【家族で考える夏の免疫のケア.3】第80回ドクターサーチみやぎ市民公開講座

今、話題になっている健康情報をお届けする「ドクターサーチみやぎ市民公開講座」。今回は、「家族で考える夏の免疫のケア」をテーマに開催されました。
本記事では、基調講演や登壇講師によるパネルディスカッションをお届けします。

第80回ドクターサーチみやぎ市民公開講座「家族で考える夏の免疫のケア」
2026年7月12日 仙台市内で開催

市民公開講座の内容
第一部 講演①「免疫をケアすることで期待される感染症対策」
講師:東北医科薬科大学大学院薬学研究科
   臨床感染症学教室 教授 藤村茂先生
講演②「微生物×免疫によるアンチエイジング」
講師:東北大学大学院医学系研究科
   感染病態学分野/総合感染症学分野 教授 青柳哲史先生
第二部 パネルディスカッション

レポート.3 パネルディスカッション

参加者の皆さまから寄せられた質問に、講師を務めていただいた東北医科薬科大学大学院薬学研究科の藤村茂先生と東北大学大学院医学系研究科の青柳哲史先生にお答えいただきました。

パネリスト
東北医科薬科大学大学院薬学研究科 臨床感染症学教室 教授 藤村茂先生
東北大学大学院医学系研究科 感染病態学分野/総合感染症学分野 教授 青柳哲史先生

質問1

Q.感染症対策を行ううえでマスクは大切ですか?夏はマスク着用もつらくなりますが、暑熱順化も含めた感染対策について教えてください。

藤村先生:新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の流行以降、さまざまな情報が飛び交い、「マスクをしてもウイルスを跳ね除けるわけがない」といった声も聞かれましたが、ウイルスは必ず水分を含んだ「飛沫」という形で口や鼻から放出されます。この水分を伴ったウイルスをマスクが引っ掛けてくれるため、飛沫を防ぐのには非常に効果的です。

確かに夏場は息苦しくて大変ですから、人がいない場所や風通しのよい場所であれば、必ずしも着ける必要はありません。人混みの多い朝夕のラッシュ時や、イベント等を控えて、「今はかかりたくない」という方には、着用をおすすめします。

質問2

Q.免疫力が高いことと、免疫が過剰に反応して起こるアレルギーや自己免疫疾患との違いを教えてください。

青柳先生:「免疫力が高い」といわれると、高ければ高いほど良いと勘違いされる方も多くいらっしゃいますが、免疫においても「正しく年をとっていく」ことが重要です。

年をとればとるほど体は臨戦態勢になりやすく、総じて免疫が上がったままの状態が続いてしまいます。若い頃はそれを抑える力が働いていますが、年齢とともにその力がなくなってきてしまい、その結果、自分自身の体を攻撃してしまう自己免疫疾患につながることがあります。

一方で、アレルギー反応は、免疫がピークになる20代~30代の頃に出やすく、高齢になるに従って反応も下がっていくといわれています。

質問3

Q.基本的に食事が良いことはわかりますが、免疫には遺伝的な要素も関係するのでしょうか?

青柳先生:免疫システムは生まれてから作られていくものですが、そもそも私たちが生まれた時に遺伝子に刻み込まれた免疫情報というものもあります。中には、欠落して生まれてくる方もいらっしゃいます。そういった方は、小さい頃から感染症や病気になりやすい場合があります。

年齢を重ねるに従って起きてくる免疫の変化については、遺伝子的な変化よりも、環境的な変化が遺伝子の制御に大きく関わっていることが最近分かってきました。

質問4

Q.家族で同じものを食べていても、風邪をひきやすい人とひきにくい人がいます。食事以外にも生活の中でできるケアはあるのでしょうか?

