「大人女子の取扱説明書」知っておきたい!更年期の手指トラブル〝カラダ本音カフェ“【PR】

「これって、私だけ?」「人には相談しづらい…」。女性ならではの疑問や本音について、カフェのような空間でリラックスしながら語り合う〝カラダ本音カフェ“。6回目となる今回は、国立病院機構仙台医療センター形成外科医長の鳥谷部荘八先生にお越しいただき、更年期に伴う「手指トラブル」をテーマに開催しました。

教えてくれたのは

国立病院機構 仙台医療センター
形成外科医長
鳥谷部荘八先生

参加者

(左から)中野良美さん(40代)、藤尾真紀子さん(50代)、岡本美希さん(40代)

更年期に伴う手指トラブルとは?
・更年期におけるエストロゲン分泌の急激な低下が原因で、腱や関節が腫れ、様々な手指トラブルが現れる。
・症状は、関節の腫れ、痛み、しびれ、こわばり、瓶のふたが開けられないなど様々。
・更年期に伴う手指トラブルは、注射や手術をしなくても改善できる場合がある。

女性には必ず訪れる更年期というライフステージ。実はその時期に、手や指のトラブルで悩む方も少なくありません。自ら不調を抱える参加者や、身近に手指トラブルに悩む人が増えてきたと話す方も。今回の座談会では、その症状や、注射や手術といった治療の前にできる対処法について、鳥谷部先生に教えていただきました。

手指トラブルにもエストロゲンが関係している!

鳥谷部先生:みなさんは、手がこわばる、しびれる、動かしにくいといった経験はありませんか?

中野さん:私は腱鞘炎になりました。仕事でパソコンのキーボードを打つときや、印鑑をたくさん打つときに、手の付け根や肘のあたりが痛くなることがあります。仕事柄どうしても安静にできないので、なかなか治りません。

藤尾さん:私は1年半ほど前から指のこわばりがあって、15分ほどすると治りますが、それが毎日続いた時がありました。その後ばね指になってしまい、右手の親指の手術の経験があります。

岡本さん:私自身まだ症状はありませんが、先輩方や経営しているエステサロンにいらっしゃるお客様にも、手指トラブルで悩まれている方が増えている印象です。

鳥谷部先生:更年期になると女性ホルモンであるエストロゲンが急激に減少します。エストロゲンは、手や指の動きを支える腱や腱鞘を取り囲む「滑膜」にも関係していて、腱や腱鞘を守る働きをしています。

しかし、更年期を迎えてエストロゲンが減少することでその保護作用が弱まり、手の痛みやこわばり、動かしにくさ、腫れといった症状が出やすくなるんです。

病院を受診すると「年齢のせいですね」「使いすぎですね」と言われることもありますが、実際にはエストロゲンが関係しているケースも少なくないので、本当の原因を考えてみる必要があります。

更年期に関係する手の疾患

鳥谷部先生:更年期によく見られる手指の痛みの元となる疾患には様々なものがありますが、これらの疾患で来られる患者さんの9割が女性で、そのうち9割は更年期以降の女性と言われています。

手指の痛みの元となる疾患
A へバーデン結節…指の第1関節が腫れて痛い
B ブシャール結節…指の第2関節が腫れて動きが悪くなる
C 腱鞘炎―ばね指…指の付け根が痛い
  ―ドケルバン病…腕にかけて痛みが走る
D 手根管症候群…小指以外の指がしびれる、細かい物が扱いづらい
E 母指CM関節症…親指の付け根が痛み、瓶のふたが開けられない
図:大塚製薬提供

藤尾さん:私は昨年ばね指で手術をしましたが、まだほかにもこんなに手指の痛みの元となる疾患があるとは、ちょっと心配になりますね。

中野さん:私も気にしていたのは腱鞘炎くらいでしたが、最近ペットボトルのふたが開けづらくなっているので、母指CM関節症の初期症状だったらどうしようと心配になりました…。

岡本さん:それぞれの症状をしっかり覚えておこうと思います。もし症状が出た時には、どのように対処したらいいのでしょうか?また、どこに相談に行ったらいいのでしょうか?

