仙台パン図鑑 vol.53 「COFFEE & BAKERY värm」 ~家族で営む新しい形のベーカリー~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第53回は、2022年10月、人気のパン屋が点在するエリアにオープンした「COFFEE & BAKERY värm(バーム)」へ。パンとコーヒー、そして料理。それぞれの工程に共通する“熱”を店名に掲げた新しい形のベーカリー。美しく、お味も絶品です。

パンとコーヒーと料理の切っても切れない縁。

新旧様々なパン屋が点在し、激戦区とも言える北仙台駅周辺から北山トンネルにかけてのエリアで、異彩を放つ「värm」。27年続く老舗「カリブコーヒー」が、ベーカリーと薪焼きレストランを一体化させ、新たなスタートを切ったお店です。店内に入ると焼きたてのパン、焙煎したコーヒー豆、そしてほのかに漂う薪の香りが鼻孔をくすぐります。入って左側は店主・阿久津さんが薪焼き料理の腕を振るうレストラン。右側では店主のご両親がコーヒー豆を焙煎・販売し、東京・鎌倉の有名ベーカリーで修行を重ねたパン職人の妻・真琴さんがパンを焼き上げています。

店頭に並ぶのは、食事に合わせるハード系やコーヒーと楽しむデニッシュを中心に約40種。パンの種類によって配合や組み合わせを変えながら、数種類の粉をブレンドして焼き上げる自家製レーズン酵母のパンはどれも香り豊かで美しく、どれにしようか迷いながらつい店内をウロウロ…。レストランで調理するお惣菜を使ったサンドイッチやタルティーヌ、自家焙煎コーヒーを使ったデニッシュなど、「värm」ならではのパンにも心惹かれます。

「värm」おすすめパンカタログ

「värm」の「タマゴサンド」(480円)は一味違います。蔵王地養卵を3つの温度帯で火入れすることで、食べやすさとなめらかさを両立させた玉子クリームが絶品!宮城県産小麦の夏疾風を使った食パン生地はもっちりと歯切れが良く、トッピングされた刻みピクルスやピンクペッパーも良い仕事をしています。

「放牧羊のシシカバブサンド」(650円)は、ベーグル風に焼き上げた食パン生地を使用。ガラムマサラやフレッシュスパイスを練り込み、炭火で焼き上げたシシカバブたっぷりのサンドイッチは、さすがレストランクオリティ!夏にぴったりなスパイシーサンドをガブッといっちゃいましょう。

赤ワインとスパイスで煮込んだドライいちじくや、クルミ、オレンジピール、グリーンレーズンなど具だくさんの「ノワ・レザン・フィグ」(580円)。栗粉を入れて甘みを引き出したカンパーニュ生地は、外はハード、中はしっとり。噛むたびにジュワッと広がるいちじくの甘みがクセになり、ついもう1枚…と手がのびてしまいます。

一番人気は看板商品の「エスプレッソデニッシュ」(390円)。サクサクとした美しい層の中には、自家焙煎コーヒーのエスプレッソ粉を混ぜたアーモンドクリームがたっぷり織り込まれています。上掛けのアイシングにもエスプレッソ粉を混ぜた、ほろ苦さと甘さのバランスが絶妙な一品。ぜひコーヒーをテイクアウトして一緒にどうぞ!

ベーカリーにイートインコーナーはありませんが、レストランで提供するパンはもちろん「värm」のパン。お店で味わいたい人は、ぜひレストランにも足を運んでみてください。さらに最近はベーカリーバルもスタート。テイクアウトしたパンを、レストランスペースでナチュラルワインや自家焙煎コーヒー、タパスなどと一緒に楽しめます。今のところ月2回程度の不定期開催なので、インスタグラムのお知らせをこまめにチェックしてみてください。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●夏疾風
宮城県が学校給食パン用として開発した小麦粉です。夏疾風を使ったパンは、もっちりとした食感と歯切れの良さが特徴。「värm」では主に食パンに使用しています。なお「värm」の食パンは甘みを加えるためにメープルシロップを使用。ハチミツは入っていないので1歳未満でも安心して食べられます。

COFFEE & BAKERY värm

住所/仙台市青葉区木町17-15
電話番号/022-219-3118
営業時間/11:50~19:00 ※パンが売り切れ次第終了
定休日/火曜、隔週水曜
インスタグラムアカウント/@coffeebakery_varm

※このページの情報は2023年7月21日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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