仙台パン図鑑 vol.31 「Jeanne d’Arc Fils & Pére」 ~親子で営む、緑の家の老舗パン屋さん~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第31回は、地下鉄東西線薬師堂駅のそばにある「Jeanne d’Arc Fils & Pére (ジャンヌダルク フィスエペール)」へ。親子二代で焼くパンは、日本の食卓にも馴染みのあるものから、トレンドをしっかりおさえたものまで、幅広くラインナップされています。

毎日100種以上のパンが並ぶ!

2021年4月でオープン30周年を迎えた「ジャンヌダルク」。建て替えを経て緑鮮やかに生まれ変わったお店も10年目を迎え、板張りの天井や壁がぬくもりある飴色に変化。平日は120~130種、休日は150種ほど並ぶというパンを、よりおいしそうに見せています。父と息子、親子二代で焼いているとは言え、ずいぶんと種類が多いように感じますが、それもお客さんを思うがゆえ。ご近所さんが毎日来ても楽しくパンを選べるように、との想いを込めて、今日もたくさんのパンを焼いているのです。

食の安心安全を考え、5年ほど前からは店で使う小麦をすべて、ポストハーベストのリスクがない国産小麦に切り替え。甘みが強くもっちりと焼き上がるので、食パン系との相性がいい国産小麦。ハード系に使う時はルヴァン種を加えることで、豊かな風味や深い味わいを引き出しているのだとか。コストはかかりますが、大切なのは安心して口にできること。新麦の時期には北海道の農家さんを訪ねるほどのこだわりよう!

「Jeanne d’Arc Fils & Pére」おすすめのパンカタログ

見た目が伝統的なタバコ入れに似ていることから、フランス語でタバコ入れを意味する名前がついた「タバチェ」。「ジャンヌダルク」の「十勝バタータバチェ」(324円)は、チャバタ生地の中に無塩バターを巻き込んで焼き上げた一品です。トースターで焼くと中のバターがジュワッ!カリッとしたクラストの食感のあとに、リッチなバターの旨みが広がります。

「スモークサーモンのクロックムッシュ」(324円)は、建て替え後に登場したメニュー。しっかりと弾力のあるラウンド型の食パンに、サーモンとベシャメルソースをサンド。どの具材も、上にかけたゴーダ多めのミックスチーズも、計算された絶妙なバランスでまとまっています。季節によって、空豆と鶏むね肉など、ほかの具材も登場予定。

甘い系のパンからは「フロランタンバナーヌ」(280円)をピックアップ。香ばしくリッチな味わいのフランス菓子フロランタンを、デニッシュ生地で表現しています。ジューシーなバナナに、濃厚なキャラメルカスタードクリーム、カリッとしたアーモンドは、間違いない組み合わせ!甘みをリフレッシュしてくれるピンクペッパーも良い仕事をしています。

最後はイタリアのスイーツパン「マリトッツォ」(324円)の登場です。卵と牛乳で仕込んだブリオッシュ生地に、マスカルポーネを混ぜた生クリームをたっぷりサンド。乳脂肪分42%の生クリームを使い、ハチミツを加えたクリームはコク深く、リッチな余韻にひたることができます。甘々に見えて、ペロリといける話題の一品!

取材中もお客さんがひっきりなしに訪れる「ジャンヌダルク」。古くからの常連さんとおぼしき人から、若いカップル、ときには近所の高校生や地元を離れた人が懐かしんで訪ねてくることもあるのだとか。移りゆく街並みの中で、変わらずにあるお店の安心感。きっとこの先40年も、50年も、長く愛されていくお店になるはずです。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●チャバタ
イタリア語でスリッパを意味する、北イタリアでポピュラーなパンのこと。平べったい形をしていることから、この名がついたと言われています。水分量が多く、しっとりとした口当たりが特徴。「ジャンヌダルク」では、今回紹介した「十勝バタータバチェ」にこの生地が使われています。低温長時間発酵で粉の旨みを引き出し、口の中でとろけるような食感を目指しているのだとか。

以前仙臺いろはでご紹介した動画はこちら

Jeanne d’Arc Fils & Pére

住所/仙台市若林区木ノ下4-5-7
電話/022-256-4068
営業時間/9:00~18:00
営業日/火曜、第3水曜 ※祝日の場合は翌日休み
Instagram/ @filsetperu

※このページの情報は2021年5月24日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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