Vol.
2021.12.01

【セミナー配信中】「正しくしろう、女性ホルモン」仙臺いろはウェルネスセミナー

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11月3日、秋晴れが心地いい仙台市内で「仙臺いろはウェルネスセミナー 正しくしろう、女性ホルモン」が開催されました。座長は「大人女子の取扱説明書」企画でおなじみ、東北大学の八重樫教授。抽選で選ばれた30代〜60代の女性約60名が参加しました。「女性ホルモン」をキーワードに、より快適で健康的な生活を送るためのヒントが満載の本セミナー。参加できなかった人のために、セミナーの録画版を配信します。また、配信動画のほか、セミナーのレポートをテキストでも掲載しています。(テキストはセミナーの内容を抜粋して再編集しています)


第一部 基調講演「大人女子のカラダ・メンテナンスを一緒に考える」



第二部 パネルディスカッション「女性のヘルスケア-更年期症状とのつきあい方-」



教えてくれたのは


大人女子のカラダ・メンテナンスを一緒に考える

女性ホルモンって、よく聞く言葉でなんとなくはわかっているつもりだったけれど、いざ説明してと言われると難しい…なんて人、多いのでは? 「実は、女性ホルモンは医学用語ではありません」という志賀先生の言葉からスタートしたセミナー第一部。女性ホルモンの正しい知識から、女性ホルモンの影響で起こる更年期の症状、更年期を乗り切るセルフケアまで、志賀先生に教えていただきました。

そもそも、「女性ホルモン」って?

女性の卵巣から生成される性ステロイドホルモンには、エストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)があります。いわゆる女性ホルモンは、エストロゲンを指していたり、エストロゲンとプロゲステロンの2つをあわせて指していたりします。今回はエストロゲンを中心にお話をします。

女性のカラダの大黒柱「エストロゲン」

エストロゲンには以下の働きがあります。
・乳管の発育を促進
・古い骨を溶かし、新しい骨をつくり出す
・善玉コレステロールを増やし、脂質の循環を良くする
・コラーゲンを増やし、肌の乾燥を防いでハリをキープ
まさに、女性のカラダを若々しく元気に保ってくれる大黒柱!

更年期にエストロゲンは急減する

エストロゲンの量は、女性のライフステージに伴って変化します。思春期に卵巣の中で徐々に卵胞発育のサイクルが整い始め、血中のエストロゲン量が高まると初経を迎えます。そして、性成熟期にかけて排卵周期が確定し、エストロゲン量も増加。このとき、エストロゲン量は最大に。その後、30代後半から排卵周期が乱れ始め、徐々にエストロゲン量が下がり始めます。さらに更年期に入ると、閉経に向けてエストロゲンが急降下し、老年期には低い状態になります。更年期とは、このエストロゲンの急降下の時期。エストロゲンが低下することによってさまざまな症状が起こり、「更年期症状」と呼ばれています。

やってみよう!更年期の症状セルフチェック

更年期症状とは、更年期の女性に現れる症状で、ほかの病気が原因ではない症状。更年期は閉経前の5年間と、閉経後の5年間を合わせた10年間を指します。日本人女性の閉経年齢の平均は50.5歳。以下は、更年期の代表的な症状です。現在あなたが感じている症状はありますか? それぞれの症状の程度を「無」「弱」「中」「強」の4段階でチェックし、合計点数を出してみましょう。

出典:小山 嵩夫 , 1992

採点結果
0〜25点:更年期を上手に過ごせています。このままの生活を続けていきましょう。
26〜50点:食事や運動などの生活習慣に気をつけて、無理のない生活を送りましょう。
51〜65点:産婦人科または更年期・閉経外来を受診し、医師の診察を受けたほうが良いでしょう。
66〜80点:半年以上の長期間にわたる計画的な治療が必要です。
81〜100点:各科の精密検査を受け、その結果に基づいた長期的な対応が必要です。

更年期は大きな変化のステージ

なぜ、更年期にはさまざまな症状が起こるのでしょうか? それには、更年期世代ならではの3つの理由がありました。

① 女性ホルモンの減少・揺らぎによるカラダの変化
大きな要因は、エストロゲンの低下によるホルモンバランスの乱れです。月経の停止、乳房の萎縮など、明らかなカラダの変化を感じるようになり、女性らしさの喪失を感じやすくなる時期。自律神経が不安定になり、自律神経失調障害も出やすくなります。体力の衰え、気持ちの落ち込みから、気力が低下しているように感じ、自分の限界を自覚する場面も多くなります。


