2023.06.23

仙台パン図鑑 vol.52 「三麦園」 ~和の素材とパン。意外な組み合わせに驚き、そしてハマる。~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第52回は、オープン以来、瞬く間に人気店となった市名坂の「三麦園(みむぎえん)」へ。ありそうでなかった和の食材とパンとの組み合わせを提案。パンの新たな楽しみ方を教えてくれるパン屋さんです。

狙い目は午前中!売り切れ必至の人気店。

国道4号バイパスのほど近く。朝8時、格子壁に白い暖簾が掛かり“ぱん屋”の提灯が下がったら、「三麦園」オープンの合図です。カウンターにみちみちと並ぶのは、仙台市内の有名店でパン職人としての経験を積んだ若き店主がつくる“日本の食卓に寄り添うパン”。セミハード系や菓子パン、総菜パンがバランスよく並ぶ中でも、「あま酒」「だし醤油」「日本酒」「いぶりがっこ」など、日本人に馴染み深い食材を組み合わせたパンに心惹かれます。

ありそうでなかった食材の組み合わせもさることながら、もう一つ驚くのがその価格です。宮城県産と北海道産小麦粉のブレンドにこだわり、低温長時間発酵で丁寧につくられる「三麦園」のパンですが、価格は控えめ。パンに組み合わせるあんこやカレー、クリーム、ベシャメルソースなどもすべて自家製だからこそ実現できる価格だとか。朝8時のオープンから客足が途切れず、午後には品薄になることが多いのも納得です。

「三麦園」おすすめパンカタログ

そのままはもちろん、具材を挟んでもおいしくいただけるチャバタ生地で、バターを包んで焼き上げた「だし醤油バター」(200円)。カリッ!ジュワッ!と広がる濃厚なバター感と、仕上げにサッと塗られただし醤油のまろやかな風味がクセになります。バター&醤油にだしの風味が加わることで、やさしいお味に。

北海道産小豆を黒糖で炊いたあんこを、米粉入りの食パン生地で包んだ「餡子ぱん」(250円)。見た目はごく普通のあんパンですが、もちっとした食感のパン生地と、こっくりとした甘さが引き立つあんこのバランスのよさに感動!「三麦園」らしさが光る一品です。

オープン当初はメニューになかったものの、最近登場して人気なのが「杜のクロワッサン」(250円)。宮城県産小麦粉と北海道産小麦の石臼挽き粉、発酵バターを使用した、バターの風味を楽しむクロワッサンです。外側はサクッと歯切れよく、中はほどよくしっとり感があり、軽やかで重たすぎないのも◎。

人気が高く売り切れも早いという「宮城野バゲット」(250円)。低温でしっかりと発酵させて焼き上げたバゲットは、小麦の風味豊か!宮城県産小麦を使うことで中は絶妙なもちもち感に仕上げているので、ゴリゴリのハード系は苦手…という人にもおすすめです。ライ麦入りでほんのり香ばしさも感じられます。

最近は焼菓子やオリジナルブレンドコーヒーの提供もはじめたという「三麦園」。駐車場は2台完備。10時半までは隣の焼き肉店の駐車場も利用できるので、ぜひパンが充実している早めの時間帯に訪れてみてください。きっとまだ知らないパンのおいしい組み合わせに驚くはずです。ご夫婦ふたりで営む小さなパン屋さんですが、ゆくゆくはパンの通販もやってみたいとのこと。なかなかお店に足を運べない人にも、いつの日か“日本の食卓に馴染むパン”が届く日がくるかもしれません。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●ライ麦
小麦と同じく、パンやお菓子に使われる穀物。小麦よりも食物繊維が豊富ですが、グルテンを形成することができないので、ライ麦パンはずっしりと重く中身が詰まった仕上がりに。また酸味が強いのも特徴の一つです。「三麦園」ではバゲットにライ麦を入れることで、香ばしさをプラスしています。

三麦園

住所/仙台市泉区市名坂字新道15-4
電話番号/090-7531-8566
営業時間/8:00~16:00
定休日/火・水曜
インスタグラムアカウント/@mimugien

※このページの情報は2023年6月23日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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