なぜ、生理前はつらいの? PMSのメカニズム「大人女子の取扱説明書」【PR】

知っているようで、ちゃんと知らない。聞きたくても、人には聞けない。女性ならではの不調や不安について、東北大学の八重樫先生率いるドクター陣が解説!

こんにちは。東北大学の八重樫です。一生涯を通じて女性ホルモンの影響を心身に受ける女性は、日々さまざまな不調を感じています。なかでも、多くの人が経験しているのが月経前症候群(PMS)。その原因について、東北大学病院産科・婦人科の横山先生に聞きました。

教えてくれたのは

東北大学大学院医学系研究科長・医学部長
婦人科学分野 教授
八重樫伸生先生

東北大学病院
産科・婦人科 助教
横山絵美先生

【PMS(月経前症候群)】
PMSによる精神的症状
憂うつ
怒りっぽい、イライラする
不安感がある
混乱する
引きこもりがちになる

PMSによる身体的症状
乳房に痛みがある
お腹がふくれる
頭痛
手足のむくみ
関節や筋肉が痛い
体重が増える

Check
・月経開始前5日間のうちに、上記にあてはまる症状が1つ以上ある。
・月経開始4日以内に軽快し、月経周期13日目までに再発がない。
・日常生活に支障をきたしている。
・ホルモン剤の摂取や薬、アルコールの服用によって引き起こされたものではない。

PMSの可能性があります!

生理前に起こるカラダと心の揺らぎ

「月経前症候群(PMS)」は、月経が始まる10日前〜3日前にみられる症状で、月経が来ると消失するもの。手足のむくみ、のぼせなどの身体的な症状や、イライラ、不安といった精神的な症状がみられます。
PMSと診断される人は、規則的な月経周期を持つ女性の約4割と言われています。ただし、PMSと診断されなくても、月経前に何らかの症状を感じたことがある人は95%という報告も!(※) つまりPMSは、月経がある女性なら誰でも起こりうる病気。20代では頭痛や下腹部痛などのカラダの症状が出やすく、30代になるとイライラや不安感なども出やすくなるようです。

※出典:武田ら,Arch Women Ment Health 9(4):209-212, 2006

イライラ、不安感が強いならPMDDかも

精神的な症状が中心で、PMSよりも重症な状態を「月経前不快気分障害(PMDD)」と言います。下記の「必須症状」が1つ以上あり、「症状」と合わせて5つ以上あてはまる場合、PMDDの可能性があります。
【PMDD(月経前不快気分障害)】
PMDDの必須症状
感情の起伏が激しい
ものすごくイライラする
ものすごく落ち込む
ものすごく不安になる

PMDDの症状
何もしたくない
集中できない
だるい
過食
眠りすぎるor眠れなくなる
自分をコントロールできない
月経前に乳房の膨張感や痛み、頭痛、関節痛や筋肉痛、ふわふわとした浮遊感(めまい)、体重増加などの身体的症状もある

どうして生理前に起こるの?

PMSとPMDDの原因はハッキリとわかっていませんが、女性ホルモンである「エストロゲン」と「プロゲステロン」の急激な変化が関わっていると考えられています。月経が始まる10日前〜3日前は、エストロゲンとプロゲステロンが急激に低下。それによって、脳内のホルモンや神経伝達物質の異常を引き起こすことが、PMS・PMDDのメカニズムと考えられています。

大豆食品に含まれる大豆イソフラボンが腸内細菌によって代謝されてできる「エクオール」には、このエストロゲンと似た働きをすることが知られています。しかし残念ながら、日本人女性の約半分は、エクオールを作る腸内細菌を持っていません。エクオール非産生者は産生者と比べて、PMSのリスクが高いというデータもあります。

生理痛が重い人はPMSもつらい

エクオール非産生者に加えて、真面目で几帳面な人は、症状が出やすいと言われています。ストレスが多い、風邪などで免疫力が低下しているときには、症状が重くなる傾向に。喫煙や飲酒、バランスの悪い食事も、PMSの症状を悪化させると言われています。また、PMSの症状が強い人は、生理痛も重い人が多いようです。生理が来ることにストレスを感じてしまい、PMSの症状が出やすくなるというのも関係しているかもしれません。

PMSは治療すべき病気!

PMSは多くの女性が経験するものですが、月経が来ると消失するため、病気という認識が低いようです。「これくらいの症状なのに受診して良いのか」と、うしろめたく感じている人も少なくありません。また、日本人女性は我慢強い人が多いので、欧米よりもPMSの認知度が低いと考えられます。
しかし近年、女性の社会進出が一般化し、女性の健康課題が問題視されるようになり、PMSは治療すべき病気と知られるようになりました。今はPMSを我慢せず、積極的に治療をする考えが広がりつつあります。お困りの人はぜひ、婦人科を受診してください。(横山先生)

次回は、PMSの治療法とセルフケアについて詳しく紹介します。

大人女子の取扱POINT
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※このページの情報は2022年12月6日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】

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