② 環境の変化からくるストレスの影響
お仕事をされている方は、職場では年齢とともに責任ある仕事が増え、リーダー的な立場に変化する時期。私生活では身近な人が亡くなることが多くなり、人間関係の喪失感も感じやすい時期でもあります。家族も変化の時期。年齢による両親の変化に心を打たれたり、介護やサポートに疲労したりします。結婚している人であれば、夫婦生活が長くなり、夫との関係性に悩むかもしれません。子どもがいる人であれば、子どもの思春期、自立の時期と重なり、悩みを抱えがちです。


③ ①②の変化をどう捉えるか?性格の問題
まじめで頑張り屋さん、完璧主義の方は、更年期症状を感じやすいです。

このように、更年期の症状はホルモン要因と環境要因、性格要因が混ざり合って起こるため、症状や程度が人によってさまざまなのです。そこで大事なのが、カラダのメンテナンス! 変化するカラダを大事にケアしながら、人生100年時代を過ごしていく必要があります。

更年期世代のためのセルフケア

◎環境を整えよう
家族や友人など、まわりの人に無理のない範囲で自分の状況を伝えて、状況を理解してもらいましょう。察してほしいと思うかもしれませんが、それは難しいです。状況を説明し、どうしてほしいのかを具体的に伝えてみましょう。同じ悩みを持つ友人と悩みを共有するのも大切です。自分だけではないと思うだけで、気持ちが楽になるかもしれません。そして、信頼できるかかりつけ医を見つけましょう。自分でなんとかしないと!と抱え込むのではなく、医療を頼ってください。


◎運動習慣をつくろう
運動習慣の定義は、30分以上の運動を週2回以上、1年以上継続していること。なかでもヨガは、更年期の心理症状やホットフラッシュに効果があると報告されています。ヨガに限らず、適度な運動は骨粗しょう症対策にも大変重要です。


◎食事もセルフケアの一つ
筋肉量の低下などにより、加齢とともに基礎代謝量が低下します。さらに更年期になると、エストロゲンの低下に伴って脂質代謝の変化、骨代謝の変化が起きます。この変化に対応しないまま、今までと同じ食事をとっていると、栄養が過剰な部分と欠乏する部分が混在。老年期には、骨粗しょう症や動脈硬化性疾患のような生活習慣病を発症するリスクが高まってしまいます。このような背景を理解して、更年期女性は食事の内容に気をつける必要があります。

女性の味方!大豆イソフラボン「エクオール」

重要な栄養素はたくさんありますが、今回は大豆イソフラボン、エクオールについてお話します。大豆などに含まれる大豆イソフラボンは、摂取すると腸内の細菌によって代謝され、エクオールという産物になります。エクオールにはエストロゲンに似た働きがあり、摂取することで、ホットフラッシュや肩こりなどの更年期の症状を改善し、女性を若々しく元気にしてくれるという報告もあります。しかし、残念ながら、全員がエクオールを自前で産生できないこともわかっています。

エクオールは産生できる人とできない人がいる

自前で産生できる人は欧米人が約30%、日本を含むアジア人は約50%。欧米人とアジア人の産生能力の差は、食事による大豆食品の摂取の差だと考えられています。また、日本人の中でも年齢によってバラつきがあり、中高年女性は半数ほど産生できるのに対し、若年女性は2割程度でした。この差も、若い人が欧米の食生活に変化し、大豆摂取が減っていることが原因と考えられています。今の若い人が更年期世代になったときには、より更年期症状がひどく出るのではと危惧されます。自分がエクオールを産生できるかどうかを調べるキットもありますので、気になる人はぜひ調べてみてください。

大豆イソフラボンの摂取目安は一日約50mg

エクオールを産生できる人の場合、さまざまな有効性を認めたエクオール10mgを産生するには、大豆イソフラボンを一日約50mg摂取する必要があります。大豆50gに相当し、豆乳200g(コップ1杯)、納豆50g(小粒1パック)、豆腐200g(2/3丁)程度です。和食中心の生活を心がけていけば、十分に摂取できる量ですよね。大豆食品は、エストロゲン作用だけではなく、良質な植物性タンパク質としても積極的にとりたい食品です。

エクオールはサプリメントで摂取できる

エクオールを産生できない人も、安心してください。サプリメントで摂取できます。また、エクオールを産生できる人でも、腸内環境によって産生能は変化し、産生できる量にも日によって幅があります。そのため、エクオールを産生できる、できないに関わらず、サプリメントを活用するのも選択肢の一つです。サプリメントの場合は、含有量が表示されているものを選んで摂取しましょう。

