【家族で考える夏の免疫のケア.2】第80回ドクターサーチみやぎ市民公開講座

今、話題になっている健康情報をお届けする「ドクターサーチみやぎ市民公開講座」。今回は、「家族で考える夏の免疫のケア」をテーマに開催されました。
本記事では、基調講演や登壇講師によるパネルディスカッションをお届けします。

第80回ドクターサーチみやぎ市民公開講座「家族で考える夏の免疫のケア」
2026年7月12日 仙台市内で開催

市民公開講座の内容
第一部 講演①「免疫をケアすることで期待される感染症対策」
講師:東北医科薬科大学大学院薬学研究科
   臨床感染症学教室 教授 藤村茂先生
講演②「微生物×免疫によるアンチエイジング」
講師:東北大学大学院医学系研究科
   感染病態学分野/総合感染症学分野 教授 青柳哲史先生
第二部 パネルディスカッション

レポート2.「微生物×免疫によるアンチエイジング」

人生100年時代を迎え、健康に年齢を重ねるためには、老化の仕組みを知ることが重要です。免疫と腸内環境の関係に着目し、微生物がアンチエイジングにどのようにつながるのか、東北大学大学院医学系研究科の青柳哲史先生にお話を伺いました。

講師:東北大学大学院医学系研究科
   感染病態学分野/総合感染症学分野 教授 青柳哲史先生

人生100年時代の現実

世界的に平均寿命は延びているといわれています。「人間50年」という言葉が使われていた1600年代から1950年代までの間で、日本人の平均寿命は約60歳と、約400年かけて10年ほどしか延びていませんでした。

ところが、この50年で一気に延び、現在では女性の平均寿命は約87.1歳、男性も約81.1歳となり、今後さらに高齢化が進んでいく中で、人生100年時代を健康に生活していくには、どういったことが大切かを考えていかなければならない時代に突入したといえます。

しかし、健康寿命(健康でいられる年齢)は、男性は約72.6歳、女性は約75.5歳といわれているのが現実です。平均寿命と健康寿命の10年の差には、加齢に伴う疾患による身体機能の低下、認知症といった要因が関係していると考えられています。

加齢と老化、生物学的年齢の違い

加齢と老化の違い

加齢は時間の経過とともに年をとることで、誰にも止められない摂理です。一方、老化とは、加齢に伴って起きる心身の機能の衰えと定義され、進行スピードには個人差があります。加齢は防げませんが、現代医学では老化はコントロール可能であると考えられるようになってきています。

実年齢とは異なる「生物学的年齢」

さらに、老化に関わる言葉の定義として、「生物学的年齢」があります。これは暦年齢(生まれてからの経過年数)とは異なり、体の細胞や健康状態、老化度によって大きく変化します。

例えば、高血圧の方は実年齢より2歳、慢性的な腎臓病の方は6~7歳も生物学的年齢が進んでいるという研究結果があります。こうしたエイジギャップを埋めていくことが、正しく年をとっていくうえで非常に重要です。

現代医学におけるアンチエイジング

現代医学でアンチエイジングとは、細胞や血管、そして免疫システムをいかに若々しく保ち、老化そのものを遅らせることを目的としています。

WHO(世界保健機関)でも、2019年から国際疾病分類の中に「老化関連」という言葉が追加され、これまで自然現象とされていた老化が、医学的に「介入可能な疾患」として捉えられるようになってきました。

免疫老化と炎症老化

免疫も老化する

免疫システムには、体内に侵入した細菌やウイルスなどの病原体から体を守るだけでなく、体内の老廃物や異常な細胞を排除する役割があります。20歳をピークに、年齢とともに低下していくといわれており、免疫力が低下すると、感染症やがん、自己免疫疾患などにつながる可能性があります。

さらに、生物学的年齢が上がると、免疫システムの低下が早まり、こうした疾患のリスクも高まるといわれています。

慢性的な炎症を引き起こす「炎症老化」

免疫老化の特徴の一つに、「炎症老化」があります。免疫のバランスが崩れることで、体内の炎症をうまく制御できなくなり、慢性的な炎症状態が続くようになります。

炎症老化に関わる因子は、肥満・食生活の乱れ・ストレス・睡眠不足・喫煙などさまざまです。炎症老化が急激に進むと、心筋梗塞やアルツハイマー病、がんなどの発症リスクが高まります。一方、慢性的な炎症状態が続くことで、骨や筋肉の衰え、いわゆる「衰弱(フレイル)」につながります。

しかし、生物学的年齢を戻すことは可能だと考えられるようになってきました。例えば、運動は骨への刺激や成長ホルモンの分泌を促し、若返りにつながるといわれています。また、食事や睡眠、精神的な要因、環境要因、そして治療も健康寿命に大きく関わっています。

微生物と免疫、腸内環境の関係

腸内環境と炎症老化

私たちの体に存在する数百兆個の微生物の90%は消化管に生息し、さらに、体内の免疫細胞の約70%が腸粘膜に集まっています。また、さまざまな食べ物が入ってくる腸管は、常に微生物やウイルスにさらされており、免疫システムにおいて非常に重要な役割を担っています。

腸内細菌のバランスが崩れると、腸の細胞に隙間ができ、そこから炎症を引き起こす物質や発がん物質、菌の毒素が血管に入り込み、炎症老化につながるといわれています。プロバイオティクス(善玉菌そのもの)やプレバイオティクス(善玉菌のエサとなる成分)を摂取することで、腸内環境を整えることが可能とされています。

乳酸菌が免疫に与える影響

乳酸菌の一種であるL.ラクティスプラズマは、免疫の司令塔であるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)を直接活性化することで、免疫全体を活性化させることが知られていますが、風邪やインフルエンザの症状を軽減するだけでなく、非臨床の研究では皮膚の厚さをキープするといったデータも確認されています。

免疫力を上げることは、腸内だけに留まらず、呼吸器や肌、さらには脳と、各臓器と密接につながっています。

微生物との共存で「老化をコントロールする」時代へ

微生物に対する免疫力を高める一方で、慢性的な炎症老化を抑えることができれば、健康な体作りが可能になり、自立した生活、外見の維持、そして心の安定にもつながります。

結論として、微生物の力で免疫を若返らせることは可能です。老化はコントロールする時代に入り、生物学的年齢も生活習慣によって若く保つことが可能と考えられるようになってきました。

人類は微生物と共存しているため、感染症にかかったり、腸内細菌のバランスが乱れたりすることで、老化が進む可能性があります。一方で、腸内環境を健康に保つことで免疫力は上昇し、老化を抑えることにつながると考えられています。

ここまでは「免微生物×免疫によるアンチエイジング」に関してのレポートを掲載しました。
続きの記事もありますので、ぜひご覧ください!

※このページの情報は2026年9月18日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

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