仙台パン図鑑 vol.67 「みもざてらす」~フレンチの名店が手掛ける、パンと焼き菓子の店~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。第67回は、塩釜市海岸通の横丁内にある「みもざてらす」へ。実はここ、塩釜にあるフレンチの名店「シェヌー」の姉妹店。レストランでも提供されているパンはもちろん、「みもざてらす」でしか味わえないパンも見逃せません。

地元愛あふれる海岸通のパン屋さん

2023年春、震災で被害を受けた海岸通の再開発事業によって誕生した「直会(なおらい)横丁」。門前町の風情を取り入れた建物に、寿司屋やカフェなどが出店しています。2023年11月にオープンした「みもざてらす」もその一つ。実は若い頃にパン屋で働いていた経験を持つシェヌーのオーナーシェフが、長年にわたるパンへの想いを叶え、「塩釜の賑わいの一助になれば…」と開いた小さなお店です。店名の“みもざ”は、かつてシェヌーのマダムが営んでいたクッキー屋からとったもの。当時を知る方が「懐かしい!」と訪れることもあるといいます。

やわらかな日差しが舞いこむ店内に美しく並ぶパンは、常時12種類ほど。ラインナップはシェヌーでも提供されているバケットやカンパーニュ、海苔パンなど、食事と一緒に楽しめるハード系が中心です。塩釜の藻塩や浦戸諸島の海苔、塩釜の和菓子屋さんのあんこなどを使ったパンから、オーナーシェフの地元を想う気持ちが感じられるのもこの店ならでは。店内にはちょっとした手土産になる塩釜のおいしいものや、焼菓子、キッシュやタルトなど、パン以外のお楽しみもたくさんあります。

「みもざてらす」おすすめパンカタログ

「海苔パン」(1,150円)は、浦戸諸島の生海苔を生地に練り込んだオリジナルパン。ゴマの風味と藻塩の塩味がアクセントになっています。一番摘みの生海苔を使用しているため磯の風味が豊か。軽くトーストするとより香りが引き立ちます。バターやオリーブオイルとの相性も抜群!食べきりサイズのミニもあります。

「カンパーニュ」(950円)は多賀城の古代米の米粉を使用しているので、カットすると中はきれいな紫色!ライ麦でおこしたサワー種を使った、少し酸味が感じられるもっちりとした田舎パンです。ハムやチーズとの相性がいいのでオープンサンドにおすすめ。ハーフサイズで購入することもできます。

クッペ型のフランスパンに、バターと砂糖でソテーした焼きりんごをたっぷりサンドした「りんごフランス」(320円)。実はこの焼きりんごはシェヌーで提供しているアップルパイに使われているもの。それをパンと合わせてスタッフのおやつにしていたものがもとになって生まれた商品なのだとか。シャリッとした歯ごたえを少し残したりんごが、ハード系のパンとよく合います。

カンパーニュ生地の中に、フランス産の赤ワインとスパイスで煮込んだイチジクとプルーンをたっぷり詰め込んだ「イチジクとプルーンのパン」(395円)。本当にゴロゴロと入っているので、ジューシーな果肉が丸ごと楽しめます。少し大人な味わいの一品は、ワインのおともにチーズと一緒にいただくのがおすすめです。

「ちょっとその場で食べていきたい…!」というリクエストに応じて、カウンター席が設けられている「みもざてらす」。おとなりのカフェでテイクアウトしたコーヒーなら持ち込みOKなので、家まで待てない方はぜひ店内でおいしいパンと焼き菓子とコーヒーをお楽しみください。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●サワー種
ライ麦粉や小麦粉と水のみで起こす発酵種のこと。ライ麦比率の高いドイツパンに使われることが多い、酸味のあるパン種です。カビに強くパンの保存性を高める役割も担います。「みもざてらす」でもカンパーニュなどに使用。独特の香りや旨みを引き出します。

みもざてらす

住所/塩釜市海岸通2-25 直会横丁内
電話番号/022-385-5662
営業時間/11:00~16:00
定休日/月・火・金曜 ※臨時休業あり
Instagramアカウント/@mimosaterrasse

※このページの情報は2024年9月30日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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