【ニューオープン】老舗割烹が手がけるモダン茶室 今週のカフェ&スイーツ*50話『茶房 三』

「やっぱり、日本茶」。大人になった今だからこそ(日本茶ブームも相まって)、最近わかるようになってきた日本茶の魅力。いつも気軽に飲んでいる日本茶ですが、その世界は奥が深く、トレンドを超えた特別な存在感があります。

1月29日、仙台市青葉区立町にある「割烹 天ぷら 三太郎」の敷地内にオープンした「茶房 三(さぼう さん)」。「三太郎」といえば、天ぷらの名店で知られる、昭和48年創業の老舗割烹です。外観から漂う老舗の佇まいに背筋をしゃんと伸ばしつつ、「三太郎」隣にひっそりと佇む、はなれの茶房へ。

店内はカウンターの10席のみ、と限られた席数。それもまた、特別感があっていいんです。事前に予約しておくことをおすすめします。

印象的な円形カウンターと和の美しさが映える、シンプルモダンな空間。窓の外には、小さな滝が流れる日本庭園が。ここに身を置くだけで、心が研ぎ澄まされるようです。

東北ではここでしか味わえない希少な伝統本玉露をはじめ、煎茶、薄茶、オーダーを受けてから焙煎する自家製ほうじ茶、季節のブレンド茶(取材時は柚子とミントの玉緑茶、紅玉と生姜のほうじ茶の2種)など、日本茶は計9種(各1,500円〜)。

桐箱に入った茶葉の見本を前に、スタッフさんが一つひとつのお茶について説明をしてくれます。迷ったら、好みや気分を伝えておすすめを聞くのも◎。

お茶とあわせていただきたいのが、四季折々の和菓子。仙台の老舗和菓子店「賣茶翁(ばいさおう)」に特注している季節の上生菓子、「割烹 天ぷら 三太郎」の板前さんがつくる茶巾絞りや芋ようかん、東京・銀座「HIGASHIYA GINZA」のカステラ、「ひと口果子」など、珠玉の数々に心がときめきます。

そんな魅力的な日本茶と和菓子を、とくと贅沢に味わえるのが「お茶と和菓子のコース」(3,500円)。


1.一献茶×水菓子
はじめは、自家製ほうじ茶の水出し茶でさっぱりと。一晩寝かせた水出し茶はじんわりと甘みがあり、添えられた旬のフルーツとも好相性です。写真のフルーツは、東松島町産のいちご「紅ほっぺ」。

コースでは好きな日本茶を1種選ぶことができ、目の前で淹れてもらえます。

2.お好みのお茶(1煎目)
まずは、お茶だけで。お茶そのものの味を堪能。今回は、玉露のような味わいがあるという煎茶「かぶせ茶」をチョイスしたのですが、お茶とは思えないとろっとした口あたりに、思わずびっくり! まるでダシのような豊かな味わいがして、これぞ日本独特の“うまみ”にあふれた一杯。


3.お好みのお茶(2煎目)×季節の和菓子
苦味と渋味が増す2煎目は、甘いお菓子と一緒に。写真の和菓子は「賣茶翁」の季節の上生菓子「花もも」。店頭には並ばない「茶房 三」のための特注品で、2週間程度で内容が変わる貴重なお菓子です。


4.お好みのお茶(3煎目)×塩味
3煎目になると、スッキリとした余韻を感じられるように。ふきのとうの漬物、ちりめん大豆など、塩気の効いた珍味とよく合う!

甘いものにもしょっぱいものにも合う。その懐の広さを実感しながら、たっぷり3煎もいただけちゃう日本茶。霧島の天然水を使用し、1煎目から3煎目まで、それぞれお湯の温度や蒸らしの時間を変えるこだわりようで、同じお茶でも毎回違う味に出会えるから新鮮です。

シメは、お薄(抹茶)。

5.薄茶×ひと口果子
目の前で丁寧に点ててくれる薄茶を、「HIGASHIYA GINZA」のプチ和菓子とともに。至れり尽くせりのコースに、もう感無量です。


伝統的な作法を用い、最高の淹れ方と絶妙なタイミングで提供してくれる「茶房 三」の日本茶。スタッフさんの美しく細やかな仕事ぶりにも一興。


写真は、仙台市内の人気カフェに勤めていた経験を持つマネージャーの久保田達也さん。コーヒー以上にハマる!? 日本茶の伝統と新しい楽しみ方を教えてくれます。

目で見て、香りや音にも五感をすまして。お菓子やあてとの組み合わせの妙を味わいながら、日本茶の新たな魅力に開眼しそう! 「日本人でよかった」としみじみ思える幸せな時間を、ぜひ過ごしてみて。

“ボタニカル日本酒”見つけました


お茶と和菓子は単品でも注文できますが、実は、お酒と「割烹 天ぷら 三太郎」の一品料理もオーダーOK。カフェとして、バーとして。老舗を気軽に利用できるカジュアルさも「茶房 三」の魅力です。和のスパイス・山椒や柚子、レモンを発酵中に入れることで華やかな香りを楽しめる“ボタニカル日本酒”もチェック!

茶房 三

サボウ サン
住所/仙台市青葉区立町1-20
電話/022-224-1672
営業時間/12:00〜23:00(L.O.22:30)
休/月曜、月1回日曜
HP/http://santarou.jp/san/
※予約優先 ※18:00以降は席料700円

※表示価格はすべて税込みです。
※内容は一例です。時期によって変わります。
※このページの情報は2019年3月8日現在のものです。

【ライター 池田直美】【撮影 門山夏子】

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