更年期症状と更年期障害の違い

更年期の症状によって日常生活に支障が出ている、困っていると本人が感じるのであれば、それは「更年期障害」となります。産婦人科を受診しましょう。更年期障害の治療には、大きく4つの方法があります。

① ホルモン補充療法
体内で減少したエストロゲンを薬剤で補い、症状を改善する方法。更年期障害の治療に対して有効性が高い一方、血栓症や乳がんのリスクについて検討する必要があります。


② 漢方療法
副作用が少なく、種類が豊富。症状に合わせてテーラーメイドで処方できるメリットがある一方、切れ味が悪く、飲みにくいというデメリットを感じる人もいます。


③ 向精神薬
心理的症状が強い方には有効性が高いです。ただし、消化器症状などの副作用や飲み合わせに注意が必要です。


④ カウンセリング
安全ですが、通常診療の中で十分な時間が取れないこともあります。

それぞれの治療法について主治医の先生と相談し、納得して治療を選択してください。

ホルモン補充療法でがんになりやすい!?

そう心配される人が多いです。確かに、ホルモン補充療法では乳がんや子宮内膜がんのリスクについて検討する必要がありますが、このリスクは一年あたり1,000人中1人以下くらいの発生率。座ってばかりの現代のライフスタイル、肥満、アルコールなどの生活習慣からくるリスクと同じ程度なのです。治療をやめれば、リスクは低下します。そのため、乳がんリスクを極端に恐れて必要な治療を遠ざける必要はないかと考えます。私たち産婦人科医はリスクについても正しく理解をしていて、リスクのある患者さんにすすめることはありません。また、あまり知られてはいませんが、ホルモン補充療法をすると、大腸がん、食道がんになるリスクが下がるという報告もあるんですよ。

今から老年期の予習をしておきたい

ここまでお伝えした更年期のメンテナンスは、更年期をより良くするだけではなく、老年期のQOL(生活の質)の向上につながることも知っておいていただきたいです。老年期に出てくる病気は、実は更年期のうちから潜在的に進行しています。特に、骨粗しょう症に関わる骨密度は、エストロゲンの急激な変化とともに閉経前から徐々に低下し、閉経後に急速に減少していきます。更年期の時期からセルフケアや運動で骨密度低下を補いながら骨粗しょう症を予防し、老年期を健やかに過ごしましょう。

更年期は人生の折り返し地点

人生100年時代といわれている今、生まれてからの人生100年を100mトラックにたとえると、閉経の約50歳はちょうど半分の折り返し地点です。半分も走ってくれば、カラダにさまざまな変化が起きます。しかし、この変化を「変革のとき!」とポジティブに捉えていただき、これから半分どのように走ろうかと、改めて考える機会にしていただけたらと思います。そして、カラダをうまくメンテナンスしながら大事に使っていただきたいです。今回ご紹介したセルフケアを心がけていただき、お困りのことがありましたら、産婦人科に相談してください。私たち産婦人科医は、女性の皆様の健康管理に伴走します!(志賀先生)

女性のヘルスケア〜更年期症状とのつきあい方〜

第二部ではみなさんから寄せられた質問をもとに、八重樫先生、立花先生、志賀先生がパネルディスカッション。更年期あるあるの悩みから、更年期障害の治療、月経前症候群(PMS)や産後うつ病の話など、女性特有のカラダと心に関する質問にたっぷり答えていただきました。

Q1.更年期なの?ほかの病気なの?と迷い、不安になる症状があります。どうしたら不安が解消できますか?
立花先生:まず、女性のカラダや自然史、更年期を知ることから始めてみるのが有効ではないでしょうか。本日のような公開講座を利用して学ぶのもいい方法だと考えます。まずは知ることにより、自身の症状が当てはまるのかをセルフチェックすることで、漠然とした不安は解消されるのではないでしょうか。

志賀先生:そのうえで、症状が多岐にわたるのであれば、更年期症状の可能性があります。いろいろな症状があってわからないという場合には、まずは産婦人科の受診をおすすめします。産婦人科で治療しても改善しない場合は、医師に相談して症状と関連するほかの診療科を紹介してもらい、一つひとつの症状について、不安を解消していくと良いと思います。

