管理栄養士が手がける港町のカフェで滋味深いランチ 宮城のカフェ&スイーツ*74話『cafe 紬-tumugi-』

●本日のカフェ&スイーツ
『cafe 紬-tumugi-(カフェ ツムギ )』
エリア:塩竈市、新浜町、東塩釜
ジャンル:港町カフェ、海近カフェ、ヘルシーランチ
テイクアウトメニュー:あり

仙台から車で約45分、電車なら20分ほどで行ける港町、塩竈(しおがま)へ。潮風を感じながら海沿いをのんびり歩き、活気あふれる市場で買い物をしたら、市場近くのカフェでランチを。

塩釜水産物仲卸市場や塩竈市魚市場があり、市内でもひときわ港町らしさを感じる新浜町(しんはまちょう)に、2022年2月1日にオープンした「cafe 紬-tumugi-(カフェ ツムギ )」。入口には流木が置かれ、店内は海辺の家のリビングみたいな雰囲気です。

お目当ては、管理栄養士の山城愛子さんがつくる料理。「理想を言えば、毎日きちんと栄養がとれるごはんを食べてほしい。でも、毎日ってなかなか難しいと思うんです。だからせめて週に一度、当店のランチを食べてもらえたら」という山城さんの思いから、週替わり定食と唐揚げ定食のランチ、そして、テイクアウトのお弁当を提供しています。

ランチは2種類+週末限定でカレーもあります

◆Aランチ(週替わり) 1,100円
肉と魚の両方を楽しめる欲ばりなAランチは、週によって内容が変わります。取材時は、宮城県産の赤豚を使った春のロールキャベツ 発酵トマトソース添えと、宮城県産の銀ざけ「みやぎサーモン」のソテー。

魚は市場の鮮魚店から新鮮なものを仕入れて、お店でカット。刺身でも食べられる銀ざけは、脂が乗っていてとろり。来週のメニューは何かな? そんな楽しみがあると、また一週間がんばれそうな気がします。

◆Bランチ(藻塩糀唐揚げ) 1,100円
週替わりメニューも魅力的だけれど、いつ行っても変わらないBランチの安定感もたまりません。森林のエキスが入った飼料を食べて育った「森林どり」を使用。「しおがまの藻塩」でつくった塩こうじに漬け込み、外側はカリッと、中はジューシーに揚げています。小麦粉を使わず、こめ油で揚げているので油っこくなく、胃もたれしにくいのもポイント。毎回オーダーするファンも多い人気のスタメンメニュー。

◆cafe 紬の季節のカレー 1,100円
金・土曜日限定でカレーも登場。内容は季節によって変わり、春は「玉葱糀のチキンカレー」。自家製玉ねぎこうじに森林どりの手羽元を漬け込んで出汁をとり、小麦粉やルーは使わず、じっくり炒めた玉ねぎを煮詰めてコクとまろやかさを演出。手が込んでいます。玉ねぎやりんごの甘みが効いて辛さ控えめながら、スパイスの風味も感じるバランスのいい味わい。

藻塩と海藻。ミネラルの力で味を調え、カラダを整える

「心身ともに元気でいるためには、食事が大切。現代の日本は食にあふれていながらも、カラダに必要な栄養を十分にとれていない人が多いと感じています」と話す山城さん。保育施設や介護施設、病院で食に携わってきた山城さんが“本当にカラダにいい食事”を追求し、たどり着いたのは、地域の食材と日本の伝統的な発酵食でした。「私たちを元気にしてくれるものは、実はとても身近にあるんです」。それを伝えたくて、故郷の塩竈でcafe 紬-tumugi-をスタート。

たとえば、塩。塩竈の地名の由来になったとされる鹽竈神社の末社・御釜神社では、毎年7月に藻塩焼神事が行われ、海藻を用いた古代の製塩法が今も受け継がれています。cafe 紬-tumugi-の料理には、海藻アカモクと松島湾の海水をあわせた伝統製法による「しおがまの藻塩」を使用。一般的な海水塩とは違い、海藻成分のうまみやまろやかな塩味が特徴の藻塩は、マグネシウムとカリウム、カルシウムが豊富です。食塩と比べて食塩相当量が少なく、ヘルシー。

海藻には、食物繊維やポリフェノールなどの栄養素が豊富に含まれていることも知られています。味噌汁やスープにも海藻が入っていたり、A・Bランチには海藻の小鉢が付いていたり。海の恩恵をたっぷりいただけます。写真は、松島湾でとれたのりの佃煮と、めかぶとろろ。ごはんがすすむ!

