コンビニに並ぶ和スイーツの中でも、毎シーズン新作が登場するほど定番人気のわらび餅。そんなに派手な存在でもないのに人気のその理由は、やはり食感。お餅とゼリーの中間のような、もっちりぷるぷるした口当たりにハマってしまった!という人も多いのでは?
わらび粉のほのかな香りに、素朴なきな粉と濃厚な黒蜜の甘い取り合わせも絶妙です。とにかく甘いのが好きな人はたっぷり、しつこくない甘さを求める人は少しだけ、と黒蜜の掛け具合で甘さを調整できるところも、子供から大人まで春夏秋冬愛されるゆえんですね。
「やっぱり作りたてが一番美味しいんだよね」と遠藤さん。
そんなわらび餅の名店があると聞いて、勇んでやってきたのは地下鉄富沢駅。遠藤久男さんが切り盛りする「山吉商店」は、「本格手作り わらび餅・ところてん・豆かん」を看板に掲げるお店です。以前は百貨店の中に店を構えていたというだけあり、遠方からもお客さんが訪れる実力店。なかでも主力のわらび餅は計4種類とのことで…え、わらび餅ってそんなに種類があるもの?と思うのは山吉ビギナー。個性的なラインナップの数々、早速いってみましょー!
さっぱりした黒糖と上品な白砂糖の甘さ。その時の気分で選んで。
まずは「わらび餅 黒糖入り」(手前)と「わらび餅 白砂糖入り」(奥)。きな粉をまぶした外側は同じように見えますが、半分に切って断面を見ると綺麗な半透明の黒と薄オレンジ色。甘味がしっかり効いているので、黒蜜を掛けずにそのままでも充分美味しい! 国産の上質な本わらび粉の風味を楽しみたいわらび餅ラバーなら、あえて黒蜜なしでいきたいところです。
ちなみに加工でんぷんを使ったわらび餅は透明な断面になるそうですが、本わらび粉を使った山吉商店のわらび餅は淡く透き通ったオレンジ色。そんなところからも山吉商店の本格志向が伺えます。
きな粉の代わりにカカオパウダーをまぶした変化球。子供に人気!
次に目を引いたのが「わらび餅 チョコ」。黒糖わらび餅をカカオパウダーでくるんだ変わり種です。誕生のきっかけは、台湾でわらび餅を販売した際にきな粉が切れてしまったというアクシデント。現地のお菓子を参考に思いつきでカカオパウダーをかけてみたら予想外に美味しくて、そのまま採用してしまったそうです。遠藤さんいわく、バニラアイスとマスカットを添えるのがオススメとのこと。いかにも南国生まれなその組み合わせ、非常に気になります!
お孫さんの誕生とともに9年前に生まれた「はるくん」。
そして今回の取材で一番刺さったのが、遠藤さんのお孫さんの名前をつけたという「わらび餅 はるくん」。通常の大豆より味にコクがある「青ばた豆」をお餅ときな粉に使い、綺麗なペパーミント色のわらび餅に仕上げています。この青ばた豆、だだ茶豆と並ぶ山形の特産在来種なのですが、虫に食われやすく作るのに手間がかかることから今では生産者もめっきり少なくなってしまったそう。そんな希少な豆を惜しみなく使った「はるくん」は、本わらび粉の風味に豆の香りが溶け合って、まさに春のようにやわらかな味。とろ~りやわらかな優しい口当たりも魅力的!
馬が噛みしめたような模様があることから「馬のかみしめ種」とも呼ばれる青ばた豆。
作りたてを食べる贅沢を味わってほしいという想いから、毎日材料の練り方から手作りし、新鮮な商品を店頭に並べている遠藤さん。決して便利な街中ではないにもかかわらず、近所に住むママと小学生の女の子や常連の男性客など、取材中もひっきりなしにお客さんが訪れていました。
毎日食べても飽きない、クセのない優しい味わいのわらび餅。おもたせに、日常のおやつ使いに、お気に入りのお店がまたひとつ増えました。
わらび餅は各550円~。ボリュームたっぷり、かなりお得!
ところてんや豆かんも季節問わず販売中。
“おじいちゃん愛”見つけました
「はるくん」に続き、青ばた豆のババロア「ひろくん」をリリース! もちろんこちらもお孫さんのお名前です。残るお孫さんはあと4人。さてどんなお菓子が生まれるんでしょうか??
山吉商店
022-245-2067
仙台市太白区富沢3-28-31
10:00~16:00
不定休
【ライター 鈴木紘子】【撮影 門山夏子】