八重樫先生:まずは、正確な知識を持つこと。どうしてもわからないときには、一人で悩まないで産婦人科へ。気軽に相談できるかかりつけ医を持っておくことも大事です。


Q2.更年期症状は、更年期の女性全員に起こることではないのでしょうか。まわりに話してもわかってもらえないと感じます。
志賀先生:周囲にわかってもらえないのはつらいですよね。同じ女性でも、完全に症状が一緒ではないので、共感は難しいことが多いかもしれません。男性なら、なおさらのこと。自分がしてほしい環境づくりを伝えてみてはいかがでしょうか。たとえば、「私はホットフラッシュで今とても暑いから、窓を開けてほしい」などと具体的に。自分はこういう症状で困っているので、こんなときにはこのようにしてもらえたら助かる、と言ってあげると、まわりも対処しやすいと思います。もっとオープンにして、まわりに発信していきましょう。

八重樫先生:更年期に限らず、病気には個人差があります。感染症のかかりやすさやワクチン接種の反応なども、人によって違いますよね。まわりの人には具体的に話すことが大事です。


Q3.ホルモン補充治療をやめると、症状はまた出てきますか?
志賀先生:ホルモン治療はのぼせ、異常発汗、めまいなどの自律神経失調症状には大変有効なので、中止後に、多くの女性が自立神経失調症状の再燃を訴えられます。中止時期や中止方法は主治医とよく相談しましょう。徐々に減量する方法や、減量・中断時に漢方薬やエクオールサプリメントを併用する方法もあります。中止時期も、梅雨時期や夏などの自律神経失調症状が強く出やすい時期は避けるなど、工夫すると良いです。


Q4.月経前と月経中の精神的な不安定さがあり、嫌になることがあります。
立花先生:もともと、思春期、月経期、産褥期、更年期など、女性ホルモンの変動が激しい時期には抑うつなどの感情に関わる気分不調が出やすいことがわかっています。これには、エストロゲンが脳内モノアミン(落ち着きに関わるGABA、やる気や興味に関わるドパミン、幸福感に関わるセロトニン)の調整に関わるため、その変動の影響を受けているのではないかといわれています。また、体温調節などもエストロゲンの影響を受けていて、エストロゲンの低下はその閾値を狭めるため、通常体温の範疇でも異常な反応を示すと考えられています。
一方、月経周期が順調で月経前の不調や気分不快が月経によって改善する場合には、月経前症候群(PMS)や月経前不快気分障害(PMDD)との見分けが必要です。このような障害がある人は、更年期にもホルモンの変調に対して反応しやすいといわれています。
更年期のホルモン変動は、いずれ落ち着きます。終わりのない絶望的な状況ではないことを知っておいていただきたいです。


Q5.出産前後のホルモンバランスについて教えてください。産後にPMSの症状がひどくなったと感じます。PMSの対策方法が知りたいです。また、PMSと更年期障害、産後うつ病の違いがわかりません。
志賀先生:妊娠の進行に伴い、胎盤ではエストロゲン、黄体ホルモンなどの性ホルモンが大量に産生されます。エストロゲンは妊娠していない女性の約50倍、黄体ホルモンは約10倍にもなります。それが産後数日から数週間で、妊娠していない女性のレベルまで戻るのです。
月経前症候群(PMS)は、月経開始前の5日間に頭痛や腹痛などの身体的な症状が出てきたり、抑うつ、イライラ、不安などの精神的症状が出てきたりして、月経開始後4日以内ぐらいに症状が改善する疾患です。30代、40代の人に多く、出産を機にひどくなったと訴える人も多いように感じています。卵巣ホルモンの変動や黄体ホルモンの代謝産物と何らかの関連があるとの報告がありますが、いまだに病態は不明な部分が多いです。エストロゲンが急激に下がることに加えて、プロゲステロンの代謝産物が悪影響を与えているのではないかといわれています。月経がある間はいつでも起こりうる疾患です。
産後うつ病は産後直後の性ホルモンの急降下と関連し、産後2週間以降にうつ病の症状を発症。数か月と長期間続く疾患です。環境も変わり、赤ちゃんもできて自分のことはケアできないし、カラダの中でも大きな変化が起こるということで大変な時期なんです。まわりのサポートがなければ、より気持ちも沈んでしまいます。更年期障害については、先ほど説明した通りです。

立花先生:更年期は女性ホルモンの減少に対応してホルモン補充療法がありますが、PMSや産後うつ病については、必ずしも卵巣機能の低下によるものではないホルモン変動が関与しているため、排卵や月経といった変動を抑制する治療として、低用量ピルなどによる治療が有効になる場合があります。また、ホルモン補充療法以外の治療法もありますので、まずは産婦人科へご相談いただければと思います。


