2017.11.09

仙台アート散歩 vol.15 チクチク刺して生まれる、美しい幾何学模様

仙台で活躍する作家さんの作品を展示・販売している「gallery swallow」と「ヒミツ埜」。
今回はだんだんと寒さが増していくこの季節にこそおすすめしたい「こぎん刺し」の作り手、unemi(ウネミ)さんを紹介してもらいました。まるでプリントされたように布地に馴染んでいたり、編み物のようにぷっくりと浮き出ていたり、いろいろな表情を見せてくれる幾何学模様に目が釘付けです。

津軽地方に伝わる民芸品「こぎん刺し」

こぎん刺しとは、江戸時代から青森県津軽地方に伝わる刺し子技法の一つ。もともとは農民の普段着であった麻布の衣類に、木綿糸を刺すことで粗い布目を補強し、保温効果を高めるための知恵だったこぎん刺し。「豆コ」「べご刺し」など伝統的な模様がいくつもあり、それを組み合わせることで、いろいろなパターンの幾何学模様が生み出されていきます。最近ではその模様のかわいらしさから、ヘアゴムやアクセサリーなども見かけるようになりました。

手芸は苦手だけど、こぎん刺しは楽しい!

このこぎん刺しの小物を製作しているのがunemiさん。ただしunemiさんの作品には、アクセサリー類はほとんど見当たりません。その理由を尋ねると「私、手芸とか細かい作業が苦手で…」と言うから驚き!たしかにunemiさんの作品は、バッグやストールなど、いわゆる“大物”が目立ちます。刺し終えた後は、ミシンでダーッと縫えるものがほとんどですが、どう考えても刺し子自体が細かい作業…。なぜ自身の性格を「大雑把!」と言い切るunemiさんが、こぎん刺しにハマったのでしょうか?
そもそもの出合いは、まだこぎん刺し自体がそこまでメジャーではなかった頃。雑誌で見かけて単純に「かわいい!」と思ったのが始まりだったそうです。ただし当時はパタンナーとして忙しく働いていたunemiさん。本格的に始めたのは、ご主人の転勤で仙台に引っ越し、仕事を辞めてから。「手始めにコースターを作るキットを試してみたら、これならできる!楽しい!と思って。次は刺し方が詳しく書いてある本を買って、独学で学びました」。こぎん刺しは、編み物や刺しゅうのように何通りもの編み方やステッチの種類があるわけではありません。布の縦糸を奇数目に拾い、織り目に刺していくという決まった刺し方を地道に繰り返すことで、だんだんと模様ができあがってくる。しかもかわいいのに実用的!unemiさんがひかれたのは、そんなところだったと言います。

一番大変なのは、素材選び。

手芸が苦手なのに、こぎん刺しの魅力に取りつかれたunemiさん。刺す作業が一番大変なのかと思ったのですが、苦労は意外なところに…。「実は生地や糸探しが一番大変で…。常に探しています(笑)」とのこと。こぎん刺しは麻布に木綿糸で刺すのが基本ですが、unemiさんの作品は、オーガニックコットンやウールを使うなど、素材選びがとても自由!模様は伝統的なこぎん刺しに忠実ですが、生地が変われば布目の粗さも変わるので、模様の大きさが変わります。そこに太さや質感が違う糸を使うことで、同じ模様でもまったく違う印象になるので、素材選びはとても大事なのだとか。ぜひ作品を手に取った時には、そんなこだわりの素材感にも注目してみてください。

どこか北欧を思わせる柄がインテリアとしても人気のこぎん刺しですが、unemiさんの作品は飾るのではなく、“身に付けて使うために作っている”もの。ぜひガシガシ使って、“あたたかくて、丈夫”というこぎん刺しの特長を感じてみてください。仙台市内での常設展示はありませんが、いろいろなイベントに参加されているので、詳しくはブログをチェックしてみてくださいね。

<プロフィール>
unemi(こぎん刺し)
http://unemi.blog.fc2.com/
Twitter @_unemi
Instagram @_unemi

イベント告知

手づくりのアイテムで始める冬支度
羊毛やフェルト、帽子などの作家さんが集まる企画展。帽子、バッグ、マフラー、スリッパなど、冬が待ち遠しくなるアイテムがいっぱいです。
「冬の準備始めましょう。」
日時/~11月19日(日)※月~水曜定休
   10:00~16:00
会場/ギャラリーカフェ Cross Road(刈田郡蔵王町遠刈田温泉字新地西裏山18-2)

ヒミツ埜 gallery swallow

住 仙台市青葉区大町2-7-26 渡辺ビル≪交差点角≫
ヒミツ埜 問い合わせ pukkisan@softbank.ne.jp
gallery swallow 問い合わせ nasukawa@uracata.com

※このページの情報は2017年11月9日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

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