仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第45回は大崎市三本木にある、国産小麦・天然酵母のパン屋さん「パン工房 青い虹」へ。お店がオープンするのは週4日。お店へと続く道は細く、決して分かりやすい場所にあるわけではありませんが、その居心地のよさに、遠くから足を運ぶお客さんが多いことにも納得の、すてきな一軒家ベーカリーです。
しみじみとおいしい、カラダにやさしい味わい。
現在、母・純子さんはランチも楽しめる併設のカフェを担当。パンづくりを担当するのは現店主ですが、今も昔も変わらないのは、食べて体にすっと染み入る素材を使っていること。例えば小麦は岩手県産ゆきちからやナンブコムギ、酵母はホシノ天然酵母や自家製レーズン酵母、野菜や果物はなるべく安全な地場産のものを使っていますが、特別意識しているわけではないと言います。幼い頃から、シンプルな素材で添加物をなるべく加えない母のパンを食べてきた店主にとって、体に負担がかからない素材を選ぶことはごくごく自然なこと。そうやって母から息子へと受け継がれた営みによって、じっくり、ゆっくり味わっておいしい「青い虹」のパンができあがっているのです。
「青い虹」おすすめパンカタログ
「青い虹」の「焼きカレーパン」(260円)はノンフライタイプですが、パン粉をまぶしてオリーブオイルをかけて焼いているので、しっかりとサクサク感も楽しめる一品です。大崎市松山「なるせ堂」のキーマカレーとシュレッドチーズを、甜菜糖を加えた少し甘みのあるやわらかい菓子パン生地で包んだカレーパン。トースターで一度温めてからどうぞ!
どのパンがいいか迷ったら、ぜひ薄力粉と強力粉の割合を半々にすることで軽さを追求した「クロワッサン」(220円)を。全粒粉入りなので、外側はほどよくザクザクッとした食感が楽しめて、中はひきのあるもっちり食感。バターの風味もほどよく、トースターで焼くと焼きたてのおいしさがしっかり復活します!
ムチムチ感とふんわり感のちょうどいいところをおさえた「青い虹」のベーグルの中でもおすすめなのが、「コーヒーホワイトチョコベーグル」(240円)。涌谷町「焙煎小屋 風舎」の水出しコーヒーと、ホワイトチョコチップが生地に練りこんであります。ほろ苦いコーヒーと甘いチョコの組み合わせは、間違いないおいしさ!
約30種類のパンが、11時のオープン時に並ぶ「青い虹」。併設のカフェも同時にオープンするので、母・純子さんがつくるランチをいただくのはもちろん、購入したパンをさっそく頬張るのもおすすめです。店内には店主が書いたイラストがあったり、小さな子どもに人気の「ねじねじちゃん」などの焼き菓子が並んでいたり、お豆の量り売りがあったり―。パン屋の枠を超えたお楽しみと居心地のよさに、つい長居してしまいそうです。
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。
●カンパーニュ
正確には「パン・ド・カンパーニュ」と言って、フランス語で“田舎パン”を意味します。特に決まりはありませんが、ライ麦粉や全粒粉が入っていたり、天然酵母を使っていたり、素朴な味わいで日持ちがいいのが特徴です。「青い虹」にはいろいろなパン生地を合わせてまかない用につくった「まかないカンパーニュ」という変わり種も!
パン工房 青い虹
※このページの情報は2022年10月21日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】