仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。12回目は、横浜から岩沼にお店ごと移住してきた「BOULANGERIE BEC(ブーランジュリー ベック)」へ。オープンから数カ月で、早くも人気店の予感!小さなお店なので、混んでいる時は少し外で待つのがお約束。さて、そこに並ぶパンとは?
ハード系、主食系、惣菜系、甘い系、なんでもおまかせ。
“小さなお店にぎゅうぎゅうにパンが並んでいるお店にしたかった”という言葉通り、小さな店内の壁側には、棚の奥行いっぱいのパン!しかも、ボリューミーで価格もお手頃です。国産小麦やフランス産小麦などをブレンドしたり、パンに合わせてヨーグルトからおこした自家製酵母、イースト、ホシノ天然酵母を使い分けたり、マーガリンやショートニング不使用だったり、いろいろなこだわりはあるそうですが、並んでいるパンからは、なるべく市販品は使わず!具材はケチらず!適正価格で!という大胆かつ気持ちのいいメッセージが感じられます。
【パンの焼き上がり目安時間】
●パンカタログ掲載のパンを含め、ほとんどが9:30のオープン時
●サンドイッチ系が出揃うのは10:30~11:00頃
「ベック」おすすめパンカタログ
小麦粉を一切加えず、アーモンドの風味豊かに仕上げたクレームダマンドたっぷりの「オレンジショコラダマンド」(330円)。サクサクとした軽めの生地、焼くことでバターがジュワッと溶け出てしっとりとしたクリーム、ほろ苦いオレンジピールとスイートなチョコレート、間違いなくおいしい組み合わせが楽しめます。
「バケット」(220円)は、“1日で食べきれるように”という心遣いから、一般的なパン屋さんのものよりは小さめサイズ。フランス産の小麦粉に、香りづけとしてほんの少しライ麦をプラスしているのがポイントです。カリッと小気味よい音を立てる薄めの皮の中は、ほどよく水分を含んだもっちり食感。食べやすく、どんな料理にも合いそうです。
最後はみんな大好き“あんバター”のちょっと変わり種「全粒粉スコーンのあんバター」(275円)です。じっくりと焙煎した全粒粉入りのスコーンで、ほどよく粒が残った自家製あんことバターをサンド!香ばしい風味、ほどよい甘さと塩気、ザクッとしたスコーンの食感が楽しめます。大きな口をあけてパクッと頬張ってください。
ブーランジェのご主人とパティシエの奥さまが、ご夫婦2人できりもりしている小さなお店。カウンター横のショーケースには、タルトやパイなども並んでいます。しかも、実はこのお店、水曜日から土曜日まではパン屋さん、火曜日はベーグルやマフィンなどが並ぶBAKE SHOPになるのです!
板張りの壁に真鍮製の店名がキラリと光る外観はとてもおしゃれですが、一歩中に入れば、自分たちで塗ったという漆喰の壁に3人のお子さんの手形があったり、地域に根付いていけるようにとメニューに加えた「岩沼あんぱん」があったり、ほっこりと心和む一軒。きっとここ岩沼でも、横浜のお店と同じようにずっと長く愛されていくお店になるはずです。
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。
●全粒粉
パンのみならず、いろいろな料理でよく目にする「全粒粉」。なんとなくヘルシーなイメージが先行して、実はどんなものか分からない人も多いかもしれません。全粒粉とは、小麦の表皮、胚芽、胚乳をすべて挽いて粉にしたもの。パン生地などに使うと小麦の香ばしい風味と歯ごたえが楽しめるのが特徴です。だから今回紹介した「ベック」の「全粒粉スコーンのあんバター」は、ザクザク食感に仕上がっているのです!
BOULANGERIE BEC
電話/0223-36-9189 ※混雑時は電話に出られない場合あり
営業時間/9:30~17:30 ※売り切れ次第終了
休/日・月曜 ※臨時休業の場合あり ※火曜はBAKE SHOPとしてオープン
※このページの情報は2020年02月18日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】