Q6.女性ホルモンとコレステロール値について。閉経後にコレステロール値が急に上がり、内服治療を始めました。女性ホルモンとコレステロール値は関係があるのでしょうか?
立花先生:エストロゲンとコレステロール、中性脂肪などの脂質代謝には関係があります。女性ホルモンが低下すると、悪玉コレステロールであるLDL、中性脂肪が増加し、善玉コレステロールのHDLが低下します。この変化は、閉経後に急激に起こることが多く、閉経前からの脂質異常についてはもともとの内科内分泌疾患をお持ちの可能性がありますので、一概に女性ホルモンの影響と決めつけるべきではありません。原因としては、エストロゲンは肝臓のLDLの受容体の減少や産生に関わる酵素の活性化を促進し、さらに、血管拡張に関わる一酸化窒素の減少などに関わるため、肝臓に取り込まれない血中LDL(悪玉コレステロール)の増加と血管の収縮が相まって、動脈硬化などにつながっていくと考えられています。

八重樫先生:このように、女性ホルモンは肝臓や骨、脳など、女性のカラダのいろいろなところに働きかけていることがわかりますね。


Q7.朝、寝起き時に、手のしびれや関節の痛みがあります。内科や整形外科では異常はないと言われています。整形外科で更年期の症状ではないかと言われました。閉経の影響があるのでしょうか?
志賀先生:関節痛は、更年期にみられる症状の一つです。更年期女性の半数程度が関節痛を経験するという報告もあります。骨、軟骨、靭帯、筋肉にもエストロゲン受容体があるので、閉経は運動器にも影響を与えます。エストロゲンが低下することによって炎症が引き起こされ、痛みを感じやすくなり、さまざまな因子を介して筋肉量や筋力が減少することで関節炎や関節痛が起こると考えられています。ただし、更年期は関節リウマチや変形性関節症など、関節痛や関節炎を起こすほかの疾患も発症しやすい時期です。それらの疾患をきちんと否定したうえで、更年期症状として治療していくのが良いと思います。

八重樫先生:更年期の特徴的な症状に、ホットフラッシュや動悸といった症状があります。それがまずあったうえで、ほかにもさまざまな更年期症状があるという場合には、更年期障害を疑ってください。


Q8.更年期障害に関連したサプリメントが多くありますが、どういった効果が認められますか?
立花先生:現在市販されているサプリメントとしては、大豆イソフラボンやエクオールが有効性が高く、臨床試験での実績も多いと考えます。残念ながら、レッドクローバー(ゲニステイン、ダイゼインなどのイソフラボン)、ザクロ(天然のエストロゲンといわれたが、女性ホルモン成分の検出なし)、ローヤルゼリー、ハーブなどについては、更年期関連の症状や内分泌異常を改善する明らかな有効性は認められていないようです。もちろん、健康そのものを維持するための適量の摂取を否定するわけではありません。

八重樫先生:更年期障害のメインとなる原因はエストロゲンが急激に下がることですが、それだけではなく、更年期障害にはさまざまな要因が絡んでいます。サプリメントだけを飲めばいいのではなく、きちんとした食事や運動を心がけ、精神的なストレスの元となっている問題があれば解決するなど、生活全体を見直すのが大事です。


最後に、先生方からメッセージをお願いします。
志賀先生:一人で悩まないことが一番大事です。周囲や医療に頼ってください。

立花先生:本日は男性の参加者もいらっしゃって素晴らしいなと思います。女性のホルモンについて理解することは、パートナーを理解するきっかけにもなる。女性だけが悩んでいる場合が多いなか、良き理解者であってほしいと思います。男性にももっとこういった講座を受けていただき、女性のカラダを理解してもらいたいですね。

八重樫先生:多くの病気は、一つのことだけが原因で起こっているわけではありません。遺伝的な体質、運動習慣、食生活、環境など、いろんなものが複合的に起こって発症し、発症しても重症化したり、しなかったり。更年期障害も狭い視野で考えず、広い視野で対応していただきたいです。

知っているようで、ちゃんと知らない。聞きたくても、人には聞けない。そんな女性ならではのカラダと心にまつわるお話がたくさん聞けたセミナーでした。ライフステージと女性ホルモンの変化に合わせて、カラダだけではなく、環境を整えることの大切さを実感。そして、女性に寄り添ってくれる産婦人科医の存在を心強く感じます。今回のパネルディスカッションのように、悩みや不安をどんどんオープンにしていいし、医師やまわりの人たちにもっと頼っていいんだ!と、気持ちが少し軽やかになりました。まずは環境から整えて、自分のカラダを整えていきましょう。

※このページの情報は2021年12月1日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】
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