街なかで、ちょっと時間が空いた時。夜遅くまで開いていて、ひとりでも何人で来てもまったりできる静かなカフェがあるととっても便利です。たくさんのお店が軒を連ねる仙台駅前ですが、意外にもそんなお店は少ないような…。
7/18にオープンしたばかりの『Café青山文庫』は、まさにそんな一軒。毎日午前11時から深夜0時までオープンしている使い勝手の良さ、そしていつ来てもしっとりと落ち着いた空気が流れる店内は、とても駅から徒歩数分のビルの5階とは思えません。
まず目に飛び込んでくるのは大量の本! お店の方に伺うと、全部で5000冊はあるのでは…とのこと。文学全集や哲学書など硬派なハードカバーから、池澤夏樹、乙一、乃南アサといった現代の人気作家まで読み応えのある本がクラシカルな本棚に鎮座。純文学、恋愛小説、ミステリー、デザイン書…硬軟取り混ぜて、読み手に選ばれる時を待っています。
フロアの真ん中には相席用の大きなテーブル、それを囲むようにレイアウトされた四人卓。おもしろいのは、それぞれのテーブルに「心理学」「アート」「数学」「女性」「芥川賞」…とテーマに沿った本が置かれていること。知らずにテーブルについたのも何かの縁、普段は手に取らない本との出会いを楽しむのも素敵です。なかには「落語」がテーマのテーブルも!
やわらかい光が差し込むカウンター席も人気。窓辺に一列に並ぶのは、カバーを外したクリーム色の文庫本たち。
お店のコンセプトは「本と珈琲とインクの匂い」。気になる本を選んだら、ハンドドリップで丁寧に淹れた本格コーヒーを注文しましょう。
コクを求めるなら「パナマ」、酸味派には「コスタリカ」、マイルドでバランスのとれた一杯なら「青山文庫ブレンド」がおすすめですが、今の季節ならすっきりと爽やかな飲み口の「珈琲ソーダ」(¥650)を。500mlも入る巨大ビーカーがポイント!
贅沢にもハンドドリップコーヒーにペリエをin。目の前でシュワシュワとスタッフさんに注いでもらう様子は、まるで理科の実験みたい…?
さてお食事。ヘルシーなそば粉のガレットと迷いましたが、ここはオーブン料理の「焼きカレー」(¥800)をチョイス。ぐつぐつと煮立った状態でテーブルに運ばれてくるので、思わず「わ~!」と歓声を上げたりして、なんとなくイベント感覚に(笑)。牛すじ肉をじっくり煮込んだ野菜たっぷり熱々カレーにチーズと半熟卵が溶け合って、予想以上の満腹感!
デザートは5種のシフォンケーキから、「ストロベリーチーズクリーム」(¥580)をオーダー。まろやかなマスカルポーネチーズと甘ったるいいちごのコンポート、そしてふわふわシフォンという鉄板の組み合わせ。
「カフェノチェロソイミルク」もそうでしたが、青山文庫のホイップクリームはコーヒーと合うようにつくられているせいか、甘すぎない大人の味。これがマスカルポーネのチーズクリームと絶妙に合います。
『Café青山文庫』が普通のブックカフェと違うのは、コンセプトの「インクの匂い」が暗示するように、どことなく漂うレトロな香り。デスクチェアの上の原稿用紙には、宮沢賢治の詩「雨ニモマケズ」が書かれていたり…。
さりげなく置かれた年代物のタイプライター。
今では絶版になっている、いにしえの漫画全集「のらくろシリーズ」。カバーデザインがたまりません!
ペンやコーヒー豆のイラストがかわいい、手作りのブックカバーとしおり。自由にお持ち帰りできます。
本好きも、そうでない人も、ゆったりおしゃべりを楽しみたい人も、ひとりでまったりしたい人も。来るたびに小さな発見がある『Café青山文庫』は、個性的なのに来る人を選ばない隠れ家カフェ。オープン早々、口コミで人気を集めているのも納得の一軒でした。
“量り売りコーヒー豆”見つけました
ブラジル、パナマ、コスタリカ、グアテマラ…各国の単一農園で栽培されたコーヒー豆。鮮度を保つために自家焙煎して提供しています。気に入ったら豆100g(¥800)から購入OK。
Café 青山文庫
カフェ アオヤマブンコ
仙台市青葉区中央2丁目1-27 ever-i中央ビル5F
022-209-5115
11:00~24:00
不定休
※金額はすべて税抜です
※このページの情報は2016年8月19日現在のものです。
【ライター 鈴木紘子】【撮影 門山夏子】