レトロな温泉街のNEWスポット。鳴子温泉にグッとくるカフェが誕生! 宮城のカフェ&スイーツ*82話『cafe gutto』

CAFE DATA
『cafe gutto(カフェ グット)』
ジャンル:鳴子カフェ、温泉街カフェ
オープン:2023年5月20日
エリア:鳴子、鳴子温泉、大崎市
ランチ:○ テイクアウト:○(ドリンクのみ) Wi-Fi:× 電源:○ ペット:× 支払い:現金、クレジットカード

2023年5月にオープンした「cafe gutto(カフェ グット)」は、JR鳴子温泉駅から徒歩約5分。豊富な湯量と泉質を誇る鳴子温泉は、古くから湯治場として栄え、今も歴史ある宿が多く残っています。街を歩けば、温泉らしい硫黄の香りがふわり。味のある喫茶店や食堂、土産店が建ち並び、古き良き湯の街の情緒を感じます。

ダークブラウンの木の外観が、レトロな街並みに調和しています。

ガラス張りでオープンな空間は、ふらっと入りやすい雰囲気。温泉街でドリンクをテイクアウトできる貴重な一軒でもあります。周辺には無料で利用できる足湯や手湯があるので、購入したドリンクをおともに浸かるのもよし。街歩きの楽しみが増えました。

統一感のある木製テーブルと椅子、座面と植物のグリーンカラー。ナチュラルテイストの店内には、心地いい音楽が流れています。おや、かわいい先客がいらっしゃいますね。

中から外の通りを眺めることができ、湯の街ムードに浸りながらひと休みできます。

写真左から、cafe gutto代表の島 征史(まさし)さん、店長の渡邊亜沙人(あさと)さん。

「鳴子といえば、温泉のイメージが強いですが、それだけじゃないんですよ」と、島さん。鳴子温泉や周辺地域の“グッときたもの”を紹介したいという思いから、店名をcafe guttoに。「『グッド』ではなく、『グッと』です!」と、島さんがにこやかな笑顔で念を押します。

グッド(いいね)よりも、グッと心に響いて感動が込み上げてくるものを。仙台から移住してきた二人だからこそ感じる鳴子温泉郷の魅力を、ここから発信しています。例えば、料理には鳴子をはじめ、大崎市の食材を使用。コーヒー豆は、近隣エリアのロースタリーから厳選し、仕入れています。

古川にあるコーヒーとカレーの店「茶房クレイン」の「鳴子ちゃんブレンド」は、浅煎りでスッキリとした酸味が特徴。肉料理やパンと好相性です。美里町「ハタナカコーヒーロースター」の「HATANAKAブレンド」は、苦味のアクセントが効いていて、スイーツにぴったり。時期によって変わる「気まぐれブレンド」もあります。

◆ハンドドリップコーヒー(Ice) 550円
3種類のブレンドから選べるコーヒー。オーダーが入った後に豆を挽き、丁寧にハンドドリップで抽出します。いれたての香りと味わいは、格別。ホットの場合は500円。

お腹がグ〜ッと鳴ったら、営業時間中はいつでもランチをオーダーできるのもうれしいです。

◆gutto lunch plate 1,250円
大崎市産「伊達ざくらポーク」のローストポークと、鳴子のブランド米「ゆきむすび」のパン、季節のキッシュ、サラダ、副菜、スープが付いたワンプレートランチ。

ローストポークは、伊達ざくらポークのしっとりとした食感を楽しめるように、絶妙な火入れ加減にこだわって調理。素材のうまみが引き立つシンプルな味付けで、好みで岩塩とホワイトペッパーをかけていただきます。とろけるような口あたりと上品な脂身に、うっとり。

ゆきむすびの米粉パンは、パンとお餅の中間のような食感で、もっちり! ゆきむすびのモチモチ食感を活かしたレシピで、専門業者に特注しています。表面をサクッと焼き上げたトーストで提供。バターがじゅわりと染み込み、噛めば噛むほどうまみが広がります。

