「ウズマキ眼鏡珈琲店」はまず、そのロケーションが魅力。雄勝湾を一望する高台にあり、目の前は海!というオーシャンビューの絶景が迎えてくれます。
海と山に囲まれた自然豊かな石巻市雄勝町。雄勝石の硯や海の幸が有名で、郷土芸能も盛んな地域。しかし、東日本大震災の津波で甚大な被害を受け、現在は復興に向けた整備が進められています。
2020年5月、雄勝町の新しい観光・商業拠点として「雄勝観光物産交流館」がオープン。愛称は、おがつ・たなこや。
地元でとれた新鮮な海の幸が並ぶ海産物直売所をはじめ、寿司店、食堂、物産店などが集結。そんな雄勝らしさが詰まったスポットに、ウズマキ眼鏡珈琲店があります。
よく間違えられるそうですが、ウズマキ眼鏡珈琲店はメガネ屋ではありません。まちの人から“メガネさん”として愛される、メガネ男子の店主が営むカフェです。ウズマキは、コーヒーをいれる際、渦を巻くようにお湯を注ぐところから。
ぐるぐるとお湯を注ぎながら、一杯一杯丁寧にハンドドリップでいれるコーヒーが名物。豆は、鮮度にこだわって自家焙煎をしています。
◆本日のブレンド 450円
この日は、まろやかで飲みやすいコロンビアとモカのブレンド。ブラジル サントス ピーベリー(500円)、グアテマラ SHB(600円)など、その日のおすすめから豆を選ぶこともできます。焼き物が好きで、旅先などで買い集めたというカップは、色も形もさまざま。どのカップで出されるかも楽しみの一つです。
メガネさんこと店主の鈴木拓也さんは、石巻市新館の出身。中学生の頃から家でコーヒーをいれて飲み、高校生になると一人で喫茶店に通うほど、根っからのコーヒー好き。
社会人になり、市内の水産加工会社に就職した鈴木さんでしたが、東日本大震災による津波で自宅が全壊し、会社も被災。家も仕事も失いました。震災直後はがれき処理の仕事に従事し、その後、雄勝地区復興応援隊に加入。雄勝町でコミュニティーカフェの運営と地域情報誌の制作に携わるように。
復興応援隊の活動を通して雄勝の人と出会い、雄勝のまちを知り、雄勝に惚れ込んでいった鈴木さん。地域コミュニティーが希薄になった今、震災を風化させないためにも、このまちのことを伝える・話り合える場所をつくりたいと、雄勝でウズマキ眼鏡珈琲店をスタート。2020年7月23日、雄勝観光物産交流館内にグランドオープンしました。
昔からこのあたりの地域では、近所の人同士がお茶をしながらおしゃべりを楽しむ“お茶っこ”文化があります。観光客はもちろん、子どもからお年寄りまで、地域の人が集まりやすいようにと、店内はアットホームでレトロな雰囲気に。ゆくゆくは地元産のものを増やして、店内を“雄勝のショールーム”化しようともくろんでいるそう。
コミュニティーカフェは閉鎖しましたが、当時の常連客は今、ウズマキ眼鏡珈琲店でお茶っこを楽しんでいます。「出会ったときはまだ赤ちゃんだった子が、すっかり大きくなりました。雄勝のおじいちゃんおばあちゃんたちは皆元気で、パフェが大好きなんですよ」と、メガネの奥から優しい眼差しを向ける鈴木さん。
◆ベリーサンデー 600円
コミュニティーカフェで人気があり、自店でもメニューに入れたかったというパフェ。ピンクのグラデーションがかわいいオリジナルのベリーサンデーは、ストロベリーアイスに自家製ゼリー、ラズベリー、ブルーベリーなど、ベリーづくし。
◆カフェラテ 500円
エスプレッソマシンでつくるラテは、ホットもあり。アイスの場合はビーカーで提供されるので、インスタ映え度がUP!
ドリンクとサンデーはテイクアウトOK。海沿いのテラス席で、海風に当たりながらおいしいコーヒーを飲めるのも、この場所ならではの醍醐味。
一杯のコーヒーとそこから見える景色を通して、情報を共有し合ったり、新しいきっかけが生まれたり。ウズマキ眼鏡珈琲店のコーヒーを囲んで、人やまちを元気にする波動がぐるぐると広がろうとしています。
知っているようで知らない、地域のこと。まだ見ぬ宮城の風景がたくさんある。だから、今日も出会いを求めて、カフェトリップへ。カフェは、人と人、人とまちをつなぐ場所にもなっていました。
“メガネの集い”見つけました
メガネさんたちが密会!? 閉店後の店内でコーヒーを飲みながら、最近あった出来事や新しいアイデアなど、雄勝の今と未来について語り合う「メガネの集い」を不定期開催中。メンバーは地元の職人や教員、復興応援隊などで、雄勝を好きな人なら誰でもウェルカムです。ドレスコードはメガネ! ※だてメガネ可。
ウズマキ眼鏡珈琲店
住所/石巻市雄勝町下雄勝2-5 雄勝観光物産交流館
TEL/090-3759-1969
営業時間/11:00〜17:00(L.O.)
定休日/木曜
Instagram/meganecoffeeten
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※このページの情報は2020年9月2日現在のものです。
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【ライター 池田直美】【撮影 門山夏子】