今年もこの季節がやってきました! これまで縁がないと思っていた人でも、急にくしゃみが止まらなくなって、目も鼻ものども、かゆいの嵐。“…あれ? まさか!” そう、花粉症はある日突然やってくるのです。長年悩まされている人はもちろん、ついにデビューしちゃった人も、未経験の人だって、今すぐ実践したい花粉症対策をご紹介します。花粉症治療の名医、鈴木耳鼻咽喉科・アレルギー科医院 院長の鈴木直弘先生に教えていただきました!
そもそも、花粉症とは?
花粉症になりやすい人ってどんな人?
はじまる前に! 花粉症治療は早期に限る
Aタイプ 2月頃から早々に症状が出るが、重症にはならない。
Bタイプ 症状が出るのは遅く、3月頃から。いったん症状が出ると重症になる。
Cタイプ 2月頃から早々に症状が出て、かつ重症になる。
Dタイプ 症状が出るのは遅く、重症にはならない。
来年からは逆算して早めに受診しなくては! とはいえ、まずは今出ている症状を少しでもやわらげ、これ以上悪化させないことが先決。鈴木先生に対策を伺いました。
何はなくともマスク! マスクの正しいつけ方
花粉症の対策では、花粉を吸い込まないようにすることが何よりも大切。マスクは欠かせないアイテムです。時期になると多くの人がマスクをつけていますよね。でも、正しくつけられている人って実は少ない!? きちんとつければ、花粉はもっとガードできる!
①「折り目が下向き」を外側にする
写真のように、マスクの折り目が下を向いている面を外側に装着する。逆に、折り目が上を向いている面を外側につけてしまうと、折り目の中に花粉がたまり、花粉を拾って歩いているような状態に! ゴムの接着面が内側、と認識している人が多いですが、ゴムの接着面ではなく、折り目で判断して。
②マスクは24時間フル着用
外出時はもちろん、家の中でも。息苦しくなければ、就寝時にもつけるのが◎。
③マスクは1日3回取り替える
使い回しなんてもってのほか! マスクの内側には唾液や老廃物がたまりやすいので、飲食後には新しいものに取り替えるべし。最低でも1日3回は取り替えて。鈴木先生は、常に10枚ほど携帯!
④マスクには触らない
マスクの外側には、花粉や菌がたくさん付着しています。それらに触れた手で、目や鼻をこすったりなんかしたら…!! マスクを外すときにはヒモを持つようにし、外したらすみやかにゴミ箱へポイッ。
⑤帰宅時は、マスクをしたまま玄関で着替える
外から帰ってきたら、部屋に入る前に花粉を落とす…というのは基本ですが、できれば玄関で服を脱ぐのがベスト。服を脱ぐときに花粉を吸い込まないよう、マスクは着替えが終わってからはずすこと。
これで密着度UP! マスクはWの字に折ろう
マスクをつける前に、鼻の形に合わせて「W」の字に折っておくと、マスクがぴったり密着します。密着度が上がることで、メガネをかけてもレンズが曇りづらくなる効果も!
1.内側の面を中にして、半分に折る。
2.ワイヤー部分を、1の折り目を中心にして、左右を鼻のサイズに合わせて外側へ折る。
※装着時は折り目の山に鼻を当て、隙間ができないように密着させて鼻〜顎までをしっかり覆う。
花粉症にまつわるQ&A
Q.風邪やインフルエンザと、花粉症を見分けるポイントは?
A.熱がなければ、花粉症
「くしゃみや鼻水、鼻づまり、頭がぼーっとするなど、花粉症の症状は風邪やインフルエンザと混同しがちですが、花粉症では熱が出ません。また、風邪やインフルエンザでは、目がかゆくなることもありません。熱が上がらなくて目がかゆいという症状があったら、花粉症を疑ってください。間違った思い込みで市販の風邪薬を飲むのはNG。一日も早く耳鼻科へ行って、検査することが大事です」(鈴木先生)
Q.目がかゆくて辛い! どうしたらいいですか?
A.ゴーグルをつけましょう
「涙は鼻に流れるため、目の内側から入った花粉は鼻とのどへ流れていきます。つまり、せっかくマスクをしていても、目から花粉が入れば、鼻ものどもかゆくなってしまうのです。マスクとセットでゴーグルをつけるのを推奨しています。また、目がかゆいからといってかいてしまうと、充血してさらにかゆくなってしまうので、かくのはこらえて」(鈴木先生)
脇から花粉が入らないようにしっかりガードされた花粉症用のゴーグル。眼鏡店やドラッグストアで購入できます。
Q.肌へのダメージはありますか?