カフェ好きなら、「喫茶店の○○」シリーズも見逃せません。メニュー名から惹かれます。

◆[週末限定]喫茶店のハードプリン 500円
これぞ喫茶店のプリン!といった王道ビジュアル。甘くてかわいいだけではなく、プルンとした弾力で、スプーンを入れても動じません。たっぷりかかったカラメルソースのほろ苦さも絶妙。喫茶店めぐりが好きなパティシエの、思い出と技術が詰まった絶品プリンです。金・土・日曜限定。

◆喫茶店のココア(Ice) 600円
アイスココアには、ホワイトチョコレートの音符がぶら下がっています♪ グラスからはみ出るキュートなサービス精神。店のロゴをモチーフに、パティシエが一つひとつ描いているそうで、手が込んでいます。ココアとチョコの濃厚な二重奏は、忘れられない一杯に。

「地元のおいしいものや喫茶店ならではのちょっと特別な演出で、旅の思い出になるひとときを過ごしてもらいたいです」。そう話す渡邊店長は、宮城大学大学院に在籍中、サードプレイス(第3の居場所)としてのカフェのあり方を研究。居心地のいい場所づくりを大切にしています。おもてなしやメニューには遊び心もチラリ。

店舗は、空き家だった建物をリノベーション。10数年前までは商店が営まれていたそうで、かつての名残が見られます。そうしたストーリーも込みで、新しいのに懐かしさも感じる店。

cafe guttoは、観光客が減少している鳴子温泉郷に、活気を生み出すための拠点として誕生しました。誰でも立ち寄りやすいカフェという場所で、地域のおいしいものを提供。マルシェなど、地域内外から人が集まるイベントも企画・実施しています。

カウンター上の壁をよく見ると…。赤と緑の横線は鳴子こけしの絵柄、縦に流れる曲線は温泉マークがモチーフになっています。湯の街であり、こけしの産地である鳴子温泉郷をイメージしたデザイン。

周辺のおすすめスポットを紹介するコーナーも。美しい作品を生み出すこけし職人や英語が堪能なそば店の店主、タキシード姿がカッコいいバーのマスターなど、個性豊かで魅力的な鳴子の人たちについても教えてくれます。実際にこの街で暮らすスタッフさんの話は、耳寄りなものばかり。地元の人との会話を楽しみながら、ググっても出てこないリアルな情報を得られるのも、旅先カフェの醍醐味です。

取材したのは夏。ドアを開け放していたので、よりオープンな雰囲気でした。通りがかった近所の人が、店内にいるスタッフさんと私たちに「こんにちは」と声をかけてくれる場面も。温かいのは温泉だけじゃない。人の温かさにも出会えます。

ちょっと足を延ばせば、手足をうんと伸ばして名湯に浸かる幸せが待っている鳴子温泉。仙台から電車で約90分、車なら約80分。正直、少し遠いなと思っていたのですが、旅のお目当てになるスポットが増えたことで、距離がグッと縮まりました。cafe guttoでおいしい休憩を挟みながら、鳴子で湯めぐりを。日々の疲れを洗い流しに、癒やしの温泉&カフェコースはいかが?

“かわいい先客”見つけました


カフェの本場、フランス・パリでは、コロナのロックダウン中に、ビッグサイズのテディベアがカフェやレストラン、通りをジャックする現象が起こりました。人が減って寂しい街ににぎわいを演出し、市民や訪れる人を笑顔にしたいという、ある書店オーナーの粋な計らいから。そのアクションをお手本に、鳴子温泉のcafe guttoにもテディベアが仲間入り。入口で出迎えてくれるときもあれば、飲食をしていたり、堂々と寝ていたり。愛らしい姿に、思わずクスッ。今日も店のどこかにいるはずです。

cafe gutto

カフェ グット

住所/宮城県大崎市鳴子温泉湯元27-2-2
TEL/050-3171-7099
営業時間/9:00〜16:00(L.O.15:30)
定休日:火・水曜
Instagram/cafe_gutto_naruko


※表示価格はすべて税込みです。
※このページの情報は2023年7月31日現在のものです。
※最新情報はInstagramを確認してください。
【ライター 池田直美】【撮影 門山夏子】

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