更年期と女性ホルモンのつら〜い関係「大人女子の取扱説明書」【PR】

知っているようで、ちゃんと知らない。聞きたくても、人には聞けない。女性ならではの不調や不安について、東北大学の八重樫先生率いるドクター陣が解説!

こんにちは。東北大学の八重樫です。今回のテーマは「女性ホルモンと更年期障害」。中高年女性の多くは、月経異常から始まり、ホットフラッシュ、うつ状態や不眠、尿失禁など、さまざまな不定愁訴に悩まされます。これらは女性ホルモンを正しく理解することで、より快適な毎日を送れるようになります。詳しくは、東北大学病院 周産母子センター講師、婦人科外来医長の渡邉先生に教えてもらいましょう。

教えてくれたのは

東北大学大学院医学系研究科長・医学部長
婦人科学分野 教授
八重樫伸生先生

東北大学病院
周産母子センター講師 婦人科外来医長
渡邉 善先生

【更年期障害のさまざまな症状】

精神神経系の症状
頭痛/めまい/不眠/不安感/イライラ感/うつ

血管運動神経系の症状
ホットフラッシュ(ほてり、のぼせ)/動悸、息切れ/寝汗、発汗/むくみ

皮膚・分泌系の症状
のどの渇き/ドライアイ

消化器系の症状
吐き気/下痢、便秘/胃もたれ、胸やけ

運動器官系の症状
肩こり、腰痛、背中の痛み/関節痛/しびれ/手指の痛み、しびれ、変形

泌尿器・生殖器系の症状
月経不順、不正性器出血/尿失禁/性交痛

こんなにある!更年期障害の症状

「更年期障害」とは、更年期に卵巣の活動低下によってあらわれるさまざまな身体的、精神的変化をいい、症状の程度によって日常生活や社会活動にも支障をきたしてしまいます。上記のチェックリストからもわかるように、カラダから心まで症状が多岐にわたり、感じ方も人によって異なるのが特徴です。

40歳から心の準備をしておくと良いかも

「更年期」とは月経が永久に停止する閉経前の5年間と、閉経後の5年間をあわせた10年間を指します。閉経の年齢は、平均して50歳前後。早い人で40代前半、遅い人で50代後半など、人によって異なります。40歳を過ぎてから症状や体調の変化があらわれ、なかなか改善しない場合には、更年期障害の可能性を考えると良いでしょう。
また更年期障害は、卵巣機能が低下し、女性ホルモン分泌が不安定になることからさまざまな症状があらわれます。卵巣機能が低下すると、月経周期が短くなる、月経が一時的に止まる、月経量が少なくなる、月経がだらだらと止まらない、不正出血があるなど、月経に関連する症状が起こることも。このような症状が出てきた場合には、「そろそろ更年期に入ってきたのかな」と考えるのが良いと思います。

なぜ、更年期の女性は不調が多いの?

更年期障害の主な原因は、卵巣の活動性が低下することにあります。20~30代の女性では卵巣が活発に働き、月経周期(または排卵周期)に合わせて、卵巣から女性ホルモンの一種であるエストロゲンが規則的かつ安定的に分泌されています。年齢が上がるにつれて卵巣の活動性が徐々に低下すると、エストロゲンが大きく揺らぎながら低下。更年期障害は、この「エストロゲン分泌の不安定さ」に加えて、加齢などの「身体的要因」、性格などの「心理的要因」、家庭や職場での人間関係などの「社会的要因」が複合的に関与しています。
更年期は、体重増加、筋力低下、血圧上昇などの身体的変化が顕著になってくる時期でもあります。さらに40~50代の女性は、家庭内でも仕事上でも中心的な存在を担っていることが多く、人間関係などの心理的ストレスを強く感じている人もいるでしょう。このように更年期世代の女性は、「エストロゲン分泌の不安定さ」に加えて、その他の副要因を多く抱えており、更年期障害の症状を引き起こしやすい状況ともいえます。

症状や感じ方は人によって違う

月経の状況(月経周期、月経時の痛み、月経血の量、月経前症候群など)は人によって違います。また、閉経年齢もまちまち。そのため、卵巣機能の低下もしくはエストロゲン分泌の不安定さも人によってさまざまなのです。エストロゲン分泌が急に不安定になる人もいれば、ゆるやかに低下する人もいますし、比較的若い頃から低エストロゲン状態の人もいます。女性ホルモン分泌の経年変化は人それぞれで、変化に対する感じ方も人によって異なるのです。最近では、女性ホルモンと似た働きをするエクオール(大豆由来成分)を腸内で産生できる人は、産生できない人と比較してほてりやのぼせなど更年期世代によくみられる症状が軽い傾向にあるという報告も。このように、更年期世代の女性が感じる症状は十人十色です。

生理がつらい人は、更年期もつらい!?

PMS(月経前症候群)、PMDD(月経前気分不快障害)を有している女性は将来、更年期障害を起こすリスクが高いという報告があります。そのメカニズムは不明ですが、身体的・精神的症状が更年期障害の症状に似ていることや、病態が女性ホルモンの状態に依存していることから、PMS、PMDDと更年期障害では共通するリスク要因があると考えられます。また月経困難症の場合は、PMSと相互に関連していて、そのメカニズムも不明ですが、炎症性環境やホルモン動態の関与などが考えられています。そのため、月経困難症がある人も、将来更年期障害を起こす可能性があります。

「歳のせい」と諦めないで

更年期の症状は、向き合い、認知することが大切です。更年期障害を理解するだけでも気持ちが楽になるという人もいます。そして、適切な治療をすれば症状は改善すること、その結果、より充実した生活が送れるようになることも知っていただきたいです。「もしかしたら更年期障害かも?」と思う変化があれば我慢せず、気軽に産婦人科へ相談してください。(渡邉先生)
大人女子の取扱POINT
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※このページの情報は2021年10月12日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

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