A.あります
「手や足への影響は少ないですが、顔の肌はデリケート。特に目のまわりは皮膚が薄いので、反応が出やすくなります。かゆくてもこするのは厳禁。花粉を浴びないためにも、マスクとゴーグルをつけて肌を守りましょう」(鈴木先生)
Q.メイクをしても大丈夫?
A.質感の強いコスメは使用を控えて
「メイクをしていると、花粉はつきやすくなります。目のまわりのアイシャドウには花粉が付着しやすく、そこから目に入る危険性があります。メイクは控えめにするのがベター」(鈴木先生)
Q.鼻洗浄って、効果ありますか?
A.鼻は洗っちゃダメ!
「鼻の粘膜を傷つけてしまうので、鼻を洗うのはNG。生理食塩水を使った鼻洗浄という方法もありますが、細かくルールがあって難しく、一般の方が行うのは危険です」(鈴木先生)
Q.鼻のかみすぎで、鼻が痛いです。肌もボロボロに…
A.蒸しタオル+クリームで保湿
「蒸しタオルを鼻に当てて温めると、症状もやわらいで気持ちがいいですよ。肌が乾燥している方には、当院では専用の保湿クリームを処方しています。蒸しタオルで鼻を温めた後に、クリームを塗ると効果的です」(鈴木先生)
Q.飲酒・喫煙はしてもOK?
A.控えましょう
「お酒を飲むと鼻がつまりやすくなり、タバコは鼻の粘膜を傷つけます。免疫力も弱ってしまうので、お酒と喫煙は控えるのが基本です」
Q.食べてはいけないものってありますか?
A.メロン、パイナップル、キウイフルーツ、マンゴー、くるみ、梨、茄子など
「果物アレルギーを引き起こす可能性があると言われており、唇が腫れたり、口の中やのどがかゆくなったりする場合があります。すべての人が、というわけではありませんが、スギ花粉症の人で、過去にそれらを食べて口がかゆくなった経験のある人は避けた方がよいでしょう」(鈴木先生)
花粉症ではない人も気をつけるべきこと
・窓を開けない。開けるなら、気温が下がったときに。夜でも花粉が飛ぶので注意!
・ふとんや洗濯物は外に干さない。オール部屋干しに。
・花粉を持ち込まない。外から室内へ入るときには、花粉を払ってから。
・フード付きの服は着ない。フードに花粉がたまります。
また、子どもを持つ親世代は要注意! 「近年、花粉症の発症が低年齢化しており、小学生や幼稚園児での発症が増えています。子どもの場合は毎日外で遊び、マスクをする習慣もないので、重症化しやすい傾向に。親御さんが花粉症でないと気づけないことが多く、症状が悪化してから駆け込まれるケースが非常に多いです。目をこすったり、服の袖で目や鼻を拭いていたら、花粉症の可能性大。早めに病院へ連れて行って、適切な治療を受けさせてあげてください」(鈴木先生)
鈴木先生いわく、スギ花粉は3月の「春分の日」を過ぎたあたりに、最も多く飛び回るのだそう! まさにこれからが最大のピーク!? ビクビク。今回教えていただいたことを今すぐ実践して、心しておきましょう。花粉症が悪化すると、日常生活にも見た目にも支障をきたし、気持ちもブルーになってしまいますよね。新しいことや楽しみが多い春だから、花粉症とうまく付き合って、ポジティブに乗り越えていきましょう!!
教えてくれたのは
鈴木耳鼻咽喉科・アレルギー科医院
院長 医学博士 鈴木直弘先生
耳・鼻・のどの病気全般の治療をはじめ、アレルギー疾患の治療を専門的に行う。30年以上花粉の研究を続け、院内に「スギ花粉症外来」を設置。毎年シーズン時には3000人以上の花粉症患者を診察している。新しい花粉症治療のひとつ「舌下免疫療法」の治療も可能。
鈴木耳鼻咽喉科・アレルギー科医院
宮城県仙台市青葉区五橋2-1-17
022-223-8310
月〜水・金曜 9:00〜12:30、14:30〜17:30
木・土曜 9:00〜12:30
日曜、祝日、第1・3・5木曜休診
http://www.suzuki-otolaryngology.or.jp/
※このページの情報は2017年3月22日現在のものです。
【ライター 池田直美】【撮影 門山夏子】