鳥谷部先生:症状が出た時には、整形外科や形成外科を受診してみてください。また、手を専門に診ている手外科の先生も宮城県内には何名かいらっしゃるので、そこを受診されるのもいいですね。

症状が進行して変形が起きてしまってからだと手術をすることになってしまいます。変形が起きる前に受診すれば、進行を遅らせることはできるので、気になる症状がある場合はなるべく早く受診してみてください。

注射や手術の前にできることがある!

鳥谷部先生:今までは手指の痛みの元となる疾患それぞれに対して、注射や服薬、手術をしきましたが、最近では、女性の更年期特有の手指の諸症状に関する一連の疾患として捉えられるようになってきました。

更年期における手指トラブルは、今までお話ししてきた女性ホルモン関係の問題、それから手の使い過ぎ、糖尿病や膠原病、甲状腺の疾患でも起こるので、それらをすべて含めて更年期手「メノポハンド」と言われています。

最近の治療の傾向としては、それぞれに対してアプローチするというよりは、手指トラブル全体にアプローチすることが大切になってきています。

手指トラブルの最新アプローチ
●漢方治療
●装具療法(テーピングなど)
●原疾患の治療
→それぞれを徹底してダメだった場合に注射や手術

セルフケアの一例
●サプリメントの活用(エクオール)

更年期になるとエストロゲンが減ることによって手指トラブルが起こることはこれまでにもお話ししてきました。では、それを補うにはどうしたらいいのかと言うと、実際に「エストロゲン補充療法」という治療があります。ただしこれは婦人科の先生のもとで慎重に行う必要があるんですね。

ではそれ以外の方法はないのか。そこで出てくるのが「エクオール」です。大豆イソフラボンから作られるもので、エストロゲンと構造がとてもよく似ています。女性ホルモンに近い作用を持つと考えられているので、こちらをサプリメントで摂取するのも一つの方法です。

また、更年期の方が婦人科に行くと漢方を処方されることがよくありますが、これは手指トラブルにも有効です。

さらに、テーピングなどの装具療法で改善が見られることもあります。もちろん、糖尿病や膠原病、甲状腺の疾患などがあればその治療をすることで症状が良くなることもあるので、それぞれをしっかり徹底してダメだった場合に注射や手術というアプローチを選択することになります。

手指トラブルの対処法POINT
・気になる症状があったら、早めに整形外科や形成外科を受診しよう!
・症状が進む前に対応することで、注射などや手術を回避できる可能性も!
・漢方、装具療法など、注射や手術の前にできることはたくさんある!
・セルフケアの一環として、エクオールを取り入れる方法も!

中野さん:エクオール自体は知っていましたが飲んだことはなくて。私もちょっと飲んでみたいですね。私は腱鞘炎があるので、テーピングのことも気になりました。

藤尾さん:私は痛みが出てから半年以上放置して、病院に行ったらすでにばね指が重症で注射や手術となってしまったので、もう少し早く病院に行っておけばよかったと思いました。

岡本さん:更年期は女性なら誰もが通るステージなので、今回手指トラブルの症状や対処法などを広く知ることで、自分に症状が出た時も焦らなくて済みそうです。

鳥谷部先生:女性特有の手指のトラブルは、エストロゲンの減少が関わっていることが多いと言われています。ばね指や手根管症候群などいろいろな疾患がありますが、これらを一つひとつの疾患として見るのではなく、全体がエストロゲンの減少とつながっていると考えることが大切です。

私たちの治療では、漢方薬、テーピングなどを組み合わせて、手術や痛みを伴う注射をなるべく回避する方法を行っています。昔であれば「年齢のせい」と片付けられていたものも、原因が分かってきていることが多いので、「年だから仕方ない」と諦めず、気になる手指トラブルがあれば整形外科や形成外科を受診し、治療や予防につなげていただきたいと思います。

座談会を終えて

更年期に伴う手指トラブルは、ホルモンの影響を大きく受けます。症状は身近でありながら「仕方ない」と見過ごされがちですが、注射や手術の前にできる対処法もたくさんあります。手や指は生活のあらゆる場面で使う大切なパートナー。痛みやこわばりを我慢せず、早めに気づいて対応することが健やかな毎日につながります。

大人女子の取扱POINT
myベストパートナーになってくれる「かかりつけ医」を持とう!

※このページの情報は2025年10月8日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

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