仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第41回は、大崎市古川から仙台市立町へ移転オープンしたばかり。ご夫婦2人で営む小さなパン屋「まいにちのパン 日々」へ。クラシカルなカウンターを主役に店内の雰囲気はガラリと変わりましたが、並んでいるのはどれも「これが日々さんのパンだよね!」と嬉しくなる、食べ応えたっぷりの変わらぬ味でした。
古川から仙台へ、8年目の移転。
お店の雰囲気はずいぶん変わったものの、お客さんとの対話を大切にするためのカウンタースタイルや、そこに並ぶパンは古川の頃のまま。パンの種類ごとに粉の配合や発酵種を変えて丁寧に焼き上げたパンはどれも具材がたっぷりで、「パン食べたい!」と思った時の気持ちを間違いなく満足させてくれるものばかりです。移転を機に、40種類ほどあったパンのラインナップは20種類ほどに。食パンやバゲットなどの定番に加えて、クッキー生地がのったデニッシュパン「デ二ポップ」や、ほくほくのジャガイモを味わう「おじゃが」など、ネーミングも楽しいオリジナリティあふれるパンも並びます。
「まいにちのパン 日々」おすすめパンカタログ
ひとつパンを食べて「もうひとつ何か食べたいな…」という時に“罪悪感のないサイズ”という「あんこの食パンミニ」(360円)と、「チーズの食パンミニ」(340円)。耳までやわらかい食パン生地に、こしあんとブロックチーズがぐるりと織り込んであります。あんこはしっとり幸せな甘さ。チーズはトーストして少し溶けた感じでいただくのが美味!
セミハード生地にビターチョコチップが「これでもか!」というくらい入っている「プチショコラ」(270円)。その量は、袋から取り出す時にポロポロとこぼれ落ちるほど。チョコ好きにはたまりません。むちっとしていて食べ応え十分。軽くトーストするとカリッとした食感も楽しめて、それもまたよしです。
最後はセミハード生地にローストしたクルミとラム酒漬けのレーズンがたっぷり入った「くるみレーズン」(360円)。香ばしく甘さが引き立てられたクルミと、ふっくらジューシーなレーズンが、しっとりと口どけのよい生地によく合います。薄くスライスしてトーストすると、ワインのおつまみにもなる大人な味わい。
今はご夫婦ふたりで営む小さなパン屋さんですが、ゆくゆくはスタッフを迎えることも視野に入れて、仙台への移転を決めたという「まいにちのパン 日々」。惜しまれながらの移転とあって、古川から「来ちゃった!」とわざわざ足を運ぶお客さんも。仙台でのお店も古川の頃と同じように、ご近所さんや多くのパン好きから愛されるお店になる予感がします。
(漆黒ブラックにシルバーのラメが光るオリジナルエコバッグは1,200円で販売中。)
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。
●ひき
このパンは「ひきがある」「ひきが強い」など、しばしパンの生地の具合や食感を表現する時に使われる言葉。人によって若干ニュアンスは違いますが、パンをかみちぎる時にさっくりとはいかず、少し引っ張られるような抵抗のある感じを「ひきがある」「ひきが強い」と表現します。「まいにちのパン 日々」の「低温長時間発酵食パン」と「食パン」を食べ比べると、ひきの強さの違いが分かりやすいかもしれません。
まいにちのパン 日々
※このページの情報は2022年6月17日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】