仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第42回はちょっと足をのばして、2022年4月にオープンした東松島市の「パンと焼き菓子の店 TARO BAKERY」へ。田畑にかこまれた、のどかな風景の中に佇む一軒家ベーカリー。公園のように広々とした芝生のお庭でのんびりとパンを頬張り、いつまでも長居したくなってしまう…そんな居心地のよいパン屋さんでした。
ここで買って食べるから、もっとおいしい。
ショーケースに並ぶ、食べやすいサイズ感のパンは20種類ほど。決して種類は多くありませんが、東松島市産小麦を使ったカンパーニュなどのハード系から、あんパンやメロンパンなど昔ながらの菓子パンまで、「パンを日常に取り入れて豊かな暮らしを送ってほしい」という店主の願いも込められたラインナップになっています。バゲットなどのフランス系の焼き上がりは11:00頃なのでご注意を。
「TARO BAKERY」おすすめパンカタログ
菓子店で長年あんこをつくってきた店主自慢の「あんぱん」(200円)。国産小麦をつかったサクッと歯切れのよい生地で、銅鍋で炊いた自家製つぶあんを包んだシンプルな一品です。薄めのやわらかい生地と、しっとりとしたあんこは相性抜群。ちょっと甘いものが食べたいときに、ちょうどよいサイズ感です。
「クリームパン」(200円)も「あんぱん」と同じパン生地をつかった定番の菓子パンですが、「TARO BAKERY」のクリームパンは一味違います。自家製カスタードクリームにトンカ豆を加えることで、ほのかに杏仁のような甘く上品な香りが広がるクリームに。見た目はベーシックですが、食べてびっくりの一品です。
最後は「食パン」(1斤380円)。卵不使用、国産小麦が持つ甘みを味わってもらうために、シンプルな配合でつくられた角食パンです。耳はほどよく弾力があり、噛み応えも十分。目の詰まったきめの細かい生地は口溶けがよく、そのままでもおいしくいただけますが、トーストするとほどよいふんわり感が楽しめます。
店名にもある通り、今後は焼き菓子もお店に並ぶ予定とか。今は使われていない建物の半分も、なにか活用していければと構想は広がります。おいしいパンと、抜群のロケーションと、親しみやすい雰囲気。「家のご近所にこんなパン屋さんがあったらいいな」と思わずにはいられません。今後の展開にも注目を。
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。
●中力粉
普段からよく耳にする強力粉、薄力粉。そして今回「TARO BAKERY」のカンパーニュに登場した中力粉。これらはすべて小麦粉の種類で、グルテンの含有量や性質によって分類されています。粘りや弾力が強い仕上がりになる強力粉、ふんわりサクッとした食感を生む薄力粉に対して、中力粉はその中間。適度なふんわり感と弾力が生まれます。パンづくりでは強力粉がつかわれることが多いのですが、ハード系のパンに中力粉をつかうこともあります。
パンと焼き菓子の店 TARO BAKERY
電話番号/0225-82-8349
営業時間/10:00~16:00 ※売り切れ次第終了
定休日/日・月曜
※このページの情報は2022年7月22日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】