仙台パン図鑑 vol.48 「Brot Dorf」 ~山元町で見つけた、素朴な“パンの村”~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第48回は、ドイツ語で“パンの村”を意味する店名を掲げた「Brot Dorf(ブロート ドルフ)」へ。誰もが親しみやすいパンに加えて、このあたりではちょっと珍しいドイツパンにも出会えるお店です。

生地のおいしさで勝負するシンプルなパン。

2022年5月、亘理町から山元町に移転オープンした「Brot Dorf」。アルティザンブーランジェコンクール北海道2016で審査員特別賞を受賞、週1回専門学校の講師も務める店主が営む、一軒家パン屋さんです。対面式のショーケースいっぱいに並ぶのは、フランスパン系に、クリームパンやチョココロネなどの甘い系、味わい深いドイツパンなど約40種。あまりなじみのないパンにも一つひとつコメントが書かれているので、選びやすいのがポイントです。

まとめ買いをしていくお客さんも多いことから、冷凍保存しやすいハード系のパンが人気。食パンなども、常温保存でも数日はおいしく食べられるよう工夫しているのだとか。決して派手さはないシンプルで素朴なパンですが、その潔さは生地への自信があるからこそ。一口食べれば素材への真摯な向き合い方や、丁寧な仕事ぶりが十分に伝わってきます。地元のお客さんを大切にしたいとの想いから、あまり積極的に宣伝をしてこなかったお店ですが、口コミで評判が広がり、ご近所さんはもちろん仙台や福島から訪れるお客さんも多いとのこと。取材中もほとんど客足が途切れませんでした!

「Brot Dorf」おすすめパンカタログ

ドイツパンと言えば真っ先に思い浮かぶ「ラウゲンブレッツェル」(220円)。粒で仕入れて国内で挽いたフレッシュなライ麦を使用したブレッツェルは、もちっとしていて食べ応えあり。ムチムチ食感と、粉の旨み、ドイツ産岩塩のほどよい塩味がクセになる一品です。ビールのおともにぴったり!

ドイツやオーストリアのテーブルロールとして親しまれている小さな丸パン「カイザーゼンメル」(120円)。セミハード生地ですが噛み切りやすいシンプルなパンなので、サンドイッチにおすすめとのこと。横にスライスして、ハムやパストラミビーフをはさんでどうぞ。

人気の「クロワッサン」(250円)は、北海道産の発酵バターを使用。サクサク食感でしっかりとバターのリッチな風味は感じられながらも、おどろくほど軽やかな味わいです。甘くない正統派クロワッサンなので、最後の一口まで飽きることなくペロリ。

フランスパン生地に自家製ミルククリームをたっぷりサンドした「ミルクフランス」(260円)。しっかりと焼きこんだ生地は、クラストかためのバリッと食感。発酵バターを加えた甘さ控えめのミルククリームが、シュワ~と舌の上でとろけていく瞬間が幸せです。

店主が納得するまで選び抜いた素材で、飽きのこない味を追求している「Brot Dorf」。ご近所にあったら毎日でも通いたくなるようなお店ですが、それが叶わない遠方の方はぜひ“パン遠征”を。もう少しあたたかくなったら、店先のデッキや近くの公園でパンを頬張るのもおすすめです。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●ブレッツェル
ドイツではパン屋さんのシンボルとして掲げられることもあるパン。ブレッツェルとはラテン語で「腕」を意味する言葉で、その名の通り腕組みをしたような独特な形をしています。ベーグルに似たもっちりとした食感が特徴で、表面に散らした岩塩は好みで取って食べてもOK。「Brot Dorf」には、ブレッツェル生地にチーズをかけたタイプなどもあります。

Brot Dorf

住所/亘理郡山元町山寺字町東63-2
電話番号/0223-23-0901
営業時間/10:00~17:00
定休日/月・火・水曜 ※その他不定休あり
インスタグラムアカウント/
@brotdorf1113

※このページの情報は2023年2月28日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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