて海外の映画ファンからも大きな注目を浴びる細田守監督の最新作が絶賛公開中!

すでに96の国と地域(7月時点)で配給が決定している本作は、4歳の小さな男の子が主人公。どこにでもいそうなほほえましいひとつの家族の姿を通して、過去と現在と未来が繋がり、生命の大きな循環をつくりあげていく不思議さと素晴らしさを体感できる作品です。

細田守監督と主人公の男の子“くんちゃん”の声を演じた上白石萌歌さんが仙台にいらっしゃいました!


ストーリー
甘えん坊の男の子“くんちゃん”のところにやってきた、生まれたばかりの妹。両親の愛情を妹に奪われ、初めての経験の連続に戸惑う“くんちゃん”は、自分を「お兄ちゃん」と呼ぶ、未来からやってきた妹“ミライちゃん”と出会う。“ミライちゃん”に導かれ、時をこえた旅に出る“くんちゃん”の目の前に広がる様々な世界。昔は王子だったと名乗る謎の男、幼い頃の母、父の面影を宿す青年……そして初めて知る「家族の愛」の形。
少しずつ成長しながら“くんちゃん”がたどり着いた場所とは?そして“ミライちゃん”がやってきた本当の理由とは――。


主人公は4歳の男の子

――4歳の男の子が主人公という映画は珍しいですよね?

細田:ほんとにないんですよね(笑)。参考になる映画があったら観たかったんですが……それでも幼い女の子が主人公の作品はわずかながらあって、僕が参考にさせてもらったのは宮崎駿監督の『となりのトトロ』。トトロに出てくるメイちゃんって、脚本を読むと4歳の設定なんですね。もともとトトロはすごく好きな映画で、アニメーションで表現すると4歳ってこんな感じなんだと思いながら見直したり、作品の魅力について改めて考えたりしました。


――メイちゃんとくんちゃん、言われてみれば似ているところがあるようなないような。

細田:それにね、自分の子供を見ていても似たようなところがあったりするんですよ。例えばテーブルの上にお菓子を並べ出したり。

上白石:「お花屋さんねー」っていうメイちゃんの!

細田:そうそう、おまえはメイちゃんか!みたいな(笑)。うちの子供はまだトトロを見ていない頃だったので、子供ってみんな自然にああいうことするんだなぁと思いました。『未来のミライ』にも同じようなシーンがあります。

――親としての監督の目線も入っているんですね。そんな“くんちゃん”役に上白石さんを起用した理由は?

細田:4歳ぐらいの子供の役ですから、7~8歳ぐらい上の子役か、30歳~40歳ぐらいの大人の女性がやるんだと思い込んでいたんです。でもオーディションでなかなかしっくりくる人がいなくて。そんな時に“ミライちゃん”役のオーディションに来ていた上白石さんになぜかピンときてしまって、「この原稿読んでくれる?」と。それがもうねぇ、ちょっとセリフを喋り始めた瞬間に、「わー、くんちゃんだ!!」という。「やっと見つけた!いたよ、ここに」みたいな感じでした。


――声の感じや雰囲気がイメージ通りだったんですか?

細田:単に子供らしい声だとかそういうことではなく、もっと本質的に映画の中の“くんちゃん”と問題意識が共通している感じというのかな。たとえば、兄弟について何か考えていたり、わからないですけど愛情や葛藤を感じているような……。そういう雰囲気が原稿を読んでいるそばから感じられて、すごくよかったんです。


星野さんと麻生さんに挟まれて「こんなおうちいいなぁ」

――上白石さんは女優として活躍されていますが、今回キャストとして男の子役で参加されていかがでしたか?


上白石:まず純粋に細田監督の世界に入れることが嬉しくて。4歳の男の子というのは自分にとっても挑戦でしたけれど、この映画の世界観が大好きだったのでその一員として作品づくりに関われることがとにかく嬉しかったです。いろんなことを見たり感じたりしてきた中でこの役を演じてみて、これまでの経験が無意味じゃなかったんだと思いました。自分の中のいろんなことが“くんちゃん”の中で繋がっていって、より人間らしく演じられたという感じがしています。

――印象に残っているシーンは何かありますか?

上白石:実はオーディションの時に……犬の鳴き真似を。監督の前で「ワンワン!」って披露したら、ブースの外から「いいね!」って大きな声が聞こえてきて(笑)。アフレコの時もそういうシーンがあったんですが、あのシーンはすごく楽しくて、自分の中でも野生にかえるみたいな感じでした(笑)。

――素の上白石さんを感じられるシーンかもしれませんね(笑)。これからご覧になる方はそのあたりも是非注目していただいて…。さて今回は豪華なキャストの方々も見どころのひとつですが。

上白石:私てっきり、声優さんのお仕事ってそれぞれひとりずつ録って後でつなぎ合わせるのかなって思ってたんですけど、監督のつくる現場は違うんですね。皆さんと一緒にアフレコするんです。ブースもすごく広くて。


――あえてキャストの皆さんで一緒に録るのが監督のスタイルなんですか?

