仙台のカフェ好きに長く愛されてきたリンデンバウム。その閉店の知らせに、「最近行ってなかったけど、行っておけばよかった」と、がっかりした人も多いはず。私もそのひとりです。
そんな矢先の1月11日、リンデンバウムが入店していた場所に装いも新たに小さなカフェ&バーがオープンしたとのこと。早速伺えば、そこは同年代の男女5人が集まって自分たちのやりたいことを思うようにゆっくりと叶えていく、やさしくて自由な場所でした。
右から、カフェタイム担当の寺澤さん夫妻と石山さん、バータイム担当の五十嵐さんと日下さん。
泉区桂の『カフェ バルミュゼット』で働いた後、様々な飲食店の経験を経て、カフェ文化が発達しているオーストラリアのメルボルンでバリスタの修業をした寺澤さん。『ネルソンコーヒー』に長年勤めていた石山さんと共同経営という形で『darastore』(デアストア)をオープンしました。
そんなふたりがハンドドリップで一杯一杯丁寧に淹れるコーヒー(¥400)は、飲む人を選ばないやさしい味。コーヒー豆はシングルオリジンのエチオピアを使用。テーブルに運ばれてきた瞬間に、カップから華やかな香りが立ちのぼります。
ガラスのカップに注がれた「カフェラテ」(¥400)もおすすめ。ほんの少し甘みを含んだブラジルの豆で淹れたエスプレッソに、ミルクをたっぷり。オーストラリアでは、ラテをガラスのカップで出すお店が多いそうで、カップの横からのぞくやわらかなブラウンの色合いに癒されます。
カフェタイムのフードは、寺澤さんの奥さまでもあるあやのさんが担当です。メルボルンのカフェで働いた経験を持つあやのさん、現地で人気のメニューからヒントを得て“コーヒーに合うもの”を手づくりしています。コーヒーが主体だからフードはあくまで添え物、というスタンスのお店も多いなか、『darastore』はどのフードをオーダーしても外れがありません。
オーストラリアの朝食の定番「グラノーラ」(¥780)。ヘルシー食材として日本でも話題のグラノーラに、チョコレートのチアシードプディングと旬のフルーツをたっぷり添えて、ヨーグルトとはちみつをin。カラフルでボリューミーなビジュアルが、太陽に恵まれた海辺の都市、メルボルンの開放的な朝を思わせます。
ボリューミーといえば、こちらの「カツサンド」(¥800)にも驚き! 肉汁がしたたり落ちるようにジューシーな2枚のカツとライ麦ブレッドが交互にサンドされ、テーブルにサーブされた瞬間「でかっ」と声が漏れました(笑)。りんごの入ったオリジナルソースが豚肉の旨味を引きたて、つけあわせのポテトのフリットと、にんじんのマリネもこれだけでお酒のおつまみにしたくなる美味しさ。
現地のサイズ感そのままという「カツサンド」、空腹の男性も満足すること間違いありません。
もちろんスイーツだって抜かりなし。ココアクッキーを敷いたクリームチーズのベイクドチーズケーキ「チーズケーキ」(¥500)は、ラズベリーソースのほのかな甘酸っぱさといい、思わず写真に撮りたくなる可愛らしさといい、まさに女子好みな一皿。
イギリスのクリスマスプディングから着想を得たという「ラムフルーツケーキ」(¥500)。ラム酒を効かせたしっとり生地に、自家製ラムレーズン、ナッツ、あんぽ柿、ピスタチオなど様々な香ばしさと甘みを含んだ大人仕様のケーキです。
さて、日が暮れた18時からは夜のバータイムがスタート。スタッフは五十嵐さんと日下さんにスイッチし、コーヒーに加えてカクテルやワインなどお酒メインのメニューにチェンジします。
有名イタリアンレストランやバーでバリスタの経験を積んできた五十嵐さんがつくるカクテルは、生フルーツを使った本格派。それをチャージ料金なしで楽しめるのもうれしいところ。多様なリストに目移りしますが、せっかくなのでコーヒーベースの「アイリッシュコーヒー」(¥900)をオーダー。甘い生クリームとウィスキーのコクが混ざり合い、デザート感覚で飲めてしまうホットカクテルです。
「お酒と合わせると、コーヒーもひとつの材料になるところが面白いです。コーヒーの可能性が広がるし、いろんな楽しみ方が発見できるんですよ」とは五十嵐さんの言葉。コーヒー好きには新しい扉が開くかも?
少しおなかがすいている方には、具だくさんの野菜と卵を惜しみなく使って焼き上げたふわふわの「スパニッシュオムレツ」(¥600)を。ワイングラスに入った「ティラミス」(¥500)もおしゃれ!
「夜お店を遊ばせておくのももったいない、ということで僕にも声を掛けてもらって」と話す五十嵐さんは、石山さんと専門学校の講師仲間なんだそう。つながりがつながりを呼び、自分の好きなものを納得のいくクオリティで提供しながら、スタッフメンバーも訪れる人も、みんなが居心地よくいられる空間を創り上げています。
最後に「イートインでもテイクアウトでも、肩肘張らずに気軽に利用してもらえる場所になれたら」と話してくれた寺澤さん。理想は、みんなが好きなときに集まる“公園”のような場所なのだそうです。雑居ビルの階段を上がると大人の小さな公園が広がっているなんて、とても素敵ですね。
“自家焙煎”はじまります
念願の自家焙煎を店内でスタート。“寺澤”と“石山”から一文字ずつとり、『TERAYAMA COFFEE ROASTERS』としてコーヒー豆の販売も行います。ますますおふたりらしいコーヒーが味わえそう。パッケージも新しく作りました!
darastore
デアストア
仙台市青葉区一番町3-11-27 3F
7:00~23:00(22:30L.O.)
※カフェメニューのフードとスイーツは8:00〜16:00
不定休
※18:00~のバータイムは日曜と連休の最終日がお休み
※このページの情報は2017年1月27日現在のものです。
【ライター 鈴木紘子】【撮影 門山夏子】