1979年創業の喫茶店。仙台駅東口エリアに移転リニューアル宮城のカフェ＆スイーツ＊80話『MILLS』

CAFE DATA
『MILLS（ミルズ）』
ジャンル：老舗カフェ、半地下カフェ
オープン：1979年創業、2023年4月19日移転
エリア：仙台駅東口、宮城野通、連坊
ランチ：×　テイクアウト：○（ソフトクリームのみ）　Wi-Fi：×　電源：×　ペット：×　支払い：現金のみ

この春、宮城では新しいカフェが続々とオープン。今回ご紹介する「MILLS（ミルズ）」もその1軒ですが、店名に聞き覚えのある人も多いのでは？
MILLSは、1979年に仙台フォーラスの裏でスタート。90年代に仙台三越の脇に移転してからは、「ツタに覆われた喫茶店」としておなじみでした。しかし、2021年1月末に、惜しまれつつも同所での営業を終了。それから約2年の休業期間を経て、2023年4月19日に待望の移転リニューアルをしました。

移転先は、地下鉄東西線・宮城野通駅から徒歩7分、仙台駅東口から徒歩10分。「前の店よりも広く、遊び心のある変わった物件を探していました」と話すのは、2代目店主の末永統海（おさみ）さん。新店舗はユニークな造りで、マンションの半地下にあります。

階段を下りて中に入ると、仙台フォーラスから移転したソフトクリーム専門店「LACNIX（ラクニクス）」のテイクアウトコーナーが迎えてくれました。カフェスペースはその奥にあり、1つの空間に2店舗が同居しています。

ソフトクリームは、MILLS利用時もオーダーできます。ただし、ソフトクリームのみでの席利用はできません。1人1杯ドリンクの注文が必須。

縦に長く奥行きのある店内は、エリアごとに雰囲気が異なるのも見どころ。シーンや気分に合わせて席を選べます。入口の近くには、フレキシブルに使えるカウンター席。

コンクリート打ちっぱなしの壁が映えるテーブル席。

奥に進むと、年代物の棚やレコードが置かれたリビングのようなエリアへ。

地下空間に灯るムーディーな照明が、街中の喧騒や忙しい日常を忘れさせてくれます。

日中は自然光が差し込むのも、半地下ならではの魅力。日当たりがいい一番奥のエリアには芝生が敷かれ、靴を脱いでくつろげます。

◆コーヒー 580円
豆は常時2種類。苦味とコクが調和したバランスのいいブレンドと、時期によって変わるちょっと個性的な豆から選べます。取材時の変わり豆は、華やかな香りと酸味が特徴のドミニカ。

22時までの営業で、遅い時間でもコーヒーを楽しめる貴重な一軒。ハートランドビール（700円）やクラフトビール（900円）もあります。「丸メガネの店主（末永さん）がいるときなら、メニューにないアルコールドリンクもつくれます。気軽に声をかけてください」と、耳寄りな情報も。

◆チーズケーキ 420円
甘さ控えめでしっとり食感のチーズケーキは、コーヒーにもお酒にもぴったり。チーズの酸味と濃厚さを活かすためにレモンは入れず、シンプルな材料でつくられています。

◆コーヒーゼリー 420円
お店で提供しているコーヒーを使用。上の白い部分はクリームではなく、パンナコッタというサプライズ！ 2層仕立てで食べごたえたっぷりです。それぞれを味わうもよし、混ぜて食べてもよし。

調度品の多くは、以前のお店から持ってきたもの。椅子は革を張り替え、テーブルは表面を削って塗り直し、ピカピカに。長年大切に使われてきたベテランたちが、店の歴史を感じさせながらも新しい空間に馴染んでいます。

カウンター席で目を引くこちら。店名が彫られた木材は、かつては階段の手すりでした。前のお店を知る人にとっては、懐かしいシンボルの一つ。

芝生エリアは未完成で、さらに手を加えていくそう。「近所のママさんが散歩途中に子どもと小休憩をしたり、おじさんたちがピクニック飲み会をしたり。いろんな使い方ができるといいな」と、イメージを膨らませる末永さん。「人見知りならぬ、“店見知り”をする人も多いみたいです。そうした意味では、うちの名前を見て安心して入ってくださる方もいて、長くやってきて良かったなと思います」。

MILLSは、40年以上前に両親が始めたお店。末永さんは同店で育ち、幼少期からお手伝いをしていました。「“MILLSはこうじゃなきゃ”って考えたことはないし、両親から言われたこともありません。自分たちのやりたいことがMILLSらしさだと思うので。昔も楽しかったけど、今も楽しいよねって話しています」。新しいことや楽しいことをどんどん取り入れ、老舗カフェをアップデート！

陸前浜田にある姉妹店の「MOLA MOLA CAFE（モラモラカフェ）」では、他店や地域とコラボしたイベントをたびたび開催。MILLSの店内にもポップアップスペースを設けており、コーヒー豆やスイーツのマルシェ、DJイベントなどを企画中だとか。ここから生まれる新たなコミュニティーにも注目です。

ランチやフードメニューはないため、空腹時はご注意を。そのぶん、ランチタイムのラッシュ感がなく、ゆっくりできるのが魅力。ここには、コーヒーと空間を楽しむという喫茶店の原風景があります。コンビニでは100円でおいしいコーヒーを飲める今、私たちがカフェを選んで行くのは、そうした非日常や新しい出会いを楽しみたいから。仙台駅に近い東口エリアで、秘密基地のような穴場を発見！

“オリジナルソフト”見つけました

併設のソフトクリーム専門店LACNIXは、MILLSの姉妹店。帰りにソフトクリームをテイクアウトしました。フレーバーは月替わりで2種類あり、定番のミルク味は出さないという潔さ。地域食材や旬のフルーツでつくるオリジナルソフトを展開しています。取材時は、濃厚な黒ごまペーストを混ぜた「黒胡麻」と、宮城県産大豆からつくられたきなこを使った「黒蜜きなこ」。写真はどちらも楽しめるミックス（450円）。※5月末までの内容です。今月の2種類はInstagram（lacnixx）でチェック！