仙台パン図鑑　vol.46　「GOLDEN RATIO」 ～あの人気ベーカリーがリブランドオープン！～

カレーパンをはじめ、店主がおいしさを探求し続けるパンが、多くの人に愛された加茂の「Noir Bakery」。小さな店舗では手狭になったことや、約8年の営業の中で見えてきたものを形にするため、移転を決意。2022年9月に堤町で再出発を切りました。パンに関しては定期的にブラッシュアップを重ねているので、今回の移転では、パンの魅力をより多くの人に伝えるため、ブランディングと空間づくりに注力。高い天井にむき出しの梁、工房と店舗を区切るレンガの壁は無骨さを感じるものの、磨きをかけた独特な表情の床や、粗熱を取りつつ、パンが映えるステンレスのカウンタートップ、ダークグレーを基調とした外観はスタイリッシュで、全体的な印象は「こんなかっこいいパン屋さん、あり？」という感じ。移転前を知る人には、ちょっと驚きの変貌かもしれません。

次のステップに進む時には、しっかりコンセプトを決めたかったという店主。その想いは黄金比を意味する店名「GORDRN RATIO」にしっかりと込められていました。実はパンにも、生地づくりの指標となる材料の比率「ベーカーズパーセント」があります。新店舗では自分なりのベストな比率＝黄金比を探り、おいしいパンを届けたいと、この店名に決めたのだとか。以前よりもだいぶ広くなったお店に並ぶ、黄金比を探求した焼きたてのパン。空間的なゆとりにより、ゆっくりとパンを選べるようになった気がします。

やっぱり外せないのは、店主が父からその味を受け継いだ「カレーパン」（282円）。移転前から人気のパンです。見た目はオーソドックスですが、食べれば違いが分かるはず。かぶりつけば、サクサクと小気味よい音を立てたあとにもっちりとした食感。そしてスパイスの調合から考えられたという秘伝のカレーの旨みが、ジュワ～ッと口の中いっぱいに広がります。

フランス産のおいしい粉をブレンドした、どこから見ても美しい「クロワッサン」（255円）。少し細長いこの形にはこだわりがあるのだとか。もちろん食べはじめは細いところから。最初はサクサクッと軽くはじまり、真ん中に向かってだんだんと引きのある食感に。ひとつのパンの中でもいろいろな変化が楽しめるクロワッサンです。

ライ麦パンのおいしい食べ方が分かる「イチジクの赤ワイン煮とクルミとクリームチーズのサンド」（530円）。なかなか自分で材料を揃えてできる組み合わせではないので、ぜひお試しを！「GOLDEN RATIO」のライ麦パンは、ライ麦らしい芳香な風味は生かしつつ酸味が少ないタイプ。ジューシーなイチジクに、カリッとしたクルミとピスタチオがよく合います。

最後は「クルミとレーズン」（386円）。ベースは水分を多く含んだしっとり食感のライ麦パン。そこにクルミとレーズンがたっぷり詰まっています。安定の組み合わせですが、愛され続けているのにはわけがあるもの。定番のパンとあなどるなかれ。生地と具材のバランスのよさに驚くはずです。

リブランドオープンから約2カ月。以前は場所柄、車での来店が多かったものの、移転後は自転車やベビーカーを押してくるお客さんも。パンと一緒に、店頭で販売している「in vitro」のテイクアウトコーヒーを楽しむ人も増えていて、いろいろなコラボやイベントなど、構想がどんどん広がっているそうなのでお楽しみに。