藤村先生:風邪の原因となるウイルスは20~30種類あり、どのウイルスに感染するかによっても異なります。しかし、ウイルスがいつ、どこで体内に入ったのかは、本人にも分かりません。飛沫を浴びるだけでなく、ウイルスが付着した場所に触れた手で鼻を触るなど、感染のきっかけは人それぞれです。同じ家族であっても24時間全く同じ行動をしているわけではないため、たまたま感染する機会があったかどうかにも左右されます。

そして、睡眠が非常に重要です。睡眠時間をしっかり確保することも、免疫力を高めることにつながります。同じように風邪のウイルスにさらされたとしても、十分な睡眠を取れている人と、睡眠不足の人とでは、ウイルスを跳ね除ける力が違ってくると考えられます。

質問5

Q.一番効果的な免疫ケアの方法を教えてください。

藤村先生:乳酸菌やビフィズス菌など生きた菌を、薬としてではなく食品として毎日摂り続けることは大切です。

実際、摂取した菌の多くはそのまま便として排出されてしまうことが分かっていますが、一部の菌は腸内で増えていきます。ただ、その量はどうしても少ないため、毎日摂り続けることが腸内細菌のバランスを保つうえで非常に重要です。

しかし、「ヨーグルトしか食べない」といった偏りはよくありません。さまざまな食品をバランスよく食べることが大切です。

質問6

Q.夏を元気に乗り切るための過ごし方を教えてください。

青柳先生:夏場のムシムシとした不快感は、私たちの体にとって大きなストレスになり、免疫力が下がりやすい状況といえます。

免疫を老化させる要因はさまざまありますが、特に夏場に注意したいのが紫外線です。海で一日遊んだ時と室内で過ごした時では疲労度が全く違うように、紫外線は細胞自体にもかなりのダメージやストレスを与えます。

食事についても、夏場はどうしてもそうめんなどの冷たいものを食べてしまいがちです。冷たいものは腸管の動きを悪くしてしまうこともあるため、冷たいものばかりではなく、発酵食品などの体によいとされるものも取り入れることをおすすめします。

さらに、いかに質のいい睡眠をとるかということも、元気に乗り切るための非常に大切なポイントです。

質問7

Q.加齢とともに栄養の吸収力や免疫力は低下してくるのでしょうか?

青柳先生:腸も同じように年をとります。「若い頃はいくら食べても平気だったのに、今は焼肉を食べると下痢をしてしまう」といったことも、年をとったことにより、油の吸収力が落ちてきているからです。このように、年をとるに従って栄養を吸収する力というのは、どうしても低下してしまいます。

お腹の中のバランスを保つために、必要なものを意識して摂取するように心がけていくことが大切です。

質問8

Q.免疫はアンチエイジングにどのような影響を及ぼすのでしょうか?

青柳先生:免疫が老化することによって、外界からやってくる微生物に対する抵抗力や、体内で発生するがん細胞などの探知能力も落ちてしまいます。

一方で、年をとるに従って免疫力が変に向上することによって、いわゆる炎症老化につながります。こうした状態を抑え、組織へのダメージを少しでも減らしていくことが、アンチエイジングに大きく関与しています。

質問9

Q.新型コロナで入院した経験があります。感染症を甘く見てはいけないと実感しました。今後の新しいウイルスや治療薬について教えてください。

藤村先生:新型コロナは今年で終わりということはなく、来年、再来年とウイルスも生き延びるために進化し続けます。その過程で、また強毒な株が出てくる可能性もあるため、高齢者など、基礎疾患を有し命を落とすリスクが高い方々は、ワクチン接種をおすすめします。

また、新型コロナの治療薬もだいぶ整ってきています。インフルエンザとは異なり、新型コロナの場合、一番怖いのは罹患後症状です。現在は、新型コロナで命を落とす方は以前より減っていますが、いかに罹患後症状を起こさないようにするかという意味でも薬の力は非常に重要です。

「風邪の延長かな」と油断してしまうと、後々つらい思いをされるかもしれません。まずは近所のかかり付けの医院等で、きちんと診断を受けてください。そのうえで、医師から薬をすすめられた際は、よく相談して薬の選択も考えていただきたいです。

今は薬の値段が先行してしまい、「インフルエンザなら薬をもらうけれど、新型コロナなら要らない」という風潮も出てきていますが、新型コロナがまだ危ない感染症であることは間違いありません。

今回は「家族で考える夏の免疫のケア」のパネルディスカッションのレポートを掲載しました。
改めて第一回のレポートをご覧になりたい方は、ぜひチェックしてみて下さい!

※このページの情報は2026年9月18日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

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