仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。11回目は、具がギュッと詰まったカレーパンが人気の「NoirBakery(ノワールベーカリー)」へ。お客さんの目線に立って、おいしいパンを追い求め続けるベーカリー。人気の秘密は、絶品カレーパンだけではありませんでした。
あれも、これも、お持ち帰りしたくなるパンたち
黒板にチョークで店名とパンのイラストを手描きしたような、小さなかわいらしいお店。半分以上が工房となっているため、店舗スペースは対面式のカウンターのみでこじんまりとしていますが、並んでいるパンの種類は選ぶのが楽しくも悩ましいほど!「いつものパンもいいけど、たまに違うものがあるとちょっと嬉しいですよね?」と、店主。その想いから、店頭にはちょくちょく新顔が登場。初めて来店されるお客さまはもちろん、足繁く通う常連さんの心も満たしています。
【パンの焼き上がり目安時間】
●ライ麦パン、食パンなどの主食系とカレーパンは9:30のオープン時
●サンドイッチ、クロワッサンなどが出揃うのは11:00頃
「ノワールベーカリー」おすすめパンカタログ
新たな看板メニューとして力を入れているのが、「カンパーニュ」(610円)などのライ麦系のパンです。一般的にはサワー種を使いますが、ノワールベーカリーでは酸味を抑えた酵母を採用。水分を多く含ませることで、ライ麦独特の芳香な風味を生かしながらも、酸味が少なく、誰もが食べやすいライ麦パンに仕上げています。同じ生地で「オレンジチョコ」(380円)や「無花果」(380円)などもあるので、ぜひお試しを。
先に紹介したカンパーニュをはじめ、バゲッドやチャバタなど、まだまだ食卓で市民権を得ているとは言いがたいパンを食べるきっかけづくりとして、サンドイッチを用意。「サーモンとクリームチーズサンド」(480円)や「キャロットラペと胸肉のデジョネーズ和え」(440円)など、平日は4種、土曜は5種のサンドイッチが並びます。単品ではおいしい食べ方が分からないパンも、サンドイッチなら「今日のランチに一つ…」と気軽に手に取れますよ。
最後に甘いパンもひとつ。クロワッサン生地でシナモンとグラニュー糖を巻き込んだ、シンプルな「シナモンロール」(240円)。表面はパリッとしていますが、中はほどよく引きがある生地。シナモンと砂糖のバランスも絶妙で、一口かじるとフワッと広がるシナモンの香りが、なんともしあわせな気持ちにしてくれます。「ちょっと甘いものも欲しいな」という時に、もってこいのサイズ感!
自家製酵母や国産小麦などへのこだわりではなく、あくまでも“おいしいパンを追い求め、つくり続ける”を徹底することで、人気を確立してきた「ノワールベーカリー」。粉のブレンドを変えてみたり、フィリングをアレンジしてみたり、いろいろな試行錯誤を続けていますが、パンの製法だけは変わらず「オーバーナイト法」を採用。生地を前日に仕込むので、その日お店に並ぶパンの数にはもちろん限りがありますが、お目当てが売切れでも落胆することなかれ。同じ生地を使った別なパンを食べてみたり、いつもは手に取らないパンをお持ち帰りしてみたり、新たな出合いを楽しんでみてください。
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。
●オーバーナイト法
生地を一晩寝かせて、翌日成形して焼き上げるパンの製法で、「長時間低温熟成発酵」などとも呼ばれます。ノワールベーカリーでは、生地を前日に仕込み、約1℃の低温で寝かせることで、小麦と水がゆっくりと馴染み、酵素が小麦のデンプンを糖に分解。風味豊かで日持ちもする、おいしいパンに仕上がるのだとか。
Noir Bakery
電話/022-377-3370
営業時間/9:30~17:00 ※売り切れ次第終了
休/日・月曜
※このページの情報は2020年01月22日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】