ごはんは、栗原産の玄米「金のいぶき」を使用。一般的な玄米より胚芽が大きく、リラックス効果や睡眠の質を高める効果が注目されているアミノ酸の一種・GABAをはじめ、栄養素がたっぷり。玄米が苦手な人でも食べやすいように配慮し、白米(ササニシキ)と合わせて炊いています。さらに、消化をサポートするこうじ菌の力を借りて調理。藻塩こうじや醤油こうじ、コンソメのような味わいの珍しい玉ねぎこうじなど、自家製のこうじを料理に合わせて使い分けるこだわりようです。

食後のデザートも罪悪感がないものを

◆藻塩ミルクジェラート 400円
登米市にある農家レストラン「くんぺる」のミルクジェラートと、しおがまの藻塩がコラボレーション。濃厚なミルク感と藻塩の塩味が、キャラメルのような味わいでやみつきに。トッピングには、「罪悪感のないおやつを食べたい」と山城さんが開発した「糀ぐらのーら」。鉄分やミネラルたっぷりの煎り大豆、レーズン、アーモンドが入っていて、ザクザクの食感も楽しい。精製された白砂糖や小麦粉は不使用。甘酒のもとになる甘こうじときび砂糖で自然な甘さに仕立てています。

◆藻塩レモンのレモンスカッシュ 500円
和歌山で減農薬栽培に取り組む農家さんから届いたレモンをきび砂糖で漬け込み、発酵させてレモンシロップに。港町さんぽのおともに、テイクアウトもできます。しおがまの藻塩入りで、暑い夏の熱中症対策にもぴったりのスッキリ爽やかな一杯。

山城さんは、二人の息子がいるお母さん。栄養士として長年バリバリ働きながらも、子育てと仕事の大変さ、女性ならではの心身の変化を経験するなかで、改めて食の大切さを実感したといいます。カラダの不調も心の不調も、食で改善できることがある。「いつもがんばっている皆さんに、食を通して元気になれるヒントを発信していきたい」と、山城さん。栄養の豆知識から調理法、カラダの悩みに合わせた食べ方まで、親身にアドバイスをしてくれる心強い味方です。

地域でとれたもの、旬のものを食べることは健康食の基本。食のプロの丁寧な手仕事によって、それらがお盆の上にバランスよく盛られたcafe 紬-tumugi-のランチは、栄養もおいしさもとてもいい塩梅です。(個人的な感想ですが、同店でランチを食べた翌日は、カラダが軽やかな感覚に!)

右から、管理栄養士の山城愛子さんと生産者の赤間俊介さん。ともに塩竈生まれ塩竈育ち。赤間さんはワカメやアカモクを生産する漁師で、しおがまの藻塩や海藻加工食品の製造・販売も行っています。cafe 紬-tumugi-は、山城さんと生産者の皆さんが地域の食文化をつむぎ、港町を行き交う人々のカラダに栄養をつむぐお手伝いをする場所。おいしい×地域のつながりに出会えます。

“個室”見つけました


子連れ大歓迎! 周囲に気をつかうから外食はしづらい…という親御さんも、子どもと一緒にゆっくり食事を楽しめるようにと、個室を新設しました。今後は藻塩づくり体験など、親子で楽しめる食育ワークショップも計画中。

cafe 紬-tumugi-

カフェ ツムギ

住所/宮城県塩竈市新浜町1-16-24
TEL/080-3389-6466
営業時間/11:00〜15:00(L.O.14:30)
定休日/日・月曜
Twitter/cafetumugi2021


※表示価格はすべて税込みです。
※内容は一例です。時期によって変わります。
※このページの情報は2022年5月25日現在のものです。
※最新情報はTwitterを確認してください。

【ライター 池田直美】【撮影 門山夏子】

ACCESS MAP

この記事をシェアする