【家族で考える夏の免疫のケア.1】第80回ドクターサーチみやぎ市民公開講座

今、話題になっている健康情報をお届けする「ドクターサーチみやぎ市民公開講座」。今回は、「家族で考える夏の免疫のケア」をテーマに開催されました。
本記事では、基調講演や登壇講師によるパネルディスカッションをお届けします。

第80回ドクターサーチみやぎ市民公開講座「家族で考える夏の免疫のケア」
2026年7月12日 仙台市内で開催

市民公開講座の内容
第一部 講演①「免疫をケアすることで期待される感染症対策」
講師:東北医科薬科大学大学院薬学研究科
   臨床感染症学教室 教授 藤村茂先生
講演②「微生物×免疫によるアンチエイジング」
講師:東北大学大学院医学系研究科
   感染病態学分野/総合感染症学分野 教授 青柳哲史先生
第二部 パネルディスカッション

レポート.1「免疫をケアすることで期待される感染症対策」

感染症対策において、免疫をケアすることにはどのような意味があるのでしょうか。感染症と免疫の関係や、免疫ケアという考え方について、東北医科薬科大学大学院薬学研究科の藤村茂先生に解説していただきました。

講師:東北医科薬科大学大学院薬学研究科
   臨床感染症学教室 教授 藤村茂先生

腸内環境を整える「腸活」

●腸内細菌のバランス

近年、「腸活」という言葉を耳にしますが、腸活とは、腸内細菌のバランスを整える行為のことです。そのバランスを保つことにより、アンチエイジングや抗アレルギー、免疫強化、美容など、さまざまな効果につながると考えられています。

腸内細菌には、日和見菌、善玉菌、悪玉菌が存在しており、その割合は「日和見菌:善玉菌:悪玉菌=7:2:1」程度がバランスのよい状態とされています。このバランスが保たれていると、大きく体調を崩しにくいとされており、悪玉菌もまったくない状態がよいわけではなく、一定量存在することも重要です。

●プロバイオティクスとプレバイオティクス、注目のポストバイオティクス

感染制御を考えるうえで、プロバイオティクス、プレバイオティクス、そして近年注目されているポストバイオティクスという考え方があります。

プロバイオティクスとは、乳酸菌やビフィズス菌などの生きた菌を体内に取り入れることで、悪い菌の増殖を抑えることにつながると考えられています。

しかし、生きた菌を摂っても、その多くは胃酸によって死んでしまい、腸管内に到達できるのはごく一部です。そこで、オリゴ糖など、腸内細菌の栄養となる成分を含むプレバイオティクスを一緒に摂ることで、腸管内に到達した菌の増殖が期待されています。

近年、注目を集めているのが、ポストバイオティクスという考え方です。これは生きた菌そのものではなく、不活化された菌の成分を取り込むことで、腸内環境の改善や免疫力の向上などが期待されています。

また、ポストバイオティクスは生きた菌ではないため、管理が比較的容易なうえ、菌そのものを取り込まなくても効果が得られると考えられています。

新型コロナウイルス感染症の現状と課題

●現在も注意が必要な新型コロナウイルス感染症

新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)は「もう終わった」と感じている方もいるかもしれませんが、医療現場では現在も注意が必要な感染症と考えられています。例えば、昨年はインフルエンザが大きく流行しましたが、それでも新型コロナによる死亡者数はインフルエンザの約3倍にのぼり、軽視することはできません。

●新型コロナ感染後の免疫と後遺症

新型コロナの流行初期は、一度感染すると抗体価が1年以上持続するとされていましたが、ここ数年流行しているオミクロン株では、1年持続しないことが分かってきています。

また、世界的に問題となっているのが、感染後のいわゆる「罹患後症状」です。通常は、感染すると免疫によってウイルスが抑えられ、症状は改善します。しかし、免疫だけではウイルスを完全に排除できず、一部が体内に残ることで、さまざまな影響を及ぼす可能性も指摘されています。こうしたことから、感染症対策は引き続き重要です。

ウイルスに対抗する免疫の仕組み

●免疫の司令塔「樹状細胞」

ウイルスは人の細胞に入り込み、その細胞の働きを利用して増殖します。また、細菌に作用する抗菌薬はウイルスには効かず、ウイルスそのものを殺滅するものではありません。

そのため、ウイルスに対抗するには、私たち自身の免疫が重要になります。中でも、司令塔のような役割を担っているのが、プラズマサイトイド樹状細胞(pDC)と呼ばれる細胞です。樹状細胞が活性化すると、ウイルスに対抗するインターフェロンαが作られ、ウイルスの排除につながります。

●L.ラクティスプラズマに関する研究・調査

実際に、L.ラクティスプラズマという乳酸菌の一種を用いて、樹状細胞の反応を調べた実験では、新型コロナに感染した細胞と樹状細胞を一緒に培養すると、反応はみられるものの、その活性は弱く、その間にウイルスは増殖してしまいます。

一方、L.ラクティスプラズマを加えると、樹状細胞がしっかり活性化し、ウイルスの増殖が抑えられることが確認されました。

また、L.ラクティスプラズマの摂取により、新型コロナ感染後の味覚・嗅覚障害の改善が早まったことや、インフルエンザの発生が抑えられたことを示唆するデータも得られています。

これらの要因の一つとして、我々は、L.ラクティスプラズマにはインターフェロンα の産生を促進することを明らかにしました。

なお、L.ラクティスプラズマを継続的に摂取しても、インターフェロンαは体内に蓄積せず、樹状細胞にも過剰な活性化を抑える仕組みがあるため、問題はないとされています。

感染症対策に「免疫のケア」という選択肢

感染症対策としては、咳エチケットや人が多く集まる場所でのマスクの着用、手洗いなどが重要です。これに加えて、免疫をケアするという考え方もあり、その一つとしてL.ラクティスプラズマのようなポストバイオティクス製品が挙げられます。

ポストバイオティクス製品の多くは医薬品でないため、臨床的効果や用法用量が確立されていませんが、胃酸の影響を受けにくいという特徴があり、インフルエンザや新型コロナをはじめ、さまざまなウイルス性疾患に対して、症状の緩和や予防、および治療の補助として期待されています。

ここまでは「免疫をケアすることで期待される感染症対策」に関してのレポートを掲載しました。
続きの記事もありますので、ぜひご覧ください!

※このページの情報は2026年9月18日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

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