
少子高齢化が進む日本では、「親の老後」が子世代の家計に及ぼす影響が年々大きくなっています。
想定していなかった親の医療費や介護費用が突然発生し、家計を圧迫するケースが増えています。
実際にどのくらいの費用が必要になるのか、そしてどのように備えるべきかを解説します。
では、実際に親の老後にはどんな費用がかかるのでしょうか?
親の老後にかかる主な費用とは?
在宅介護にしても施設に入所したとしても必要となるのが介護費用です。介護度合いにより受けられるサービスはありますが、それでも自己負担はありますし状況や介護の期間により金額は大きく変動します。
また、高齢になるほど病院にかかることが増えますので、定期的な通院や入院費用として医療費の負担が大きくなります。
そして、年金だけでは足りない場合の補填として生活費援助が必要になったり、自宅のバリアフリー化などの費用として住宅改修費などが必要となります。
実際の介護費用はいくら必要?
厚生労働省の調査によると、介護にかかる費用の平均はこのようになります。
介護の種類 | 月額費用(平均) | 年間費用 |
在宅介護(自己負担分) | 約7万円〜15万円 | 約84万円〜180万円 |
特別養護老人ホーム | 約10万円〜15万円 | 約120万円〜180万円 |
有料老人ホーム | 約15万円〜30万円 | 約180万円〜360万円 |
さらに、入居時の一時金が必要な施設では、100万円〜数千万円がと費用感に幅はありますが、かなりの費用が必要になるケースもあります。
親の生活費援助はどのくらい必要?
国民生活基礎調査によると、高齢者単身世帯の平均月収は約15万円程度。これに対し、平均支出は約13万円と報告されています。しかし、年金額が少ない場合や医療費が増加すると、月に3万円〜5万円程度の援助が必要になるケースが少なくありません。
また、認知症などで判断能力が低下した場合の金銭管理や、突発的な出費(入院時の差額ベッド代など)も考慮する必要があります。
「見えない老後費用」に備えるための5つの対策
いざとなった時に慌てて情報収集や費用の確認をすることはご自身やご家族の負担になるものです。万が一の場合に備えてできる対策を考えましょう。
●「見えない老後費用」に備える5つの対策
1.早めの情報収集で親の年金額や貯蓄状況、健康状態を把握しておく
2.介護保険サービスを理解し、将来利用できるサービスと自己負担額を知っておく
3.家族間で費用負担の分担について事前に相談の時間を設けておく
4.「介護費用」として専用の積立を少額からでも別枠で貯蓄を設ける
5.介護保険や医療保険など、リスクに備えた民間保険の検討
など今からできる対策を行いましょう。
また、高齢者や介護者を支援する制度を知る事も大切です。
「見えない老後費用」への備えは早めが肝心
親の老後費用は、想像以上に家計を圧迫する可能性があります。平均的なケースでも年間100万円以上、状況によっては数百万円の支出が発生することもあります。
そして何より大切なのは、親御さんとの信頼関係を築き、お互いが安心して老後を迎えられるような関係性を築くことが大切です。
お金の問題は、家族間のコミュニケーションあってこそ、スムーズに解決できるものなのです。
大切なのは、「いつか必要になるかもしれない」ではなく「必ず必要になる費用」として捉え、早めに情報収集と資金計画を立てることです。
自分自身の老後資金と並行して、親御さんの老後にかかる費用も視野に入れた家計管理を心がけましょう。
※このページの情報は2025年9月9日現在のものです。
【松田真耶】