細田:はい、それでないと僕は出来ないので、みんなで集まってアフレコをやるのが前提でキャスティングをしているんです。だから、皆さんのスケジュールに合わない人はいくらお願いしたくても難しいんですよ。やっぱり、同じ空間で演じないとお芝居って一致しない。このキャラはこんな感じってそれぞれが別の場所で考え出すと、どんどんバラバラになっていってしまう気がして。

上白石:そんなふうに監督が皆さんの絶妙な声の温度を感じ取ってくださって、一緒にお芝居をつくってくださるというのがすごく嬉しかったです。私、声優のお仕事は今回が初めてだったんですが、本職の声優の方もいらっしゃってとても勉強になりました。それになんといっても、星野源さんと麻生久美子さんがお父さんお母さんの家族って、なんて素敵なんだろうって(笑)。

――非常に豪華ですよね。

上白石:おふたりとも初めてお会いしたんですが、実際にブースの中で星野さんと麻生さんに挟まれて録りながら、こんなおうちいいなぁって。

細田:そこの家の子供になってみたいですよね(笑)。

――本当に!


今だから、家族を描く面白さがある

――さて監督は『サマーウォーズ』などこれまでの作品の中でも「家族」を描いてこられましたが、家族をテーマにする面白さって何でしょう。

細田:二つあって、一つは「変わり続ける」という面白さ。昔ってお父さんがいてお母さんがいて……というオーソドックスな家族の形があったと思うんですけど、今ってすごく多様ですよね。変わっていく世の中の常識に一番影響を受けるのが家族っていうのかな。旦那さんと奥さんどちらも働きに出てもいいし、お父さんが家にいてもいいし、子供がいてもいなくてもいい。結婚をしなくても、家族的なコミュニティーを持っている人だっていっぱいいる。そういう意味で、今は家族の定義が広がっている面白い時代だと感じていて、その中で家族を描くことは本当にやりがいがあることだと思うんです。

――現代だから描ける家族の形がたくさんありそうですね。


細田:ええ。それともうひとつ、「子供」を描く面白さですね。アニメーションて子供を描くことが多いんですが、変わり続ける家族の中で子供がどういうふうに成長していくのか?という面白さ。そして子供が成長していくのと一緒に、その子供を取り囲んでいる大人たちの変化も描ける。

――親子関係だけでなく、夫婦の在り方も描けますね。

細田:そうそう。赤の他人が夫婦になるということは、ふたりの関係性を再定義することだと思うんですが、子供ができたらそれまでの夫婦だけの生活からもう一度家族というものを考え直さなくちゃいけない。また面白いのはね、もうひとりできたらまた考え直さなくちゃいけないっていうね(笑)。昔みたいに誰かが決めた家族の形があるんじゃなく、自分たちで話し合いながら、時には子供とも折り合いをつけながら、どんどん家族の形が変わっていく面白さがあると思うんです。それを映画の中で表現することで、人間の関係性を描く物語にもなれたと思います。

――この作品、家族みんなで鑑賞するのも素敵ですね。それでは最後に、仙台の映画ファンへ上白石さんから一言お願いします!


上白石:はい。仙台のみなさんは、とても綺麗な自然に囲まれて生活していらっしゃいますが……。

細田:いいですよねぇー。

上白石:(笑)。『未来のミライ』の舞台は横浜ですが、空の青さや木々の緑など美しい自然の中で世界が広がっていく物語です。いろいろな新しい世界が4歳の男の子の視点で描かれる、そんな夏の冒険をぜひ劇場で体感していただけたらと思います。

<インタビューを終えて>
小さな男の子が主人公のお話に感情移入できるかな。一抹の不安を感じながら拝見した本作でしたが、いざ幕が開くと喜怒哀楽を全開にする“くんちゃん”と、次々に展開していくストーリーに引っ張られ、あっというまに小さな庭から始まるダイナミックな世界に引き込まれてしまいました。
泣いたり笑ったりスネたりちょっと悪いことをたくらんだり、自由奔放で現代っ子らしい“くんちゃん”。インタビューさせていただいた上白石さんは透明感のある美少女で、そんな幼い男の子を演じられた方とは……あらためて女優さんの凄みを見せつけられた思いです。
ワクワクする冒険譚の中で、親子、夫婦、兄弟姉妹、祖父母と孫、曾祖父とその子孫といった様々な人間の繋がりが描かれていく本作。“くんちゃん”と一緒に夏の日のファンタジーに身をゆだねるもよし。今、当たり前のようにここにある自分の命は一体どこからきたのか?そんな深遠なテーマに想いを馳せるもよし。どの年代の方が観ても、それぞれの立ち位置で様々な受け止め方、楽しみ方ができる作品です。

『未来のミライ』

声の出演 白石萌歌、黒木華、星野源、麻生久美子、吉原光夫、宮崎美子、役所広司/福山雅治
監督・脚本・原作 細田守
企画・制作 スタジオ地図
配給 東宝
公式サイト http://mirai-no-mirai.jp/
TOHOシネマズ仙台、MOVIX仙台、MOVIX利府、109シネマズ富谷、イオンシネマ石巻、イオンシネマ名取、シネマ・リオーネ古川 にて、公開中!

【ライター 鈴木紘子】【撮影 門山夏子】

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