昔なつかし愛しのシュークリーム ≪今週のカフェ&スイーツ*2話 『甘座』≫

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「手土産に洋菓子を買うなら、甘座(あまんざ)のケーキを」。そんな家族の姿を見て育った仙台っ子は多いのではないでしょうか。おもたせに、普段使いのおやつにと、長年仙台の人に愛されてきた甘座は、定禅寺通りのけやき並木を背にこぢんまりと佇むレトロな洋菓子店。金色の文字で「洋菓子 甘座」と描かれたガラスの扉を開くと、おじいちゃんおばあちゃんの世代から愛されてきた洋菓子たちが、ショーケースの中にちょこんちょこんと鎮座しています。

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「20年ぶりに来たけれど、昔と同じメニューでうれしい」と口にするお客様もいるほど、昔ながらのラインナップ。チーズケーキ、エクレア、ババロア、タルト…そして、昔なつかしい洋菓子といえばシュークリーム。甘座のシュークリームは、生クリームシュークリーム(¥250)とカスタードシュークリーム(¥220)の2種。口の中に運ぶと、甘過ぎない素朴でしっとりとした味わいが広がります。最近では炊いたカスタードにあとから生クリームを足していくのが主流ですが、甘座ではカスタードを炊き上げる際に生クリームを混ぜていく昔ながらのつくりかた。他の洋菓子と同様に、創業当時のレシピを今も大切に守り続けているそうです。

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店内に飾られている創業当時の絵画

そんな甘座の歴史は、東京の老舗洋菓子店やデパートでお菓子づくりの修業をしてきた渡辺社長が、1968年にオープンした国分町の小さな喫茶店からはじまりました。
当時、繁華街の入り口という立地ながら、「甘座なら買いに行ってもいいよ」と先生からお許しをもらってお菓子を買いに来る女学生もいたそう。確かに、白いバタークリームとピンクのチェリークリームを交互にサンドした「コぺリア」(¥250)など可愛らしい生菓子の数々を見れば、思わず通ってしまいたくなる女の子の気持ちも、そしてそれを寛容に許した先生の気持ちも分かる気がします。

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1. バレエの衣装をイメージした「コぺリア」(¥250)
2. チーズケーキ(¥380)。毎日食べても飽きない味。

クッキーやサブレなどの焼き菓子も含め、店頭に並ぶ洋菓子はすべて手作り。お店から数軒先の工場で、ひとつひとつ丁寧に手掛けています。工場を取り仕切るのは、社長の息子さんと下の娘さん。そしてお店で接客を担当するのは上のお姉さんです。
今年77歳になったお父さんが若い頃に美味しいと思い、手塩にかけてつくりあげてきた洋菓子たち。家族で繋ぐその優しさを味わえば、あっというまに子供の頃の気持ちに戻ってしまいそうですね。

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3. 製造と販売、それぞれの持ち場を守る渡辺さん姉妹。
4.夏場はゼリー、冬場はチョコレートなど季節限定商品も。

“可愛い”見つけました

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生菓子だけでなく、豊富に揃った焼き菓子もファン多数 お酒のおともにもぴったりで、バーで出すおつまみ用に購入していく飲食店の方もいらっしゃるそうです。

5.6.見た目も値段も可愛い焼き菓子は¥160~から

甘座

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あまんざ
仙台市青葉区立町26-18
022-263-7229
10:00~19:00
年中無休
イートインスペースあり

【ライター 鈴木紘子】【撮影 門山夏子】

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