仙台パン図鑑 vol.45 「パン工房 青い虹」 ~家族でつづける、カラダに染み入るパンづくり~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第45回は大崎市三本木にある、国産小麦・天然酵母のパン屋さん「パン工房 青い虹」へ。お店がオープンするのは週4日。お店へと続く道は細く、決して分かりやすい場所にあるわけではありませんが、その居心地のよさに、遠くから足を運ぶお客さんが多いことにも納得の、すてきな一軒家ベーカリーです。

しみじみとおいしい、カラダにやさしい味わい。

「青い虹」は、元保育士で、「子どもたちに安全なパンを食べさせたい」と考えた店主の母・純子さんが、かつて仙台で営んでいたパン屋さんが原点となっています。立ち退きなどの事情により仙台のお店を閉じた後、2006年に地元・三本木で「青い虹」をオープン。まもなく、北海道で働いていた現店主も戻り、一緒にパンづくりをはじめたそうです。店主とその母、妻、そしてスタッフで切り盛りするお店が開くのは、木曜日から日曜日までの週4日。それでも、店舗手前にある整骨院の駐車場入り口に、オープンの目印となっている青いのぼりが立っている日は、「こんにちは~」と顔なじみのお客さんが次々と訪れます。

現在、母・純子さんはランチも楽しめる併設のカフェを担当。パンづくりを担当するのは現店主ですが、今も昔も変わらないのは、食べて体にすっと染み入る素材を使っていること。例えば小麦は岩手県産ゆきちからやナンブコムギ、酵母はホシノ天然酵母や自家製レーズン酵母、野菜や果物はなるべく安全な地場産のものを使っていますが、特別意識しているわけではないと言います。幼い頃から、シンプルな素材で添加物をなるべく加えない母のパンを食べてきた店主にとって、体に負担がかからない素材を選ぶことはごくごく自然なこと。そうやって母から息子へと受け継がれた営みによって、じっくり、ゆっくり味わっておいしい「青い虹」のパンができあがっているのです。

「青い虹」おすすめパンカタログ

「レーズン酵母のカンパーニュ」(スライス4枚入・220円)は、カレンズ、クルミ、オレンジピールがたっぷり入ったパン。ずっしりとした生地なのでひと切でも食べごたえ十分!全粒粉とライ麦入り生地のもっちり感や、フルーツとナッツのジュワッザクッとしたいろいろな食感が楽しいパンは、自家製レーズン酵母を使っているので日持ちがいいのもポイントです。

「青い虹」の「焼きカレーパン」(260円)はノンフライタイプですが、パン粉をまぶしてオリーブオイルをかけて焼いているので、しっかりとサクサク感も楽しめる一品です。大崎市松山「なるせ堂」のキーマカレーとシュレッドチーズを、甜菜糖を加えた少し甘みのあるやわらかい菓子パン生地で包んだカレーパン。トースターで一度温めてからどうぞ!

どのパンがいいか迷ったら、ぜひ薄力粉と強力粉の割合を半々にすることで軽さを追求した「クロワッサン」(220円)を。全粒粉入りなので、外側はほどよくザクザクッとした食感が楽しめて、中はひきのあるもっちり食感。バターの風味もほどよく、トースターで焼くと焼きたてのおいしさがしっかり復活します!

ムチムチ感とふんわり感のちょうどいいところをおさえた「青い虹」のベーグルの中でもおすすめなのが、「コーヒーホワイトチョコベーグル」(240円)。涌谷町「焙煎小屋 風舎」の水出しコーヒーと、ホワイトチョコチップが生地に練りこんであります。ほろ苦いコーヒーと甘いチョコの組み合わせは、間違いないおいしさ!

約30種類のパンが、11時のオープン時に並ぶ「青い虹」。併設のカフェも同時にオープンするので、母・純子さんがつくるランチをいただくのはもちろん、購入したパンをさっそく頬張るのもおすすめです。店内には店主が書いたイラストがあったり、小さな子どもに人気の「ねじねじちゃん」などの焼き菓子が並んでいたり、お豆の量り売りがあったり―。パン屋の枠を超えたお楽しみと居心地のよさに、つい長居してしまいそうです。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●カンパーニュ
正確には「パン・ド・カンパーニュ」と言って、フランス語で“田舎パン”を意味します。特に決まりはありませんが、ライ麦粉や全粒粉が入っていたり、天然酵母を使っていたり、素朴な味わいで日持ちがいいのが特徴です。「青い虹」にはいろいろなパン生地を合わせてまかない用につくった「まかないカンパーニュ」という変わり種も!

パン工房 青い虹

住所/大崎市三本木町浦88
電話番号/0229-52-5321
営業時間/11:00~17:00
営業日/木・金・土・日曜
インスタグラムアカウント/@aoiniji_jun

※このページの情報は2022年10月21日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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