仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。10回目は、泉ヶ岳のふもとに佇む一軒家ベーカリー「ウネルモイポッロ」へ。今年5月に移転オープンしたばかり。しかもお店が開いているのは週3日のみ!それでも、オープン日に開店を待ちわびる人が列をつくるのには、ちゃんとわけがあるのです。
この景色の中で、パンをつくりたかった。
お店に並ぶのは、小麦粉と水と少しのきび砂糖、岩塩、酵母だけでつくるシンプルなフォッカ(フォカッチャ)が6~7種類程。「おいしいパンが食べたいし、子どもにも安心して食べさせられるものがいいし、それなら自分でつくっちゃおう!」と考え、カレーやクリーム、ジャムなどフィリングにいたるまで手作り!パンはどれも同じ生地を使っていますが、合わせる具材が変わるだけで、まったく違った味わいになるから驚きです。生地に使っている酵母は白神こだま酵母。いろいろ試したそうですが、酸味が少ないのでどんな具材も合わせやすく、子どもから大人まで食べやすいフォッカに仕上がるんだとか。
「ウネルモイポッロ」おすすめパンカタログ
「プレーン」と同じく、常時お店に並ぶのが「トマトとクリームチーズのフォッカ」(250円)。トマトとチーズの黄金コンビで、ピザ風の味わい。クリームチーズは塩気が少なく主張しないものを選び、ゴーダチーズと組み合わせることでマイルドに。トマトの旨みとフォッカの素朴な味わいがしっかりいきています。
「れんこんとチーズのキーマカレー」(280円)は、季節によってトッピングが変わります。今の季節はれんこんですが、夏にはナスになることも。トッピングの野菜は自家製のものもあるそうです。キーマカレーには隠し味にチーズを入れているので、辛いものが苦手な人でも食べられるお味。“おやき”感覚でぺろりといただけます。
最後に甘いパンも一つ。「梨のコンフィチュールとカスタードクリームのパン」(280円)は、手作りのこだわりが詰まった一品。お酒を使わず、梨の風味をいかしたコンフィチュールと、きび砂糖のやさしい甘みのカスタードクリームの組み合わせは絶品!『ウネルモイポッロ』のフォッカ生地は、本当にどんな具材とも相性抜群です。
オープンから日が浅いものの、すでに人気店の『ウネルモイポッロ』。午後には品薄になることが多いのですが、フォッカの他にもスコーンなどの焼き菓子やドリンクがあったり、店主オリジナルのアクセサリーや雑貨を販売していたり、お目当てのパンが売切れでもお楽しみはいろいろ。特に、店主のご主人が焙煎したコーヒーや、自家製シロップのドリンク、日替わりのスープなど、ぜひお店から見る景色と一緒に味わってみてください。
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。
●フォッカ(フォカッチャ)
古代ローマから伝わる伝統あるパン。ドライトマトやオリーブなどをトッピングしたものもあり、ピザの原型とも言われています。生地にオリーブオイルやバターを練り込んだり塗ったりするものもありますが、『ウネルモイポッロ』のフォッカはオイルやバターを使わず、小麦粉、水、きび砂糖、岩塩、酵母だけで仕上げています。
ウネルモイポッロ
電話/070-5321-4880
営業時間/11:30~16:00 ※売り切れ次第終了
営業日/火・金・日曜
※このページの情報は2019年11月29日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】