仙台パン図鑑 vol.65 「蒸しパン Once」~全種類食べたくなる!天然酵母の蒸しパン~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第65回は、石巻渡波地区の「蒸しパン Once(ワンス)」へ。県内でも珍しい天然酵母の蒸しパン専門店は、ワクワクすることがたくさんつまったパン屋さんでした。

パンを選ぶプラスαのお楽しみ

石巻から女川に向かう国道沿いに建つ『Once』。今でこそ店が建ち並び、公園の整備も進む渡波地区ですが、津波被害を受けた震災後しばらくは空き地が多く、夜になると明かりがほとんどないエリアでした。渡波出身の神山由佳さんが「地元に明かりを灯したい」と、蒸しパン専門店をオープンしたのは2016年。以来丸8年、ほとんど一人で店を切り盛りしています。蒸しパンに特化したのは、子どもから年配の方まで誰もが食べやすいものを提供するため。やさしい味わいの蒸しパンは、地元ではもちろん、パンフェスやマルシェなどイベントでも大人気です。

『Once』の蒸しパン生地は、卵や乳製品、油不使用。北海道産の小麦粉とてんさい糖、石巻産の伊達の旨塩、天然酵母とアルミフリーのベーキングパウダーを使い、蒸籠で蒸しあげたもっちり食感が特徴です。まるでティーパーティのようにディスプレイされた蒸しパンは、約20種類。あんこやチョコなどの甘い系から、カレーやチーズなどのおかず系、季節限定商品もあり、「どれにしようかな?」とワクワクしながら選ぶことができます。さらに店内には隠れ家のようなキッズスペースがあったり、引き出しの中に動物たちが隠れていたり、“パン選び”以外のお楽しみも満載です。

「Once」おすすめパンカタログ

一番人気の「かぼちゃクリームチーズ」(220円)。カスタードクリームのようになめらかなかぼちゃのペーストと、濃厚なクリームチーズがベストマッチ!かぼちゃもクリームチーズもたっぷり入っていて、食べ応え十分です。

おかず系で人気があるのは「きんぴらマヨネーズ」(190円)。蒸しパン生地自体に甘みがあるため、きんぴらが加わるとあまじょっぱい風味が口いっぱいに広がります。むっちりとした蒸しパン生地と、シャキシャキとした歯ごたえのきんぴら。この組み合わせがたまりません。

「チリトマトウインナー」(230円)は、ピザトーストのような味わいが楽しめる一品。チリトマトソースはピリ辛ですが、チェダーチーズでややまろやかに。ウインナーとの組み合わせは間違いないおいしさです。上にトッピングしたミニトマトとほんのり広がるバジルがいいアクセントになっています。

基本の蒸しパン生地に全粒粉をプラスした「いちじく&くるみ」(230円)。ジューシーなドライいちじくと、香ばしいくるみがたっぷり。どこを食べても具材がしっかりと感じられます。いちじく特有のプチプチとした食感や、くるみのザクザク感など、食感が楽しい蒸しパンです。

お店の看板に“リス”が描かれている『Once』。実は店内のここにもあそこにもかわいいリスたちが隠れています。「何匹いるかな?」と探してみるのもお楽しみの一つ(羊毛フェルトでできた本物そっくりの蒸しパンの上にもいるかも!)。イートインスペースもあるので、蒸しパンを頬張りながらじっくり観察してみてください。夏の間はレトロな手動式の削り器でつくるかき氷も提供中。なかでも東松島のいちごのつぶつぶ感を残した自家製シロップは絶品です!

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●蒸しパン
小麦粉、砂糖、重曹やベーキングパウダーを混ぜて蒸し器で蒸したパンのこと。『Once』の蒸しパンは、米と小麦からおこした天然酵母を使い蒸籠で蒸しているので、もっちりとした食感に。さらに生地自体には卵や乳製品、油も不使用なので、具材が入っていないプレーンなら赤ちゃんでもOK!

蒸しパン Once

蒸しパン Once
住所/石巻市渡波字栄田92-2
電話番号/0225-98-4183
営業時間/10:30~16:00
定休日/日・月曜 ※臨時休業あり
Facebookアカウント/@蒸しパンOnce

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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