古いものが好き、その中でも特にアメリカンアンティークに惹かれるという店長の山田さん。以前はバーとして使われていた店内のそこかしこには、使い込まれた家具やレトロな空気をまとった雑貨が置かれています。
自分たちの手で少しずつ手を入れたという内装。年月を感じる木目の床やどっしりしたカウンターテーブルは、それもそのはず、小学校から譲り受けた廃材を使って手作りしたものだそう。
場所はJR仙石線・苦竹駅の斜め向かい。トラックが多く行き交う国道45号線沿いに面しているというのに、一歩店内に足を踏み入れると静かな別世界に入り込んだような錯覚を覚えるのは、昔誰かが使っていた物たちから醸し出される懐かしさのせいかしら?
友人からの貰いものや、解体中の古い家屋から発掘された雑貨やおもちゃ。そんなふうに偶然集まってきた物で彩られたこの空間が、“カフェ食堂”として生まれ変わったのはこの5月のこと。お茶もできてお酒も飲めて、いつでも美味しいごはんが食べられる。夜にフラッと来れるような、使い勝手のいい近所の食堂を思わせる気軽な場所になりました。
あくまで“食堂”だから、メニューはしっかり系を中心にとっても豊富。ごはんが食べたい人は、本日の丼ぶり(この日は豚肉のバルサミコソース丼でした)やミートソースがたっぷりかかったオムライスを。パンが食べたい人は、ハニーマスタードが効いたオープンサンドやピザトーストを。麺が食べたい人は、ナポリタン、ペペロンチーノ、クリームベースから具材と相談して好きなものを。野菜が食べたい人は、オリジナルのマシマロサラダを……。
そのほかちょっとしたおつまみにもなるサイドディッシュからスイーツまで、どんな気分の時も満足させてくれる料理はすべて山田さんの手によるもの。いつか自分のお店を持つ日を夢見て、カフェで働くかたわら好きな料理の腕を磨いてきたそうです。
看板メニューは、スパイスにハマった時に試行錯誤を重ねて完成した「スパイスカレー」(¥800)。ココナッツの甘みとトマトの酸味、そこに様々なスパイスを効かせた特製のカレールーは、水をいっさい使っていないのに不思議に軽くてまろやか。安納芋のポテトサラダなど日替わりで添えられる副菜もうれしい。
夏休み気分を盛り上げる、昔なつかしメロンソーダ(¥500)。
そして! 自分好みのオリジナルパフェ(Sサイズ¥350、Lサイズ¥500)をつくってくれる幸せなサービスも。「チョコが好き」「フルーツ系で!」などなどオーダーしてみましょう。可能な限り希望に応えてくれます。この日はチョコとバニラアイスをベースに、自家製チーズケーキとマシュマロをトッピングしてもらいました。
ところで店名の「MaSit malow」(マシマロ)は造語とのこと。ロゴを見ると分かりやすいのですが、Sを基調に“Sit”(座る)と“Slow”(ゆっくりと)両方の言葉の意味を込めて名付けたそう。おもしろいネーミングですね。
自分と同じように、ヴィンテージが好きな人が集まってくれる場所になるといいなと思いながら始めた「MaSit malow」。思っていたより幅広い層のお客さんが訪れてくれ、苦竹という土地柄か会社帰りのサラリーマンから家族連れ、友達グループやひとりでサクッと飲みに来る人までいろいろな人で賑わっているそうです。現在は夜のみの営業ですが、追い追いランチをスタートしたいという野望も。ときどき座って休みながら、気ままにゆっくり変化していく。そんな素敵な1軒です。
“粋なプレゼント”見つけました
窓辺に並んだファイヤーキングのコレクション。来店スタンプが貯まると、感謝の気持ちを込めてお好きな一脚をプレゼント。なんて太っ腹!
MaSit malow
マシマロ
仙台市宮城野区苦竹2丁目1-46 グラバード1F-101
022-237-1211
18:00~23:00
水曜定休・そのほか不定休
※このページの情報は2017年7月14日現在のものです。
【ライター 鈴木紘子】【撮影 門山夏子】