知っているようで、ちゃんと知らない。聞きたくても、人には聞けない。女性ならではの不調や不安について、東北大学の八重樫先生率いるドクター陣が解説!
こんにちは。東北大学の八重樫です。更年期の女性がより快適な毎日を送るためには、女性ホルモンを正しく理解することが大切です。今回は、更年期障害の治療法の一つで、読者の皆さんから質問が多い「ホルモン補充療法」について、詳しくみていきましょう。前回に引き続き、東北大学婦人科の石橋先生に解説してもらいます。
教えてくれたのは
東北大学大学院医学系研究科長・医学部長
婦人科学分野 教授
八重樫伸生先生
東北大学病院
婦人科 助教
石橋ますみ先生
不足したホルモンを補う「ホルモン補充療法」
更年期障害の原因は、女性ホルモン(エストロゲン)の低下や欠乏です。この不足している女性ホルモン(エストロゲン)を補うことで症状の改善を期待できるのが、「ホルモン補充療法」。主な効果は、のぼせやほてり、発汗を軽くすること、腟・外陰部の萎縮や性交痛を緩和、骨量の減少を抑えることですが、気分の落ち込みや関節痛の緩和、自覚症状なく進行する骨粗しょう症や高コレステロール血症、動脈硬化の予防にも効果があると報告されています。ホルモン補充療法を選択できない疾患がある人でなければ、更年期障害の症状に適した治療法です。
どうやってホルモンを補充するの?
ホルモン補充療法に用いられる薬には、飲み薬、塗り薬、貼り薬があります。子宮がある人には、エストロゲンだけではなく黄体ホルモンを併用。子宮を摘出した人には、エストロゲンを単独で用います。いずれの方法も副作用として、不正出血や乳房の痛み、はりが起こる場合もありますが、徐々に軽減するケースが多いです。
ホルモン補充療法で、乳がんになりやすい!?
ホルモン補充療法を行う期間と使用する黄体ホルモンの種類が、乳がん発症に関連するともいわれています。一方で、乳がんリスクに及ぼすホルモン補充療法の影響は、アルコール摂取や肥満、喫煙といった生活習慣によるリスク因子と同等、またはそれ以下と報告されています。対策として、治療中は定期的に乳がん検診を受けましょう。
ホルモン補充療法を受けられない人もいる
乳がん・子宮体がん・血栓症を治療中または過去に治療した、脳卒中や心筋梗塞を起こしたことがある、重い肝臓疾患がある、異常な性器出血があるという人は、ホルモン補充療法を受けられません。また、以下に該当する人も注意が必要なため、検査のうえで検討する必要があります。片頭痛やてんかん、胆石症、子宮筋腫がある、過去に子宮内膜症があった、肥満、コントロールできていない高血圧や糖尿病がある、初めてホルモン補充療法を開始する時期が60歳以上または閉経後10年以上、など。
しかし、更年期障害の治療にはさまざまな方法があり、ホルモン補充療法を選択できない人、希望しない人にもほかの選択肢があります。
しかし、更年期障害の治療にはさまざまな方法があり、ホルモン補充療法を選択できない人、希望しない人にもほかの選択肢があります。
体質や希望に合わせた更年期障害の治療法
①生活習慣の改善…薬は使わない
②心理療法…カウンセリングによる
③ホルモン補充療法…不足している女性ホルモン(エストロゲン)を補う
④漢方療法…心身のバランスを整え、さまざまな症状に対応する漢方薬を活用
⑤対症療法…症状に合わせて鎮痛薬や抗うつ薬、抗不安薬などを用いる
②心理療法…カウンセリングによる
③ホルモン補充療法…不足している女性ホルモン(エストロゲン)を補う
④漢方療法…心身のバランスを整え、さまざまな症状に対応する漢方薬を活用
⑤対症療法…症状に合わせて鎮痛薬や抗うつ薬、抗不安薬などを用いる
治療法は症状や体質、希望に合わせて選択されます。婦人科を受診して、ご自身に合う治療法を医師と相談しましょう。(石橋先生)
大人女子の取扱POINT
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※このページの情報は2022年3月29日現在のものです。
【仙臺いろは編集部】