仙台パン図鑑 vol.14 「Boulangerie Girafe」 ~自分好みのBON PAINをテイクアウト!~

仙台のおいしいパン屋さんをじっくりめぐっていく「仙台パン図鑑」。14回目は、キリンの首のように長く愛され続けている「Boulangerie Girafe(ブーランジェリー ジラフ)」へ。実はオープン13年目を迎えたという人気店。なにかと心が落ち着かないこんな時も、小さなお店にあふれる愛情たっぷりのパンを頬張ると、ちょっと幸せな気持ちになれるから不思議です。

選ぶのも、食べるのも楽しい!

「キリンが目印のなにやら可愛らしいパン屋さん」と言われると、ピンと来る人も多いはず。三越百貨店を中心に展開する「ジョアン」出身の店主が、“BON PAIN(おいしいパン)”を掲げて「ブーランジェリー ジラフ」をオープンしたのは13年前のこと。実は取材に訪れた日(4月8日)が、記念すべきオープン日だったのです!気になる店名の由来を尋ねてみると「キリンの首のように、地域のみなさんから末永く愛されるお店になるように…というのが表向きの理由です」とニヤリ。では実際は…?「背が高くてガリガリだったんですよね(笑)」。なるほど、かなり長身の店主。オープン当初はもっとスマートだったそうです。

店名にちょっとユニークな背景を持つキリンのパン屋さん。小さくて可愛らしい店内には120種類ほどあるパンの中から、常時80種ほどが並びます。「ブーランジェリー ジラフ」と言えば「湯捏(ゆごね)のレトロコッペ」!お湯と小麦粉を1:1で混ぜた湯種を使った湯捏製法で作るコッペパンは、甘みがありもっちりとした仕上がり。練乳クリームをサンドした懐かしい味で不動の人気NO.1を誇っています。コッペパンのほかにも、食パンやバゲットの一部にもこの湯捏製法を採用しているのだとか。ベーシックなバゲットも最近製法を変えるなど、とても研究熱心な店主。なんと1週間に1、2個、新作が登場することもあるので、いつ訪れてもパン選びが楽しいお店です。取材当日も、店頭のある3台の駐車場にはひっきりなしに車が停まり、ご近所から歩いてくるお客さんもたくさん!いつも午後には品薄になってしまうそうなので、パン選びをじっくり楽しみたい人は午前中の来店がおすすめです。

「ジラフ」おすすめパンカタログ

木・金・土・日曜しか店頭に並ばない「グリーンクロワッサン」(260円)。抹茶生地とクロワッサン生地を折り合わせることで、きれいなシマシマ模様に!ザクッとした歯ごたえを与える美しい層の真ん中に隠れているのはホワイトチョコレート。抹茶のほろ苦さとチョコの甘みがよく合います。岩塩のほどよい塩気も良いアクセントに。

同じくクロワッサン生地を使っているのが「レ・フィユ・モルトゥ」(340円)。フランス語で“落ち葉”という意味を持つパン。クロワッサン生地に、生クリームとカスタードクリームを混ぜたディプロマットクリームをたっぷり絞り、落ち葉に見立てたクロワッサンラスクシュガーを散らした一品。サクサク、ふんわり、ザクッ!といろいろな食感が楽しめます。ちなみにクロワッサンラスクは、クロワッサンのカットロスを使っているのだとか。

続いてはキュートな新作「ドットショコラ」(190円)の登場です。あんパンやメロンパンに使われる甘めの菓子生地に、ラズベリーソースとガナッシュクリーム、チョコレートパフをサンドして、粉砂糖のドット柄でおめかし。ふんわり歯切れのよい生地と濃厚なチョコレートクリームは間違いない組み合わせ!パフのザクザク食感も楽しいパンは、甘党におすすめです。

最後に紹介する「バゲット ジェノベーゼドック」(390円)も新作。長時間発酵で小麦の甘みを引き出したバゲットは、そのまま食べるのはもちろん、サンド系にもおすすめなのでソーセージを挟んでホットドックに!外はカリッ中はもっちりとしたバケットに、ジェノベーゼソースとホワイトソース、モッツァレラチーズでほどよい塩気が加わり、一気にぺろりといけちゃいます。

現在、新型コロナウイルスの影響を受けながらも、衣食住に関わる仕事として、営業時間短縮、個包装対応、アルコール消毒の徹底、入店制限など、様々な対策を講じながら営業を続ける「ブーランジェリー ジラフ」。オープン13年目で改めて感じているのは、お店が地域に愛され、コミュニティのひとつになっていることだと店主は言います。不安が続く毎日ですが、幸せや元気を届けるため、小さなお店いっぱいにおいしいパンを並べて、キリンのパン屋さんは今日もお店を開けています。

【パン語解説】
取材中に登場した、知っているようでうまく説明できないパンの専門用語をざっくり解説します。

●クロワッサン
フランス語で“三日月”という意味の、フランスを代表するパン。もともとはオーストリアが発祥ですが、フランスに嫁いだマリー・アントワネットによって伝えられたと言われています。パン生地にバターを何度も折り込むことで生地とバターの層をつくり、それを焼き上げるとバターが溶けて生地が持ち上がります。これにより内側に層ができ、独特の食感が生みだされるのだとか。「ブーランジェリー ジラフ」のクロワッサン生地は、折り数が少なめでザクッとした食感が特徴。美しい層の断面にもうっとりです。

Boulangerie Girafe

住所/仙台市宮城野区萩野町4-3-37
電話/022-707-0210
営業時間/10:00~18:30 ※現在は10:00~17:00の短縮営業中
休/月曜
※営業時間の変更や臨時休業の情報はInstagramで要確認

※2020年12月に卸町へ移転しました。

※このページの情報は2020年4月15日現在のものです。
【ライター 佐々木綾】【カメラマン 小野寺真希】

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佐々木綾

宮城県仙台市出身。仙台市内の出版社勤務を経て、2007年よりフリーランスのライター・エディターとして活動をスタート。雑誌・フリーペーパー・WEBマガジン等の取材・ライティング・編集を担当。

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