仙台パン図鑑 vol.37 「KOTINI BAKERY」 ~“我が家”に並ぶ、みんなにやさしいパン~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第37回は、まもなくオープン1周年を迎える東中田の「KOTINI BAKERY(コティニベーカリー)」へ。みんなが大好きな定番パンから、一度食べたらクセになる変わり種まで、いろいろなパンをちょっとずつお試しできる、お客さん想いのやさしいパン屋さんでした。

味、サイズ、おねだんが、どれもやさしい。

長年、パン職人として腕を磨いた店主が、自宅近くに小さなお店を構えたのは1年ほど前のこと。以前そこにあったパン屋さんが閉店してしまったことと、自身の独立のタイミングが合い、オープンが決まったそうです。かわいらしい響きの“コティニ”とは、フィンランド語で“我が家”という意味。店主がスナフキン好きということもあり名づけられた店名そのままに、「KOTINI BAKERY」は我が家のように訪れた人をあたたかく迎えてくれるパン屋さんです。

こじんまりとした店内に並ぶのは、店主が一人で焼き上げる約50種のパン。食パンや総菜パンなど日々の食卓に並べやすいものや、子どもに人気の動物パン、懐かしいコッペパンやハイジパンなど、町の愛されパン屋さんらしいラインナップかと思えば、ハード系やちょっとめずらしいパンも並んでいるのがおもしろいところ。子どもから年配の方まで、だれがきても「食べたい!」と思えるパンがあり、サイズもおねだんもお手頃。いろいろなパンがお試ししやすく、100円の「ミニコロネ」は子どものおこづかいでも買いやすい!どれもお客さん想いのやさしさにあふれているのです。

「KOTINI BAKERY」おすすめパンカタログ

ベーシックなベーコンエピの隣に並ぶのは、衝撃的な組み合わせの「紅しょうがとクリームチーズのエピ」(240円)。オーバーナイト発酵させたフランスパン生地からのぞくのは、ベーコンではなく紅しょうが!ピリッとした紅しょうがの刺激と、クリームチーズのまろやかな酸味が繰り返される、なんともクセになる味わいです。

「モラセスブレッド」(300円)も、ほかではなかなかお目にかかれないパン。モラセスとは砂糖を精製するときに出る糖蜜のこと。それを混ぜた食パンは、黒糖のようなコク深さや香ばしさ、独特な甘みが感じられます。食感はおどろくほどしっとり!しかも糖蜜はミネラルやビタミンB6などが豊富。おいしくて栄養たっぷりのパンなのです。

クロワッサンも、定番の隣にアレンジしたものが一品。「ゴーダチーズクロワッサン」(260円)は、発酵バターをたっぷりと使った生地に、ゴーダチーズのスライスをまきこんだ一品。ジュワッとしみでるバターの旨みをかみしめた後には、チーズのほどよい塩気がおしよせます。じんわり溶け出したチーズのカリカリ部分もたまりません!

ハード系の中でもリピーターが多いという「フルーツカンパーニュ」(280円)。オーバーナイト発酵でもっちりと焼き上げたカンパーニュ生地の中には、アプリコット、マスカットレーズン、オレンジピール、クランベリーがぎっしり!かみしめるごとに口の中に小麦の旨みとフルーツの甘酸っぱさが広がります。うすくスライスして召し上がれ。

「わざわざ足を運んでくれるわけだから、“おっ!?”と思ってもらえるものも用意しておきたい」という店主。定番の安心感もありながら、変わり種への期待も高まる「KOTINI BAKERY」。不定期で新作も登場するので、ぜひこまめにお店をのぞいてみてください。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●エピ
「エピ」とは、フランス語で“麦の穂”という意味。日本では、麦の穂の形を模したフランスパンの間から、ベーコンがちらりとのぞいているものがよく売られています。「KOTINI BAKERY」にもベーシックなベーコンエピはありますが、ぜひ今回紹介した「紅しょうがとクリームチーズのエピ」もお試しを!

KOTINI BAKERY

住所/仙台市太白区東中田2-28-33-101
電話/022-209-2237
営業時間/9:00~18:00 ※売り切れ次第終了
定休日/日曜、祝日 ※その他臨時休業あり
Instagram @kotini_bakery

※このページの情報は2022年2月28日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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