仙台パン図鑑 vol.3 「Bakery and café 3110」 ~カジュアルに楽しむ、長時間低温熟成発酵のハード系パン~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。3回目は、“午後には品薄必至!”とちょっとしたウワサになっていた「Bakery and café 3110(ベーカリー アンド カフェ サイトウ)」へ。意外とリーズナブルなハード系パンの存在に驚きながら、ウワサの真相を確かめてきました。

お米のように、日常的に楽しめるパンを!

昨年11月のオープンと同時に、「長命ヶ丘に行列ができるパン屋ができた!」「午後に行くともうパンがない!」と話題になった「Bakery and café 3110」。人気ブーランジェリー「メゾンカイザー」に10年勤めた店主がオープンしたお店とあって、パンのラインナップはハード系が中心。ほかにも惣菜パンやタルトなども並びますが、驚きなのはその価格!なんとバゲットが180円なのです。その理由は“もっとたくさんの人に、おいしいパンを日常的に食べてほしい”という店主の純粋な想いから。普段ハード系のパンをあまり食べない人も“お試し”で手に取りやすい良心的な価格が魅力です。

でも「Bakery and café 3110」が話題になったのは、もちろんパン自体のおいしさから。ライ麦からおこした自家製の天然酵母を使い、長時間低温熟成発酵により小麦粉のポテンシャルを最大限に引き出したパンは、とても味わい深い焼き上がり。発酵に最低でも16時間かかるので追加での焼成が難しく、人気のパンは午後には品薄になってしまうのだとか。お目当てのパンを確実に購入したいなら、お昼までにお店に足を運ぶことをおすすめします。

「Bakery and café 3110」おすすめパンカタログ

ハード系のパンの中で一番人気を誇るのが「バタール」(180円)。小麦粉、塩、酵母、水だけで作るため、お店の味が一番ダイレクトに伝わってくるパンです。自家製の天然酵母のほか、香りづけで全粒粉を少しだけ加えることで、お店の看板の味に!

「クロワッサン3110」(150円)も、さすが店名を冠したパンとあってお店の特徴が強く出ている逸品。焦がしバターを生地に練り込むことで芳醇なバターの風味を封じ込め、バターのコクや風味が際立つクロワッサンに仕上げています。折り込みを少なめにした12層で、外側はサクサク、中はジュワッと噛みしめて味わう、やや重めな食感が特徴的。

変わり種も一つご紹介。“山のあんぱん”という意味の「モン アン パン」(200円)は、その名の通り山になったあんこがポイント。バターでソテーしたクルミ、サルタナレーズンと一緒に、赤ワインや生クリームを加えてたいた自家製あんこは、香ばしくクセになる味わいです。生地の中にあんこが入っているのではなく、生地の上にあんこがのっているあんぱん。ぜひお試しください!

数量限定でなかなかお目にかかれないものの、ファンが多いのが「パテドカンパーニュサンド」(350円)。自家製パテドカンパーニュとコルニッション(小きゅうり)、フランス産のマスタードをカンパーニュバゲッドでサンド。ライ麦と粗挽きの全粒粉で香ばしく焼き上げたカンパーニュバゲットと、フィリングの酸味や塩気が相性抜群です。

カフェスペースも充実している「Bakery and café 3110」。オーガニックコーヒー豆だけを使った、通も満足のコーヒーや、アルコールも提供。購入したパンを店内で食べる場合は、ちょっとおしゃれに盛り付けもしてくれます。追加の焼成ができない分、オープン時にはほぼすべてのパンが並んでいるので、対面式のパン棚の向こう側にいる店主との会話も楽しみながら、ずらりと並ぶパンの中からお気に入りを選ぶしあわせな時間を過ごしてください。


【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●天然酵母
パンを膨らませるために欠かせない酵母。よく聞く「イースト」は、自然界にある酵母の中から、パン作りに適した微生物を純粋培養したもの。対して「Bakery and café 3110」でも使っている「天然酵母」は、穀物や果物など、自然にある酵母を育てたものです。原料とする穀物・果物や、育てる環境によって個性的な酵母ができるため、「天然酵母」を使ったパンは酵母による店ごとの味の違いが楽しめるのがおもしろいところ!

「Bakery and café 3110」

住所/仙台市泉区長命ヶ丘4-15-16
電話/090-5239-3110
営業時間/10:00~20:00 ※売り切れ次第終了
新 休/不定(詳細はSNSでご確認ください)
HP/https://www.facebook.com/bac3110/
公式アプリ/https://s.bakeryandcafe3110.com/XZkayy

※このページの情報は2019年1月30日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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