仙台パン図鑑 vol.71 「パン りんご亭」~しみじみおいしい!自家培養酵母のパン~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第71回は、作並方面まで足をのばして「パン りんご亭」へ。アンティークのガラスが入った緑色のトビラを開けると、そこは絵本の世界から抜け出してきたような、かわいらしいパン屋さんでした。

週末限定、イラストレーターが営むパン屋さん。

国道48号線を山形方面に進み、通りを一本入ったところ。仙山線の熊ケ根駅からも歩いて5分ほどの静かな住宅地に「りんご亭」はあります。お店が開くのは土・日曜だけ。「パン焼けてます」の看板が出ていたらオープン日の合図です。パンを焼くのは、イラストレーターとしても活動する店主の栗城さん。天然酵母のパン教室で基礎を学び、独学で酵母や焼き方を追求。2021年1月に「りんご亭」をオープンしました。店名は、栗城さんの作品に登場する架空の店にちなんだもの。店内には栗城さんの作品や手づくりの品も飾られていて、まるで物語の中におじゃましたような感覚になるパン屋さんです。

2組も入ればいっぱいになってしまう小さな店。木製ケースには14~16種のパンが並びます。砂糖や油脂は加えず、国産小麦やライ麦、塩釜産の「漁協の塩」など、厳選した食材を使用。ライ麦酵母とレーズン酵母、ふたつの自家培養酵母を使い分けて焼くパンは、ギュッと目が詰まったむっちり系。カンパーニュなどのハード系が中心ですが、見た目よりやわらかくとても食べやすいパンです。土曜日と日曜日、それぞれ限定のパンもあるので、看板の「パンのメニュー」をチェックしてみてください。

「りんご亭」おすすめパンカタログ

国産小麦に全粒粉とライ麦を配合し、ライ麦酵母でしっかりと熟成発酵させた「カンパーニュ」(730円)。なんと1個500g強もあるどっしりとしたおおらかなパンです。おだやかな酸味があり、小麦の香りも豊か。かむほどに味わいが増していきます。そのままはもちろん、オープンサンドにもおすすめ。

この日は日曜日だったので、レーズン酵母で焼き上げた「型パン(全粒粉80%)」(770円)が登場。全粒粉が多めなので、ヘルシー志向の方に人気なのだとか。当日はしっとりもっちり、翌日はさらに目が詰まりむっちり食感が増します。薄めにスライスして軽くトーストするのがおすすめ。土曜日は全粒粉30%の型パンが登場するので、食べ比べもおもしろそうです。

手頃なサイズの「いちじくパン」(360円)は、根強いファンが多い人気のパン。国産小麦のプレーン生地に、ドライいちじくが練り込んであります。一口ほおばると小麦の旨みといちじくの甘みが口いっぱいに広がり、なんとも幸せな気持ちに! チーズと合わせてワインのお供にもぴったりです。

国産小麦に全粒粉を20%配合、レーズン酵母で焼き上げた「ノア・レザン」(700円)には、レーズンとクルミがたっぷり!ジューシーなレーズンと、しっとりとしたパン生地がよく合います。そのままでももちろんおいしくいただけますが、トーストするとさらに香ばしく味わい深いパンになるのでお試しを。

ご近所さんや、観光で訪れる方にも人気の「りんご亭」。足を運んでくれた方のために取り置きはしない方針ですが、営業日の14時からは在庫のパンに限り取り置きも可能とのこと。お目当てのパンに出合えるかは運次第ですが、「今日は何があるかな?」とワクワクするのもまた楽しみの一つ。あたたかくなってきたら、列車に揺られてパン遠征もいいかもしれません。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●カンパーニュ
正式名称は「パン・ド・カンパーニュ」、フランス語で田舎パンを意味します。ライ麦や全粒粉を配合したり、自家培養酵母を使っていたり、素朴な味わいが特徴です。「りんご亭」のカンパーニュは全粒粉25%、ライ麦15%配合。2、3日かけて味わいが増していくので、その変化も楽しめます。

パン りんご亭

住所/仙台市青葉区熊ケ根字壇の原2-13-2
電話番号/022-738-9269(土・日曜とも14:00以降可)
営業時間/11:00~17:00
営業日/土・日曜
Instagram/@pan_ringotei

※このページの情報は2025年1月31日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

ACCESS MAP

佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

この記事をシェアする