仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。24回目は、2015年、地下鉄東西線荒井駅の開業とともに、その駅前にオープンした「THE BREAD BAR(ザ・ブレッド バー)」へ。バゲットなどフレンチタイプのパンが多めですが、その口溶けのよさと豊かな小麦の風味には驚き!毎日食卓に並べたくなるおいしさでした。
シンプルだけど、味わい深い
そのパンのよきパートナーとなっているのが「ルヴァン・リキッド」です。ルヴァン・リキッドとは、小麦からおこした液体天然酵母のこと。これを生地に練り込み、一晩かけてゆっくりと熟成させて焼き上げることで、小麦本来の旨みが最大限に引き出されるのだとか。すべてのパンにこのルヴァン・リキッドを使っていますが、粉はパンに合わせて品種や挽き方の異なるものを使い分け。どれもそれぞれの豊かな小麦の香りが鼻腔をくすぐり、口に含んだ瞬間シュワシュワと溶けていくような、この店ならではの味わいを感じることができます。
「THE BREAD BAR」おすすめのパンカタログ
風味豊かな国産小麦を使った「国産小麦食ぱん」(626円※1斤は313円)は一番人気。小麦粉、バター、スキムミルクなど、使っている素材はベーシックなものばかりですが、湯種製法で仕込むことできめが細かく、しっとりやわらか!ほんのりミルク風味で、食べるとなんともやさしい気持ちにさせてくれます。
続いては甘めのものをひとつ。「はちみつのブリオッシュ」(194円)は、はちみつやサツマイモを生地に練り込むことで、しっとりふんわりとした食感に仕上げています。噛んでもつぶれることなくフワッと空気を含んで戻る生地に感動!ジュワッと溶けたバターに、カリッとしたグラニュー糖の甘み。間違いないおいしさです。
最後はパン屋がつくる焼菓子「ブラウニー」(140円)をピックアップ。ベルギー産のクーベルチュールチョコを使い、濃厚でしっとりみっちりとした焼き上がりに。サイズも甘さもほどよく、コーヒーのおともにぴったりです。おすすめは冷やして食べること。口の中でゆっくりとチョコレートが溶けていくあの感動をぜひ味わってみてください。
イートインスペースはないのでパンはすべてテイクアウト。食べ方はお客さんに委ねられるわけですが、少しでもおいしく味わってほしいと、店の黒板で保存方法やトースターでの焼き方を細かく解説しているその心配りも素敵です。2020年12月には5周年を迎える「THE BREAD BAR」。12月5日(土)にはパンの100円セールも開催するとのこと。ぜひ新しい街づくりが進む荒井駅周辺の変化を感じるとともに、おいしいパンをテイクアウトしてみてください。
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。
●ルヴァン・リキッド
天然酵母にはリンゴやブドウからおこしたもの、穀物からおこしたものなど、いろいろな種類がありますが、ルヴァン・リキッドは小麦からおこした液状の酵母のこと。ほのかなヨーグルトのような香りがします。気温や湿度の変化に敏感で扱いが難しい反面、タンパク質を分解してアミノ酸をつくりだす働きにすぐれているので、小麦の旨みを引き出すには最適なのだとか。
THE BREAD BAR
電話/022-702-0356
営業時間/10:00~19:00 ※売り切れ次第終了
営業日/水・木・金・土曜
http://thebreadbar.jp/
※営業時間の変更や臨時休業の情報はHPやfacebookで要確認
※このページの情報は2020年11月25日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】