仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。15回目は、観光地・松島の雑踏から少し離れたところに佇む「ぱんや あいざわ」へ。国産小麦100%×自家製天然酵母でつくる素朴なパンは、観光客からも地元の人からも愛される、小麦のおいしさがギュッと詰まったやさしいパンでした。
小麦を味わう、風味豊かなパン
日によってはお昼頃には品薄になり、午後早めに閉店してしまうこともありますが、石畳の通りに馴染む佇まいのお店に、古い玄関灯のような明かりがうすぼんやりと灯り、真っ白なのれんが出ていれば営業中のサイン。午前中早めに訪れれば、レジ横の長テーブルにたっぷりと並べられたパンに出合えます。パンについては「そんなにこだわりはないんですよ」と笑う店主ですが、小麦には並々ならぬ想いを感じます。北海道産を中心とした5種類の国産小麦と、小麦からおこした液状と固形2種類の酵母を使い分けてつくるパンは、どれも小麦の風味がしっかりと感じられるものばかり。甘くてお米のおいしさに通じるところがある国産小麦のパンは、どこかすっと体に馴染むような気がします。
【パンの焼き上がり目安時間】
●食パン…9:00頃
●ハード系のパン…10:30頃
「あいざわ」おすすめパンカタログ
続いては、根強い人気だという「ぱんや あいざわの食ぱん」(313円)。こちらは北海道産の春よ恋とキタノカオリT85をブレンド。低温長時間発酵で甘みと旨みを引き出した、しっとりとした食感の食パンです。小麦との相性やおいしさから選んだよつ葉の無塩バターを使い、いろいろな食材に合わせやすいよう、シンプルに仕上げています。
同じ食パンの生地を使っているのが「あんこと発酵バター・柔」(248円)。小麦を仕入れている北海道十勝の土蔵農場さんの小豆を、甜菜糖とキビ砂糖で炊いた自家製あんこを使用。程よい甘さで、風味豊かなよつ葉の発酵バターとの相性も抜群!ちなみにバゲット生地のあんバターもあるので、こちらは“柔”です。
クロワッサン生地にとうもろこしをのせ、松島産大豆ミヤギシロメの醤油をかけて焼き上げた「バター醤油」(280円)は、春から夏にかけての限定品。“バター醤油”ですが、バターのトッピングはありません。食べた時に、とうもろこしの甘み、醤油の香ばしさ、クロワッサン生地の発酵バターのリッチな味わいがジュワッと広がることで完成する“バター醤油”なのです。
取材当日は平日午前中にも関わらず、常連とおぼしきお客さんが次々と訪れていた「あいざわ」。観光客減少の影響を受けながらも、地方発送も行い、多くの人においしい国産小麦のパンを届けています。小さなお店なので、現在はマスク着用の方を1組ずつご案内、マスクがない方は店頭のメニューを見てオーダーしてもらうスタイルで営業中。合わせて、近くのカフェやうつわ屋さんを訪れたり、観光名所を散策してみるのもおすすめです。ちなみに隣のカフェは「あいざわ」のパン持ち込みOKですよ。
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。
●国産小麦
南は九州、北は北海道まで、日本各地で栽培されている国産小麦。「あいざわ」では主に北海道十勝の土蔵農場さんから小麦を仕入れています。一般的に日本の小麦消費量は外国産小麦が多いのですが、最近は国産小麦の人気も上昇中!特徴は、外国産の小麦に比べると甘みが強いこと。また輸送の時間が短いので風味も豊か!「作っている人の顔が見えることも、国産小麦を使う理由の一つですね」と店主。ぜひ「あいざわ」のパンで、国産小麦の味わいを確かめてみてください。
ぱんや あいざわ
電話/022-354-0233
営業時間/8:30~17:00 ※売り切れ次第終了
休/月曜 ※不定休あり
※営業時間の変更や臨時休業の情報はInstagramで要確認
※このページの情報は2020年6月22日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】