仙台パン図鑑 vol.43 「Boulangerie La Mieux Aile」 ~新しい街になじむ、夫婦ふたりの愛情深いパン屋さん~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第43回は2022年3月、若林区なないろの里にオープンした「Boulangerie La Mieux Aile(ラミュエール)」へ。広々とした真新しい工房と店舗をご夫婦ふたりで切り盛りするパン屋さんは、行列ができることも…。人気の秘密はオーナーの実直な人柄があらわれているパンの味はもちろん、妻ゆうさんの笑顔はじける素敵な接客にもあるようです。

今日食べても、明日食べてもおいしい!

なないろの里は区画整理事業で誕生した新しい街。その一角に、黄色と白のストライプのオーニングが目印の「ラミュエール」があります。シックなヘリンボーンの壁と、“魔女の宅急便”のパン屋さんをイメージしたという木製のショーケースが印象的な店内に並ぶのは、ハード系、総菜パン、デニッシュなど35種類ほどのパン。平台や棚に並ぶパンはセルフでカゴに、ショーケースの中身は声を掛けて注文するスタイルです。パンのラインナップが充実するのは13:30頃ですが、日によって行列ができるほどお客さんがきて、午後は品薄になることも…。オープン半年足らずで早くも人気店となっています。

オーナーは老舗ベーカリーでの修行後、小麦粉などを扱う会社の営業職を経てパン屋として独立。営業職時代に培った知識を生かし、温度管理を徹底した発酵と熟成により、シンプルながら生地本来の旨みを大切にしたパンを焼きあげています。その日のお昼だったり、翌日の朝だったり、お客さんがパンを食べるタイミングはいろいろ。その点を考慮して、次の日食べてもおいしいのが「ラミュエール」のパン。特にハード系は、リベイクするとまるで焼き立てのような味わいになるよう計算されています。そしてそのパンをお客さまに届けるのが、妻ゆうさんのお役目。常に笑顔を絶やさず、ちょっとした世間話をはさみながら、おすすめのパンやもうすぐ焼きあがるパンを丁寧に教えてくれます。パンへの愛情、そしてお客さんへの心配りを感じることができるパン屋さん。常連さんが多いのも納得です。

「ラミュエール」おすすめパンカタログ

実はハード系が得意なオーナー。普段あまりハード系を食べなれていない人への入門編としておすすめなのが“バトンシリーズ”です。「バトン ショコラマカダミア」(260円)は、フランスパン生地にチョコチップとマカダミアナッツがゴロゴロ!しっとりもっちりとした生地との相性も抜群で、ちょっとリッチな味わいです。

同じくハード系で人気なのが「明太子フランス」(240円)。長期熟成して旨みを引き出した「ラミュエール」自慢のフランスパン生地に、自家製明太子をたっぷり。バリッとした皮の食感と、ジュワ~ッと広がる明太子の旨みが、なんともクセになる一品です。お客さんの中には、この焼き上がりを心待ちにしている人も!

仕込みに3日かかるという「クロワッサン」(240円)も、「ラミュエール」ならではの味わいが楽しめます。国産の発酵バターをブロックの状態から叩いて板状にすることで生地との馴染みをよくしているので、サクッジュワッとした食感がずっと楽しめます。幾重にも重なった美しい断層が、噛み応えがありながらも軽やかな食感の秘密。

定番のパンにもオリジナリティがあるのが「ラミュエール」。サクサクとした軽めのクッキー生地と、もちっとしたパン生地が一度に味わえる「メロンパン」(180円)は、その一体感が見事!クッキー生地にフランス産の小麦を混ぜることでパン生地ともしっかりとなじみ、食感の違いがケンカしないように計算されています。

150個が瞬く間に売れてしまったこともあるクリームパンや、季節ごとに具材が変わるフォカッチャ、耳までおいしいしっとりもちもちの食パンなど、それぞれにファンがついている「ラミュエール」のパン。人気のパンは午前中でなくなってしまうこともありますが、平日は取り置きもOK!電話やInstagramのDM、来店時に伝えておけば、お目当てのパンにありつけそうです。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●バトン
バトンとは、フランス語で棒という意味。細長い形をしているパンの名称として使われています。「ラミュエール」の“バトンシリーズ”は、スペシャルなフランスパン生地に、くるみやいちじく、今回紹介したチョコチップやマカダミアナッツなどがたっぷり入った細長いパン。好みの厚さにスライスしてどうぞ。

Boulangerie La Mieux Aile

住所/仙台市若林区なないろの里1-19-3 メリディアンなないろの里4番館101・102
電話番号/022-208-3158
営業時間/11:00~18:00(土曜10:00~18:00) ※売り切れ次第終了
定休日/日・月曜
Instagram/@la_mieux_aile

※このページの情報は2022年8月26日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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